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INTERVIEW
135
エキソニモアート・ユニット exonemo / Artist Unit
exonemo / Artist Unit

新旧も老若男女も関係ない、無意味でド派手なお祭りを開く【前編】

境界線をまたぐ多様性と妄想に満ちた空間を。

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update_2022.03.16 text_koh degawa

千房けん輔さんと赤岩やえさんで結成され、現在はニューヨーク在住のアート・ユニット、エキソニモ。インターネット黎明期からインターネットを用いた作品を発表し、インスタレーションやパフォーマンス、イベント主催など様々な活動を行っています。現在、六本木ヒルズの東京シティビューで開催中の『楳図かずお大美術展』で作品を展示しているエキソニモに、題材として取り組んできたインターネットの変遷、NFTやメタバースといった近年のテクノロジーへの印象、ニューヨークでの経験などについて、東京とニューヨーク間を繋ぎ、お話を伺いました。

後編はこちら

常に変化するインターネットと現実の境界線。

千房けん輔僕らはメディアアートの制作を通じて、いつも境界線について考えてきた気がします。バーチャルと現実、デジタルとアナログ、人間とロボット。境界線の位置は常にアップデートされて、時代とともに変わっていくものでもあります。活動をはじめた頃には、インターネットはアーリーアダプターが使う特別なものだったけれど、今では誰でも当たり前に使ってますよね。そんなふうに、ふたつの間の境界線は、違うところに移動したり、別のところに生まれたりする。どこに境界があるかを探るのが、ひとつの活動のスタイルになっていきました。

赤岩やえ以前は、インターネットは、「いってきます!」みたいな、接続する瞬間を意識して飛び込むものだったのに対して、今は片足、というか両足を常に突っ込んでるようなものですよね。そうしてインターネットと現実世界の境界線が曖昧になっていったりして、その変化が面白いな、と。

最初に境界線を意識したのは、インターネット上のみで発表していた作品を、リアルなスペースで展示した時。展示だと、紙だったら紙にフィックスしないといけないし、お金もかかるので興味がなかったのですが、2000年にふとしたきっかけで展示に参加することになったんです。インターネット空間にしかなかった作品が、境界線の外に出たのが新鮮な体験でした。

《KAO》1996年

《KAO》1996年

エキソニモのネットアートとして初の作品。福笑いのように、顔のパーツを配置して送信し、他の顔と混ざりあって、子どもが生まれるユーザー参加型の作品。2000年頃までは、こうしたウェブ上のみで体験できる作品を中心に発表していた。2000年、ロッテルダム国際映画祭にて『Tech.Pop.Japan』展に参加。
「エキソニモ UN-DEAD-LINK アン・デッド・リンク」展より
提供:東京都写真美術館 撮影:丸尾隆一
URL:http://www.exonemo.com/KAO/indexJ.html

《断末魔ウス》2007年

《断末魔ウス》2007年

マウスが破壊される瞬間のデスクトップ上のカーソルの動きと、その模様を映像で記録した作品。マウスというフィジカルとデスクトップというデジタルの両面を取り込み、実空間でも様々なメディアを用いて作品を制作するようになった。

フルリモートで発見した展覧会とアーティストの関係性。

千房『楳図かずお大美術展』で制作したインスタレーション作品《回想回路》は、漫画『わたしは真悟』を題材にしたもの。コンピュータが人格を持ちはじめたり、AIが仕事を奪ったりと、古い作品でありながら現代の問題を鋭く指摘していて、僕らがやってきたこととシンクロするし、すごくシンパシーを感じました。今回、フルリモートで作品のインストールを行ったのですが、実はまったくストレスを感じなかったんです。

リモートって、考えてみると面白くて。アートの展示はある意味、もともとリモートじゃないですか。歴史的に言うと、アーティストが現場に行って自分で設営できることってあまりなくて、例えばピカソやデュシャンなど、歴史的な作家の展示は作家の死後にも行われ続けるので、そう考えるとほぼあの世からのリモート展示。作品を通して伝えるということ自体もメディアを媒介にしている時点でそうですよね。展覧会とアーティストの関係、作品と鑑賞者の関係は、新しい観点でまだまだ掘り下げられそうで、気になってます。

