昨年、クリエイターインタビューに登場してくれた箭内道彦さんが取材中に話してくれたのは、「世界平和」を実現するために「各県・各国型のバッヂを配って、六本木をみんなの"ふるさと"にする」というアイデアでした。今回、そんな壮大な試みを、六本木アートナイトを舞台に実際に行うことに。アイデア実現プロジェクトの第3弾、「ふるさとシール」がスタートします!
プロジェクトのきっかけになったのは、箭内さんがインタビュー中に、六本木は日本でも有数の"おのぼりさん"密集地帯だと気づいたこと。自身が福島県出身のように、日本全国、いや世界中のいろいろな場所から人が集まっている。そして、もしみんなが六本木をふるさとだと思える仕組みがあれば、自然と仲良くなって、ここから世界平和を発信できるのでは......。
今回のアイデア実現プロジェクトは、箭内さんの構想をもとに、各都道府県の形がデザインされたシールを制作、4月19・20日に開催される「六本木アートナイト2014」で配布するという企画。そして3月某日、できあがったシールのサンプルを手に、箭内さんと都内のスタジオで打ち合わせをすることになりました。
「大丈夫ですか、この企画? たぶん盛り上がるかウザがられるか、そのどっちかじゃない?(笑)」
開口一番、箭内さんから、こんな発言が......。でも、シールを見ながら相談するうち、「今さらこんなこと言うのもおかしいけど、これやっぱり、面白いかもね」。そして、プロジェクト名は無事「ふるさとシール」に決定しました。
「大阪はイメージよりもずいぶん面積が小さいし、長崎は思ったよりも島が多く、こうやって見ると美しい霧のようにも見える。他の県の人間はこうやって見ると驚くけど、出身者にとってはなじみのある形なんでしょう。きっと県の形って、その人のアイデンティティにも影響を与えていると思う。長崎出身の人......前川清さんとか福山雅治さんも、なんかそんなイメージないですか?(笑)」
「ふるさとシール」には、各都道府県のシルエットに加えて、頭文字のアルファベットが添えられています。都道府県の名前がはっきり書かれていないのは、"おのぼりさん"であることを隠したい人もいるだろうという配慮から。
「漢字で『福島』とか書いてあったら、ねえ......。これを貼っただけで恥ずかしくて仕方ないって人もいそうだから(笑)。僕もそうだったけど、20代は出身地を隠したい時期だろうから、同郷の人だけがわかるくらいがちょうどいい。そんな人たちが、自分のルーツと向き合うことになるのも面白いし」
シールは、東北、関東、近畿など地方別に色分けがされているほか、外国の方のための「大陸版」もあり。アートナイト期間中には、シールを見せると周辺のお店で特典を受けることもできます。
「僕の好きなお店『串とろ』は、マスターが青森の人だから、同郷の人が集まったら楽しいでしょうね。『おめ~もか~』なんて言いながら。ちなみに僕は......かっこいい黒服の人が青森県出身だったりするのを見つけたら、それだけでキュンとしちゃいますね(笑)」
打ち合わせは徐々に白熱し、話題は「ふるさとシール」の使い方へ。「このプロジェクトはただのきっかけで、そこから何か新しいことがはじまったりするかどうかは、参加する人次第」と言いながら、箭内さんは、たくさんの"遊び方"を提案してくれました。
「シールを使ってふざけるのがいいと思いますね。同郷の人を見つけるのは基本として、『福島県出身をいっぱい探してやる!』ってハンティングみたいに楽しむのもいいし、どこかのお店に47人分の席を予約して『全都道府県の人を集めてみんなにおごるんだ!』なんて人がいても面白い」
シールに「Talk to Me」と書いてみたり、同じシールを貼っている人に出会ったらその土地の言葉であいさつしたり、ツイッターで集合場所を呼びかけたり......。他にも楽しみ方はいろいろ。
「インタビューのときにも言いましたけど、正直、バッヂとかシールなんてどうでもいいんですよ。みんなが仲よくなって、最終的に、県とか国の違いなんて関係ない、ってなったらいいなあって。せっかく、六本木未来会議から生まれた企画なんだから、いろんな人が"未来会議"のパネラーみたいになって、新しいストーリーが生まれるといいですよね」
「ふるさとシール」の配布は、六本木アートナイト開催中の4月19日(土)、12~21時まで(無くなり次第終了)。東京ミッドタウンのアトリウムをはじめ、六本木の街なかでも配布します。シールを貼るか貼らないかは、あなた次第。当日の様子は、5月7日公開の後編でレポートします。どうぞお楽しみに。