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INTERVIEW
120
富永勇亮プロデューサー/CEO Yusuke Tominaga / Producer/CEO
Yusuke Tominaga / Producer/CEO

『ミューラルアートの街を自走型ロボットが動き回る』【後編】

六本木に毛色の違うカルチャーを持ち込んでみる。

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update_2020.09.16 photo_yoshikuni nakagawa / text_ikuko hyodo

2019年秋に渋谷からオフィスを移転し、六本木の“住民”となったクリエイティブ・スタジオWhatever Inc.のCEO富永勇亮さん。新天地でもユニークなアイデアを次々と実現させていますが、そのベースとなっているのが、スタジオのメンバーだけでなくフリーランスのクリエイターやアーティストが集まるWHEREVERという場所と、流動的なチームのスタイル。CEOそしてプロデューサーとして、クリエイターの力をどう引き出しているのか、“なんでもあり”な企画力と実現力の秘密を探ります。

前編はこちら

個が強くなりつつあるからこそ、緩やかな連携を。

 Whateverを運営するうえで、根本にあるのがCreative Communeという思想です。通常の社員がいる他、Co-creator制度というのを設けていて、個人のアーティストやフリーランス活動をしながら、我々の会社にも所属するハイブリッドな働き方をしている人がいます。さらに国内外のさまざまなネットワークを通じた仲間も含め、クリエイター同士の緩やかな連携をCreative Communeと呼んでいます。これまでは個人が会社に所属して、会社が取ってきた仕事を個人に与えるのが、働き方の基本だったと思うんです。でも今はそれが変わりつつあって、個人がより強くなってきています。クリエイターの場合は特に「この人にお願いしたい」と指名されたり、SNSなどでも会社以上に発言力を持っていたりする。そうなると会社に所属する意味が、ほとんどないと言ってもいいですよね。

 一方で、仕事は複雑化しているので、個人だけでは出来ないこともたくさんあります。なので、強い個性が集まり、組織をうまく使えるようになれば最強です。「あの人がいるからここにいたい」と思える個人がたくさん存在する場所にしたい。そうなると、会社への所属の方法を正社員だけに限定するのではなく、より幅広い関わり方があったほうがいい。会社との関係性の深さを階層別にして関わる方法の事を、僕は"関係性のレイヤー"と呼んでいるのですが、会社のコアになっている社長や役員たちは、個人と会社の関係性が一番強いですよね。その次に正社員がいて、さらに複数の会社に正社員として所属するパラレルワーカーがいる。そして、自身のフリーランス活動とWhateverの仕事を両立しているCo-creatorがいる。もうひとつのレイヤーとして、会社は違うけど場所を共有しているシェアオフィスに入居しているクリエイターたち。逆に拠点にしている国は違うけれども、日本に来た時は、僕たちのオフィスで創作活動をするメンバーもいます。会社との関係性の濃さはレイヤーごとに違うけど、同じつくり手として共感できて、クオリティの高いものを目指す人であれば、みんな仲間だと思っていて。WHEREVERはそういう人たちが集まることのできる場所にしたかったんです。

 この思想に行き着いたのは、渋谷でシェアオフィスを運営して、いろんなつくり手が集まると新しいものが生まれることを実感できたからこそ。WHEREVERはスペースが広くなった分、さらに幅広い人が集まれるようになっています。3階、6階には出資先の会社が入居しています。3階はWTFCというプロデューサー集団の会社で、僕らの思想に共感してもらい東北新社とWhateverで共同出資して設立した会社。このビル(WHEREVER)はWTFCの事業として運営しています。6階のBASSDRUMは、エンジニアやテクニカルディレクターのみで構成された会社です。つくり手としての仲間が各階にいて、共有スペースで一緒にイベントやワークショップを開催したり、普段からごはんを食べたりもする。渋谷の時から進化した場所になっていますね。

場所の価値は減っても、ものづくりには場所が必要。

 仕事をする際も緩やかな関係性がいいと思っているので、明確なルールはあえて設けていません。契約書などもそうですが、決められた箱にクリエイターを入れてしまうと、その箱を超えることはないと思うんです。だったら可能な限り境界線を排除して、思想と気持ちだけつながっていたい。そういう意味では管理をしないのが、代表として僕のモットーといえます。ただし"管理をしない管理"の基本は、個がしっかりしていなければいけないので、最初のセレクションがとても重要。会社のメンバーはもちろん、実はこのシェアオフィスに入居するのにもセレクションがあって、ポートフォリオを提出してもらっています。一定のクオリティでものづくりをしていて、空気感が合う人だけに入ってもらっているんです。クリエイティブ面接があるシェアオフィスはたぶん他にないと思いますが、つくっているものを尊敬できないと一緒にものづくりをするのは難しいし、こちらも常にワクワクしていたいので。

 コロナ禍もあって、場所の価値は僕たちがここに移ってきた時よりもどんどん減っていると思います。実際、シェアオフィス入居直前にキャンセルになったりもしています。それでも、やっぱり大事なのは人のつながりだと思っています。すべてをオンラインで済ませることは難しいので、ある程度の場所はやはり今後も必要でしょう。仲間が今ここにいるから自分も行くというような、接点を持つための場所としてWHEREVERがある意味は大きいですね。