『楳図かずお大美術展』

『楳図かずお大美術展』

ホラー漫画界の巨匠、楳図かずおの代表作『わたしは真悟』『漂流教室』『14歳』に焦点を当て、27年ぶりの新作『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』を初公開する展覧会。エキソニモ、冨安由真、鴻池朋子の3作家も参加。2022年3月25日(金)まで、東京シティビューにて開催。
URL:https://6mirai.tokyo-midtown.com/event/umezz_kazuo/index.html

 《回想回路》2021年

《回想回路》2021年

長編SF漫画『わたしは真悟』の作中場面がモニターに表示されたインスタレーション作品。作中で描写されるランドセルや東京タワーなどが現実空間でも登場。作品世界に没入する体験を、エキソニモらしいテクノロジーを用いて実現している。
©エキソニモ ©楳図かずお/小学館
Photo: Ken Kato

赤岩でも、リモートで難しかったこともあったよね。≪回想回路≫は音を使う作品なのですが、現場で直接確認することができなくて、調整しづらさを感じたり。

千房そうそう、例えば、Zoomでニューヨークと現場を繋ぐのですが、ノイズキャンセルが強く機能しすぎてまったく現場からの音が聞こえないんです。なので、六本木の優秀な制作スタッフの感性を信頼して設定してもらうという形で進めました(笑)。

赤岩でも、やっぱりいいこともある。昨年のWAITINGROOMで行った個展『CONNECT THE RANDOM DOTS』の時も、ニューヨークから帰国することができなかったので、すべてリモートでやったんですが、現場に行けないことで、いろんな介在が減って、コンセプトの段階から鋭いままの形で作品を実現できました。現場にいたらもっと盛り込んでいたと思います。

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NFTもインターネットも最初は敬遠される。

千房『CONNECT THE RANDOM DOTS』では、NFTを扱ってみたのですが、特にメディアアート業界では、まだNFTアートについて賛否両論で。僕としては、電力消費による環境負荷が大きすぎるなど、NFTの問題はまだあると思うのですが、背景にあるブロックチェーンという技術自体は面白いので、特に否定する気分にはならなくて。

CONNECT THE RANDOM DOTS

CONNECT THE RANDOM DOTS

2021年、WAITINGROOMにて開催された個展。幼児向けの知育教材「点つなぎ」から発想した、個展と同タイトルの書籍では、コンピュータでランダムに設置された点(ドット)を線で繋いでいくことで誰でも抽象画を描くことができる。また、各ページの所有権を付与するNFTを販売し、所有者同士が繋がるウェブサイトも同時に公開した。
URL:https://connect-the-random-dots.ooo

ブロックチェーンは世界中のコンピュータが計算して維持しているから頑丈なシステムであると信じられているのですが、たったそれだけでものすごい価値が生まれていることが、人間の進化の過程で生まれた認識をシンボリックに実現してしまっているな、と。そもそも、お金とかアートは、何を価値とするかは人間自体の特質が関わっていて、それをコードを走らせてシステムとして実現しているのが面白いですし、何もないところに急に価値が生まれるところに、やっぱり人間くささも感じる。だからブロックチェーンもどこか芯を食っている気がして、まだまだ探求すべきだという予感があります。

赤岩ニューヨークでも、アーティストたちの中でNFTに対して、良い、悪いがぱっきりと分かれている状況で、早い人はすぐに手を付けていて、私たちは遅いくらいだったのですが、結局やってみないとわからないよね、ということでとりあえず、東京での個展の前にオークション形式で何点かNFTアートを販売してみました。NFTアートを嫌う人の中には「クオリティが低い」「アートだと思いたくない」と思う人が多くて、その気持ちもわかるのですが、可能性を少しでも感じるなら飛び込んだ方が面白いし、ちょっと雰囲気が、インターネットの初期の頃と似ているんですよね。

