デザインとアートの領域で活躍するクリエイターへのインタビューを通じ、街を変貌させるアイデアを聞く六本木未来会議。そのアイデア実現プロジェクト第一弾、 大宮エリーさんが考える「心に機能する参加型アート」とは? メトロアベニューを舞台に行われる「アートウォールオーケストラ」の構想を伺いました。
実はアートウォールオーケストラって名前は、タイトルを付けなくてはいけなくて、急いで名付けたんです(笑)。でもその名の通り壁と音楽を利用して、面白いことをしたいな、というイメージはずっとあって。というのも、海外の地下道を歩くとパフォーマンスに出会うことって多いですよね。絵を描いていたり、トランペット吹いていたり、パントマイムをやっていたり。普通に通り過ぎるような地下道で、不思議なことをやっているのってあまり日本にないな、と思っていたんです。
東京ミッドタウンのメトロアベニューでやろうと思ったのは、いろんな人が行き交う地下道だから。いつもはただただ目的地に向かうための通路なんだけど、そこで何かが起きることで景色が変わって、そこを歩く人たちが楽しくろうって考えたんです。例えば作品を鑑賞するためにその空間に行くのではなくて、いつもの場所でいつもと違ったことに出会う。さらにその不思議な何かに、いろんな人が参加できるようになれたらいいな、って思ったんです。
アートウォールオーケストラの舞台となる『メトロアベニュー』を入念にチェックするエリーさん。壁の幅や高さ、通りを歩く人からの見え方などなど、いろんな角度から検証していました。
六本木が敷居の高いアートの街ではなくて、人の暮らしに根ざした温かみのあるアートの街になるといいですよね。いろんな人が行き交うこの場所で、ちょっとの何かでアートになるようなことがしたいです。例えば自転車に乗れなかったのに、あるときバランスが取れて乗り方を覚えた瞬間、あの感覚って楽しいですよね? 自転車に乗れなくても人生に大きく影響がないけど、乗れればちょっと楽しくなる。そんなことを増やしていきたいんです。いつも通っているこのメトロアベニューが、どんな地下道に変身するか、楽しみにしていてください。