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暮らしに溶け込む都市のアイデンティティ。

 六本木の街をデザインやアートという観点で面白くするとしたら、このビルの壁面が大きいのでミューラルアート(壁画)を描いてみたいですね。渋谷から来た僕たちが、六本木のちょっと高級なアートのイメージを変えたいというのもあるし、同じような建物が多いので街の風景をもっと楽しくしたい。そして自走型ロボットが街を動き回る。僕たちはインタラクティブな仕掛けが得意なので、六本木の美術館と一緒に面白いことができそうな気もします。

 街の話でいうと、世界で一番好きな都市は京都です。生まれも育ちも京都ですが、外に出てみて本当に恵まれた場所なのだと気づきました。京都には300年続いているような会社がざらにあって、変わらないことをよしとしているから都市のアイデンティティがしっかりある。日本は特にそういう街がほかにないですよね。しかも都市のアイデンティティが、生活に浸透しているところもいい。たとえば有名な五山送り火はなぜやっているかというと、お盆にそれぞれの家に帰ってきたご先祖様が、迷わずに戻っていけるように山に火を灯すんです。花火などとは違う宗教儀式といえますが、そういったものが普通に暮らしに根付いているし、都市の一大イベントにもなっている。その感覚が素敵だなと思います。

"なんでもあり"は、個人のモチベーションが大事だから。

 僕の活動のモチベーションになっているのは、自分でつくった会社を辞めた経験かもしれません。大学生の時、兄たちとAID-DCC Inc.という会社を立ち上げました。そこで14年間働き、自分でもかなりの人を面接して、いい仲間もできたのですが、個人がより輝いて組織とのバランスがいい会社を新しくつくりたいというアイデアが浮かんで。でもその時、「14年間命がけでやってきた会社を辞めることになるのだ」と実感したらすごくさびしくなったんですよね。だからこそ、これからは"辞める"という状態がない関係性をつくりたいと思ったんです。もちろん会社から独立して次のステージに行くという考え方もありますが、関係性のレイヤーのように、時期によって密になったり疎遠になったりしても関係性が続いているのが理想的だなと。

 ベルリンにオフィスがあるのも、実を言うと積極的に決めたわけではないんです。一緒に働いていたエンジニアが、子どもが保育園にまったく入れなくて日本が嫌になったからベルリンに移住したいと言うので、だったらオフィスを出すかって、そういう経緯なんですよ。台北オフィスも、台湾人と結婚したニューヨークのメンバーが台北に移住するのを機につくりました。

 会社が個人のわがままを聞いてあげられる組織になっていると、素敵ですよね。というのも、ベルリンに行くと自分で決めるのはモチベーションやエネルギーが想像以上にいることなので。もしそれが会社命令で「明日からベルリンに行ってこい!」と一方的に言われたら「なんで!?」って思うじゃないですか。人のモチベーションをコントロールするのはとても難しいことだけど、モチベーションのある人に会社が場所や仕事を与えるのは、それほど難しくない。だから僕はいつも「楽しめてる? 嫌じゃない?」と社員や仲間にしつこく聞いてしまうんです。嫌だと思っている人がいることが嫌なので。ふざけた社長ですよね(笑)。もちろん嫌なこと、つらいことは仕事をしていればありますよ。それでもそこに楽しみや成長できる何かがあると思えることが大切だし、やりたいと思うから乗り越えられる。いつでも個人のモチベーションが最優先なんです。

取材を終えて......
優れたアウトプットとチームワークは必ずしもイコールではないものの、関わった人みんなが幸せになれるのは、やはりそれらがイコールになること。Whateverのクリエイティビティの高さは、プロデューサーである富永さんがこだわるCreative Communeありきなのだと感じました。「辞める状態のない関係性をつくりたい」と思い、積み重ねてきたレイヤー。緩やかな連携はクリエイティブの領域に限らず、今の世の中が必要としていることなのかもしれません。(text_ikuko hyodo)

前編はこちら

富永勇亮

富永勇亮 / Whatever Inc.
プロデューサー / CEO
富永勇亮 / Whatever Inc.
プロデューサー / CEO

立命館大学在学中の2000年にAID-DCC Inc. 設立に参画、COOとして在籍、2014年4月dot by dotを設立。2018年からPARTY New Yorkのプロデューサーを兼務、2019年1月に同社と合併、Whateverを設立、代表に就任。2019年8月に東北新社と共同出資しWTFCを設立、CSOに就任。

広告、インスタレーション、ミュージックビデオ、IoT、ファッション、TV などメディアを横断したプロデュース活動を行い、カンヌライオンズ、SXSW、文化庁メディア芸術祭、The Webby Awardsなどを受賞。

Lyric Speakerを開発するCOTODAMAへの出資、機械学習×ブラインドテイスティングで好みの日本酒がわかるサービス"YUMMY SAKE"への出資、テクニカルディレクター集団BASSDRUMへ出資、社外取締役を兼務、クリエイティブシェアオフィスHOLSTERを共同運営するなど、クリエイター同士のゆるやかなネットワークをつくる事がライフワーク。2020年7月28日にFemtechグッズなど「未来の日用品」をコンセプトにしたセレクトショップNew Stand Tokyoを乃木坂にオープンした。

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