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INTERVIEW
144
SIDE COREアーティストユニット SIDE CORE / Artist Unit
SIDE CORE / Artist Unit

『1年に1回、高速道路を歩行者天国にできるか』【後編】

街の隙間で、瞬間的な作品を。

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update_2023.01.25 photo_tada / text_ikuko hyodo

(画像左から)西広太志さん、高須咲恵さん、松下徹さんによるアーティストユニット、SIDE COREは、ストリートカルチャーをベースに、都市や地域とのつながりを視覚化する作品を創り続けています。そんな彼らが、街にどうコミットしてきたのか。そしてコロナ禍を経た現在の街を、どう見ているのか。森美術館で開催中の『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』の参加作品や、これまでのプロジェクトを振り返りながら、語っていただきました。

前編はこちら

役割を固定化させない関係性から生まれるもの。

高須咲恵SIDE COREは、3人の役割をできるだけ固定しないようにしています。だから作品によって、中心になる人や手を動かす人が毎回違う。考えていることやこだわるポイントがお互いバラバラだから、変に組織化しないほうが自分たちには合っています。もちろん得手不得手はありますけど、それも絶対視しない。そういう意味で、バランスがとれているような気がします。

松下徹企業であれば、役割を明確にした方が仕事も回るだろうけど、誰がどの位置にいて、どの仕事をしても基本的にいいと思っているし、それを実践できるのは面白いですよね。

高須あと制作の時は、結構みんなよくしゃべるよね。ああだこうだ話し合って、ひっくり返ることも珍しくないし、あまりまとまらないことの方が多い。話している時間はすごく長いと思います。

松下たしかに打ち合わせは長い(笑)。

都市と地方を分けるのではなく、つなげるような作品を。

高須建築にも同じことが言えると思うのですが、都市には規制やルールがたくさんあるので、作品を制作・展示するという面では、地方の方がのびのびしやすい気がします。

松下都市と地方にはたしかに全然違う秩序が存在するんだけど、そもそもこのふたつを分けること自体が、問題だったりしますよね。都市を最適化するために、地方のリソースが利用されていたりするので。《rode work》を最初に出品したのは石巻の『Reborn-Art Festival』ですが、そういった都市と地方のつながりを表現した作品でもあるんです。

高須なぜだか、都市と地方の違いについて質問される機会が多いんですけど、自分たちの中で特に分けて考えていないから、違和感が生じて、答えるのに考え込むことがあります。

松下結局、地方で展示をしたとしても、都市と何らかのかたちでリンクするプロジェクトになる場合が多いですしね。青森で開催した、青函トンネルを題材にした展覧会『under pressure』では、道路インフラについて調べていくと、都市のシステムをつくるために道路交通網を整備していった近代化の歴史につながっていきました。

京丹後で4年ほどかけて行った《岬のサイクロプス》というプロジェクトでは、灯台をテーマにした作品シリーズを手がけていて。ただしこれも日本は海に囲まれていて、海沿いの地域ならどこにでも灯台はあるという意味で、その場所以外でも理解できる作品だと思います。また京丹後には軍事目的で「Xバンドレーダー」と呼ばれるレーダーが置かれており、日本にはふたつのみ設置されているのですが、これを見ても東京と京丹後は密接な関係にあるのがわかります。

高須都市と地方の違いは、限りなくグラデーションですからね。

under pressure

under pressure

国際芸術センター青森で2021年に開催された、SIDE COREによるEVERYDAY HOLIDAY SQUADの個展。青函トンネルに関するトンネルの斜坑や24年に及んだ工事が現在に残した土砂埋立地などをリサーチ。大量に海に放出され続けているトンネルの湧き水に注目し、「土木工事と環境の循環」をキーワードに作品を制作した。
提供:青森国際芸術センター
撮影:表恒匡

岬のサイクロプス

岬のサイクロプス

全国で数が減りつつある灯台をテーマにした連作。もともとは軍事拠点である灯台を巨大な「目」に見立てたり、丹後半島の灯台の跡地に常夜灯を灯す映像作品を制作。京都の各地域を舞台に、2021年に開催された『ALTERNATIVE KYOTO─もうひとつの京都─想像力という〈資本〉』で発表。

