高さ4mの巨大なジャングルジムが、デザインイベントで盛り上がる東京ミッドタウンの芝生広場に出現しました。
その名も''Mountain GYM''。 手掛けたのは、以前この六本木未来会議にも出演いただいた建築家の谷尻誠さん。スペシャルインタビューという形で、谷尻さんの自由な発想が生み出された秘密を探りました。
そもそもジャングルジムと言えば、金属製のパイプで立方体を組み合わせた形が一般的。子ども達が登ったりぶら下がったりして遊ぶ、公園の中の定番の遊具です。
現在はあまり見かけなくなりましたが、谷尻さんがデザインしたMountain GYMは、大人も子どもも楽しめる演出が盛り込まれています。
ジャングルジムの素材には、温かみのある木材を使用。まるで自然に形成された山のように、立方体の木製フレームを不規則に組み合わせ構成されています。登ったり潜ったりなどの体験が出来る他、ところどころ設置されたパイプによって、離れた場所にいる人と会話ができるユニークな仕掛けも。
夜にはこの巨大なジャングルジムがライトアップされ、闇に浮かぶアートオブジェとして人々の目を楽しませてくれる。「自然・遊具・アート」と言った要素をミックスしたMountain GYM、まさにジャンルに捉われない谷尻さんらしいボーダレスなデザインです。
さっそく自由に遊ぶ子ども達にまじって、自分も登ってみる事に。どこからでもアプローチする事ができるMountain GYM。所々に作られた踊り場や、不規則なブロックの重なりが、登って行く時に様々な表情を見せてくれます。
あの場所からはどんな景色が見れるのだろうと、登山を楽しむ様に手を伸ばし登って行くと、いつの間にか頂上に到達。当然ですが、高い場所に登ると視点も変わる、とてもシンプルな行為ですが、そんな些細な事でさえも、人の気持ちは随分と変わるものです。自然とポジティブな気分になるから不思議です。
でも、何故この様なものを作ろうと思ったのか? シンプルな質問をしてみたところ、「山を作りたかったんですよ。」と谷尻さんからは明快な答えが。
「大人がこれ(Mountain GYM)を見ると、これどうやって使うんですかって聞くんですよ。ジャングルジムに使い方っておかしいでしょ。使い方を発見するのが大事なのに、大人ってつい頭で先に考えてしまうんです。でも、こどもたちは、使い方なんて決めないで、それぞれが自由にこわがらないで、上までのぼっていきますよね。大人のほうが怖がっている(笑)。。」
「都会のこどもって、ここで、これで遊びなさいって言われて、制約の中で遊んでいるけど、そうじゃないほうが、こどもの想像力はどんどんのびていく。本来大人もそうあるべきかと思うんです」
しかしその背景には、主体性を大切にする谷尻さんらしい配慮が垣間見れます。この不思議な構造物で、幅広い年齢の人が、思い思いの使い方を見つけ楽しむ事ができる。 遊び方や使い方を限定させず、そこで行われる行為が物の価値を生み出す仕組みが、この''Mountain GYM''では見事に実現されており、これを使い、自ら遊びや使い方を見つけ出す事を体験して欲しいとおっしゃっていました。
展示は11月4日(日)まで、是非皆さんも実際にMountain GYMに触れ合い、思い思いの時間を過してみてください。体を動かしたり、休憩したり、眺めたりしている中で、何か良いアイデアが思いつくかもしれません。
編集部 I