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INTERVIEW
135
エキソニモアート・ユニット exonemo / Artist Unit
exonemo / Artist Unit

新旧も老若男女も関係ない、無意味でド派手なお祭りを開く【後編】

境界線をまたぐ多様性と妄想に満ちた空間を。

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update_2022.03.16 text_koh degawa

千房けん輔さんと赤岩やえさんで結成され、現在はニューヨーク在住のアート・ユニット、エキソニモ。インターネット黎明期からインターネットを用いた作品を発表し、インスタレーションやパフォーマンス、イベント主催など様々な活動を行っています。現在、六本木ヒルズの東京シティビューで開催中の『楳図かずお大美術展』で作品を展示しているエキソニモに、題材として取り組んできたインターネットの変遷、NFTやメタバースといった近年のテクノロジーへの印象、ニューヨークでの経験などについて、東京とニューヨーク間を繋ぎ、お話を伺いました。

前編はこちら

アーティストが自然でいられる街、ニューヨーク。

千房けん輔6年前から、ニューヨークに来ているんですが、子どもの学校の親とか、家の大家さんとか、身近な人がアーティストだらけで。しかも、いろんなタイプのアーティストがいて、メディアアートをやってることが目立たないほど。日本とはまったく違う状況に最初は驚きましたね。

赤岩やえそうそう。日本では、子どもの幼稚園で親同士の会話の中で、アーティストです、と言うと、がちっと線を引かれる感じがあって。「変な人なのかな」みたいな(笑)。でもこちらは垣根がなく、線を引かれることもなく。あとは、女の人が強いので何でも言うし、女性のメディアアーティストもたくさんいるので、とってもやりやすいです。

あとは、こっちに来た頃はちょうど現代美術とメディアアートが近づきつつある時期だったんですが、大きな美術館でメディアアートの展覧会があったり、大規模なオークションがあったり、そういうシーンが見たいと思っていたので、そこにも面白さを感じましたね。最初は半年くらいで帰ると思っていたんですが、まさか6年もいるとは予想もしてませんでした。

千房ニューヨークは、地球上ではここくらいなのかな、と思うほど多様性があって、もちろん問題もあるんですが、様々な人種の人々がたくさんいて。他に同じような街があれば住んでみたい。

赤岩そういえば30代の頃、東京では六本木の「SuperDeluxe」に毎日のように遊びに行ってた時期もありました。集う人たちに多様性があって、楽しかったことを思い出しました。

まったく意味がない、ということの重要さ。

千房六本木でプロジェクトをやるなら、何か社会の役に立つというよりも、まったく意味のないことをやってみたいですね。最近では、SEA(ソーシャリー・エンゲイジド・アート)が潮流のひとつとなって、社会貢献に関わっていくアートが注目されたりしました。それは否定はしないんですが、アートって人間の社会活動の中でまったく意味のないことであるのも重要だと思うんです。知り合いで「huez」というステージなどの空間演出をする人たちと話していたのは、レーザーやプロジェクションを使ってものすごいバカみたいなインスタレーションをやりたいよね、と。そういうのは、六本木だったら合うんじゃないかな。

huez

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株式会社渋都市所属の空間演出チーム。レーザーやプロジェクターなどのテクノロジーを用いた演出を行う。プログラマー、エンジニア、VJ、映像作家、照明、ディレクターなどが在籍し、バーチャル空間のライブ演出なども手がける。

赤岩やっぱり多様性じゃないけれど、まだ六本木にそういうところがあるなら楽しいかもしれない。やるならお祭りとかかな(笑)? 六本木って麻布十番あたりまで行くと独特の古いエリアがありますよね。それこそタモリさんが好きそうな坂道があったり、少し行くと住宅地に続いていたり。そういう街の新旧が混ざったところも面白くて、六本木に行くまでに古い街並みを通って、キラキラとした六本木に行く感じも、取り込んでみたいです。

千房ふたつを合わせると、まったく意味のないド派手な祭りって感じですかね(笑)。新しいものも古いものも、老若男女も関係なく、ドヒャー!ってなるだけの祭り(笑)。ドヒャーってなって日常から外れたところから日常を見てみると、いろいろ気がつくこともある、そういう効能もアリで。

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インターネットと都市の関係から生まれる違い。

赤岩都市の話で言うと、10年くらい「インターネットヤミ市」というイベントをやっています。コンセプトを共有できたら、誰でもどの都市でも開催していいよ、というオープンプラットフォームにもしていて、今は30都市くらいに広がってきています。

インターネットヤミ市

インターネットヤミ市

エキソニモが中心となり立ち上げたインターネット上の秘密結社IDPW(アイパス)が運営する「インターネットっぽいもの」を自由に売り買いできるフリーマーケット。東京、ベルリンやニューヨーク、台中など世界各地で開かれている。

千房ちょうど今、大林財団の「都市のビジョン」という助成プログラムの中で、世界中で開催された「インターネットヤミ市」を10周年記念の本にまとめる作業をやっていて。

赤岩インターネットらしいとか、これがインターネットという感覚を、ものでもアイデアでもどんな形でも売り買いするというスタイルのイベントなのですが、その感覚ってそもそも共有できるの? というのがはじまりでした。まず日本でやってみたら、わりと「そういうこと!」と掴めた感じがして、世界の他の都市でも共有できるのか、興味が出てきたんです。