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求められるのは、精神的な耐久性のある建物。

高須六本木ヒルズで開催中の『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』に参加していますが、搬入の時にバックヤードを通ってあらためて気づいたのが、六本木ヒルズができてもう20年近く経っていること。今は虎ノ門ヒルズとか表参道ヒルズもあるけど、「ヒルズ」という響きが六本木を象徴していた時代がありましたよね。今もヒルズと言えば、私は六本木が浮かびます。高層ビルの曲線デザインも六本木ヒルズがはしりでしたし、ああいう曲線そのものが未来のイメージと結びついていたはずなのに、今見るとそうでもなく感じることに驚きました。曲線を使った柔らかい形のビルが増えたのかもしれません。

西広太志この20年間で自分たちがアップデートされて、情報が新しくなっているから、そう感じるんでしょうね。例えば神田とかにある古い雑居ビルだって、建設当時は新しかったわけだし。

高須というか、ヨーロッパの様式を真似た明治時代の建物と曲線の高層ビルは全然違って、建築の歴史の中で、ある意味、突然出てきた形なわけじゃないですか。

松下たしかにコンピューターのテクノロジーを駆使して設計されたビルって、未来の建物というイメージをずっと持っていたけど、そのイメージ自体も変化することを体現しているのだと思う。都市開発は未来をつくっていくことでもあるけれど、それすらある時点から急に古くなって、過去に変わってしまう。本当の意味で残すことのできる未来を設計できていないっていうのは、日本の都市開発全般に関して思うことだったりしますね。

高須知人の建築事務所に、ヨーロッパからのインターン希望者が殺到するらしいんですけど、その理由のひとつとして、日本の建物はスクラップ&ビルドを前提に建てられているから、新築のチャンスが多く、練習場みたいになっているんです。そういう話を聞いても、残すということの観点がそもそも違うんだろうなと感じます。工事もずっと続くし、東京の風景ってそれらでできているんだと思う。

松下仮に建物が物理的な耐久性を持っていたとしても、時間が経って価値や意味が変わることによる、精神的な耐久性まで考慮されているものは少ないと思います。建物が完成した時点でつくられたイデオロギーに固執し続ける必要はないと思うけど、そこで示された都市のヴィジョンは共感し続けられる方がいい。だからどんな開発もいつかは過去になってしまうことを踏まえて、都市開発のビジョンを示していく必要があるのかもしれないですね。

変化の瞬間を積み重ねる日常。

松下六本木アートナイトには、僕たちも参加させてもらったことがありますが、このイベントも結構長いことやっていますよね。だからいい加減ネタは出尽くしただろうなと、正直思っていたんです。だけど去年、六本木交差点の高速道路の橋桁をカラフルな絵で覆った、今井俊介さんの作品が気になっていて、こんな許可取れたんだって事例がまだまだ出てきているんですよね。さっきの建築物の話みたいにある程度、恒久的に残す前提だと、いろんな制約があって難しいだろうけど、瞬間的にだったら普段の都市のルールを超えることも可能になる。それが、アートナイトの面白さだと思うんです。

UNTITLED

UNTITLED

絵画の基本的要素である、色、形、空間についての考察をもとに制作を行うアーティスト、今井俊介による作品。『六本木アートナイト2022』では、六本木交差点上を走る高速道路の橋脚に展示された。
今井俊介 《untitled》2017年

高須その瞬間だけ許されるのが、祭りの醍醐味だからね。

松下その考えを発展させて、祭りとは捉えず、かといって長期的なビジョンで残すことも考えず、瞬間的に変化し続けることができたら面白いんじゃないかな。アートナイトでやっているような瞬間的な変化が、2週間くらいのタームで街に立ち現れては消えていく。それを祝祭ではなく、日常的にできたらいいですよね。