インターネットアートも初期の頃は誰も振り向かなかったし、アートだなんて誰も認めなかった。そこから少しずつ形を成していった歴史がある。同じようにNFTアートも、良いものも悪いものもごちゃごちゃと混じりながら、それを外から見るより、中でやった方がやっぱり面白いと思っています。こんなことが起きてるインターネットって久々だよね。

千房そう。で、やっぱり嫌われてるところがポイント(笑)。

テクノロジーの発展は、人間の本質に関わるもの。

千房仮想通貨ってお金のバーチャルバージョンですよね。ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』では、人間として一歩進んだ時に、嘘や架空の話を信じることができるという能力の獲得、つまり認知革命が起きた、と言っているんです。例えば、宗教や国も、仮想の概念ですよね。で、そうなると、インターネットも人間のバーチャルな認知を追従して生まれてきたわけで、そこまで遡ることができる。あらゆるものをバーチャル化しようとすること自体が、人間の本質であり、必然だと思います。そういう意味では、今さら変化を恐れてもしょうがない。

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

イスラエルの歴史学者、哲学者、ユヴァル・ノア・ハラリによる人類史を俯瞰した一冊。ホモ・サピエンスが繁栄したのはなぜか、その鍵として「虚構」があると説く、過去から現代までを総括する大スケールの一冊。

赤岩そもそも新しいテクノロジー自体には、そんなに期待していないんです。普段から、みんな、自分は変わりたいと思っていて、その思いにテクノロジーが応えてくれるから、多くの人が飛びつくと思うんです。でもその行く末が良いのか悪いのかはわからない。SNSは、トランプのような人をつくりあげたとも言えますし。

千房テクノロジーも社会も、行ったり来たりの揺れがあるのがヘルシーで、止まってしまうことの方が危険なのかもしれない。Facebookがmetaになり、メタバースを進めていますが、たぶん一度はダメになって20年後くらいにやっと実現されるんじゃないでしょうか。パンデミックが終われば、みんなバーチャルはそっちのけで外に行って遊ぶでしょうし、夏頃になったらNFTなんて買う人はいなくなるんじゃないかなとも思ったりもして。そういう揺らぎこそがエネルギー源だと思っています。

※画像はオンラインインタビューで撮影したスクリーンショットを使用しています。

後編はこちら

千房けん輔(エキソニモ)

千房けん輔(エキソニモ) / アート・ユニット
千房けん輔(エキソニモ) / アート・ユニット

怒りと笑いとテキストエディタを駆使し、さまざまなメディアにハッキングの感覚で挑むアートユニット。千房けん輔と赤岩やえにより、1996年よりインターネット上で活動開始。2000年より活動をインスタレーション、ライヴ・パフォーマンス、イヴェント・プロデュース、コミュニティ・オーガナイズなどへと拡張し、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手がける。2006年《The Road Movie》がアルス・エレクトロニカ ネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞を受賞。2012年よりIDPWを組織し「インターネットヤミ市」などを手がける。2015年よりニューヨークに拠点を移す。

赤岩やえ(エキソニモ)

赤岩やえ(エキソニモ) / アート・ユニット
赤岩やえ(エキソニモ) / アート・ユニット

怒りと笑いとテキストエディタを駆使し、さまざまなメディアにハッキングの感覚で挑むアートユニット。千房けん輔と赤岩やえにより、1996年よりインターネット上で活動開始。2000年より活動をインスタレーション、ライヴ・パフォーマンス、イヴェント・プロデュース、コミュニティ・オーガナイズなどへと拡張し、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手がける。2006年《The Road Movie》がアルス・エレクトロニカ ネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞を受賞。2012年よりIDPWを組織し「インターネットヤミ市」などを手がける。2015年よりニューヨークに拠点を移す。

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