はじめて海外で開催した都市はベルリン。日本で出てきた特有のネット民の感じが、やっぱりベルリンでも出てきて、インターネット上で共有される感覚や文化はあるんだと実感できました。もちろん、都市や社会によって差もあって。例えば、ベルリンだったら、政治的なものが出てきやすいし、宗教的なものは軽々しく扱えないという空気感なのですが、一方で、日本ではアイコンとして神社を使ったりして......。10年間、いろいろな都市で開催されてきたことで、フィジカルの差が都市ごとに出てくるってことがわかりました。

バーチャルの世界で、先に進んでいる日本。

千房ニューヨークに住んでみて、もうひとつ驚いたのは、インターネット空間のありかたの違い。インターネットってもともとアメリカで開発されたこともあってか、現実の社会を拡張した、地続きのものとしてインターネットが捉えられています。あくまで道具であり、現実があってこそのインターネット空間という感じ。

一方日本では、現実とは異なるバーチャル空間だと捉えられていますよね。現実と地続きではない特殊なハレの場として、別人格で自分を解放してもよいことになっている。どちらがいいということではないんですが、国によって捉え方が全然違うし、中でも日本のバーチャル空間の捉え方は特殊だと感じます。

赤岩昔、ゲームの「セカンドライフ」が流行っていて、バーチャルなんだから当然現実とは関係のない別世界だと、私は捉えていたんです。だから、現実ではできないことをやろうと素っ裸のアバターでパーティーに行ってみたことがあるんです。そしたら「マナーがなってない!」と外国の人のアバターにすごく怒られて(笑)。当時は現実世界じゃないんだからいいじゃん、と思っていましたが、こちらに来てその感覚が理解できました。

千房南米から来た同僚からの話で、日本の漫画やアニメの深いカルチャーが生まれた理由は、日本に住む人たちは日常生活で感じているプレッシャーがあるから、アニメや漫画などのファンタジーの世界で爆発させている、と言っていて。南米では、普段から街中でも爆音で音楽を流して踊ったりして発散させているのとは逆で、妄想のバーチャルな空間での爆発力が、世界でもレベルが高いっていう。

赤岩素っ裸になった私がいたわけだから、もしかしてメタバースが進化していくのは日本からなのかもしれない。現実とは地続きじゃない世界ができたら、それはそれで素晴らしいじゃないですか。

千房ボーカロイドもこちらでは「人間が歌っていないからだめ」とまったく流行ってないのですが、そういうのを軽々と乗り越えられる日本は、マインドセットがかなり先に行っちゃってますよね。日本の発展の方向性として、現実逃避や妄想の先の新しい世界そのものをつくることに力を入れた方がいいんじゃないかな。

赤岩日本メタバース幕府みたいなやつをつくってね。

千房そこに観光客を呼べたら、日本はヤバいってなるでしょうね(笑)。

※画像はオンラインインタビューで撮影したスクリーンショットを使用しています。

取材を終えて......
電話機と連動している回線で一ヶ月に21時間の制限つきで覗き込めたインターネットの世界。ジリジリという音とともに接続がはじまると自分の年齢や性別を超えて楽しめるバーチャル空間が広がっていることに夢中になっていたのを覚えています。フィジカルなコードでつながれた向こう側の世界への憧れは、東京シティビューで見た大量のケーブルを前にした時の恍惚感にも似ているような気がします。そのコードの先に広がる空間、そして誰にでもなれる感覚がまさか特別なものだったとは。甘いインターネット黎明期の思い出を胸に、新しいバーチャル空間が全盛期を迎えるのを待つことにします。(text_koh degawa)

前編はこちら

千房けん輔(エキソニモ)

千房けん輔(エキソニモ) / アート・ユニット
千房けん輔(エキソニモ) / アート・ユニット

怒りと笑いとテキストエディタを駆使し、さまざまなメディアにハッキングの感覚で挑むアートユニット。千房けん輔と赤岩やえにより、1996年よりインターネット上で活動開始。2000年より活動をインスタレーション、ライヴ・パフォーマンス、イヴェント・プロデュース、コミュニティ・オーガナイズなどへと拡張し、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手がける。2006年《The Road Movie》がアルス・エレクトロニカ ネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞を受賞。2012年よりIDPWを組織し「インターネットヤミ市」などを手がける。2015年よりニューヨークに拠点を移す。

赤岩やえ(エキソニモ)

赤岩やえ(エキソニモ) / アート・ユニット
赤岩やえ(エキソニモ) / アート・ユニット

怒りと笑いとテキストエディタを駆使し、さまざまなメディアにハッキングの感覚で挑むアートユニット。千房けん輔と赤岩やえにより、1996年よりインターネット上で活動開始。2000年より活動をインスタレーション、ライヴ・パフォーマンス、イヴェント・プロデュース、コミュニティ・オーガナイズなどへと拡張し、デジタルとアナログ、ネットワーク世界と実世界を柔軟に横断しながら、テクノロジーとユーザーの関係性を露にし、ユーモアのある切り口と新しい視点を携えた実験的なプロジェクトを数多く手がける。2006年《The Road Movie》がアルス・エレクトロニカ ネット・ヴィジョン部門でゴールデン・ニカ賞を受賞。2012年よりIDPWを組織し「インターネットヤミ市」などを手がける。2015年よりニューヨークに拠点を移す。

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