西広ワタリウム美術館がキュレーションした『水の波紋展2021』に参加した時は、展示した場所が空き地のような都市空間の隙間ですごく面白かったですね。空いたビルを使うプロジェクトは、これまでもたくさんあったけど、普通であればアートの舞台にならないような場所で何かやってみたい。「ここでアート作品をつくってください」っていうのが、ある種フォーマット化されて街おこしみたいになっているから、フォーマット化されていない場所を見つけたいんですよね。

水の波紋展2021 消えゆく風景から ー 新たなランドスケープ

水の波紋展2021 消えゆく風景から ー 新たなランドスケープ

変容する"都市の姿"に着目し、ワタリウムが位置する東京・青山周辺の27箇所に現代美術作品を展示。1995年、ワタリウム美術館とキュレーターのヤン・フートとの協働により企画された『水の波紋95』展から26年ぶりの開催となった展覧会。SIDE COREは同展覧会内で《地球 神宮前 空き地》というグループ展を開催した。
提供:水の波紋展2021
撮影:後藤秀一

松下そういう意味では、高速道路を歩いてみたい。飯倉ICから高樹町ICくらいまで。車を運転していると、一瞬しか風景が見えないじゃないですか。そんなことで日本の物流を止めていいのかは謎だけど(笑)。

西広高速道路を歩ける日っていうのが、1年に1日だけあってもいいかもしれない。

高須川下り的な感じで"道路下り"したいよね。ビル視点からだと高すぎて臨場感がないし、普段よりちょっとだけ高いところから街を眺めてみたい。

松下それができたら絶対楽しいよね。

撮影場所:『六本木クロッシング2022展:往来オーライ!』(会場:森美術館、会期:2022年12月1日~2023年3月26日)

取材を終えて......
ストリートカルチャーが重要なモチーフとなっているSIDE COREには、「都市」のイメージがありましたが、当のご本人たちは都市と地方を分けておらず、「街」をより多層的に捉えているのが印象的でした。そうした視点を持ち得るのは、作品やプロジェクトが形になる前の、その土地に対する綿密なリサーチがあるからこそ。普段から話し合っている時間が長い、という3人。役割分担を決めず、自由に意見を交わすことで、思わぬ疑問やアイデアが生まれる過程も、取材を通して目の当たりにすることができました。(text_ikuko hyodo)

前編はこちら

松下徹(SIDE CORE)

松下徹(SIDE CORE) / アーティスト
松下徹(SIDE CORE) / アーティスト

2012年に高須咲恵と松下徹により活動を開始し、2017年に西広太志が加入する。「風景にノイズを起こす」をテーマに、ストリート・カルチャーの視点から公共空間を舞台にしたプロジェクトを展開。展覧会の企画を主な活動としながら、作品を街中に点在させて建築や壁画、グラフィティを鑑賞しながら街を巡る「MIDNIGHT WALK tour」を開催、都心湾岸沿いでスタジオ兼プロジェクトスペースのランニングなど、多彩な活動を行う。

高須咲恵(SIDE CORE)

高須咲恵(SIDE CORE) / アーティスト
高須咲恵(SIDE CORE) / アーティスト

2012年に高須咲恵と松下徹により活動を開始し、2017年に西広太志が加入する。「風景にノイズを起こす」をテーマに、ストリート・カルチャーの視点から公共空間を舞台にしたプロジェクトを展開。展覧会の企画を主な活動としながら、作品を街中に点在させて建築や壁画、グラフィティを鑑賞しながら街を巡る「MIDNIGHT WALK tour」を開催、都心湾岸沿いでスタジオ兼プロジェクトスペースのランニングなど、多彩な活動を行う。

西広太志(SIDE CORE)

西広太志(SIDE CORE) / アーティスト
西広太志(SIDE CORE) / アーティスト

2012年に高須咲恵と松下徹により活動を開始し、2017年に西広太志が加入する。「風景にノイズを起こす」をテーマに、ストリート・カルチャーの視点から公共空間を舞台にしたプロジェクトを展開。展覧会の企画を主な活動としながら、作品を街中に点在させて建築や壁画、グラフィティを鑑賞しながら街を巡る「MIDNIGHT WALK tour」を開催、都心湾岸沿いでスタジオ兼プロジェクトスペースのランニングなど、多彩な活動を行う。

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