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INTERVIEW
105
カート・パーシキーアーティスト KURT PERSCHKE / Artist
KURT PERSCHKE / Artist

『アートで街にコントラストをつくる』【前編】

大胆にパブリックスペースへと飛び出しアートをアップデートしていく。

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update_2019.06.12 photo_tada / text_eisaku sakai / edit_rumiko inoue

六本木の街中に突如出現した巨大な赤いボール。「六本木アートナイト2019」のプログラムとして日本初上陸を果たした、アメリカ人のアーティスト、カート・パーシキーさんによるパブリックアート作品「RedBall Project」です。これまで約20年もの歳月をかけ、世界中32都市を巡ってきたという同プロジェクトのきっかけや、各都市を訪れる中で見えてきたアート作品と土地や人々との関係性などについてお話をうかがいました。

後編はこちら

伝統的な彫刻からパブリックアートへ。

 もともと大学では彫刻を学び、彫刻家としてアーティスト活動をしていました。いつしか、これまでの彫刻作品のつくり方から抜け出し、画家のように街をキャンバスに見立て、彫刻で絵が描けないかと考えるようになったんです。アメリカでは「パブリックアート」、ヨーロッパでは「ストリートアート」と呼ばれる領域のアート作品をつくって、街を行き交う人たちと直接関わっていけないか......。「RedBall Project」を立ち上げたのは、そんな想いからでした。

 「なぜ赤いボールなのか?」とよく聞かれるのですが、最初にこの作品を設置したのは2001年アメリカのセントルイス。市から制作の依頼を受けて、ある橋のたもとにあったスペースに何か作品をつくれないか考え始めました。橋の重さが感じるられるような作品になったらいいな、というアイデアが浮かんで、何度もラフスケッチを描いたのですが、うまくいかなくて。行き詰まったところで、何気なく巨大な赤いボールを描いてみたんです。そしたらなんだか笑えてきてしまって。翌日キュレーターにスケッチを見せると、同じように笑ってくれました。そんなふうに人から人へと評判が広がって、作品が伝わっていくんですね。「RedBall Project」のコンセプトが生まれた瞬間でした。

 レッドボールは、置かれる場所や環境と一体となって初めてひとつの作品となります。どうしてもレッドボール単体を見て、その部分だけがアート作品だと受け取られてしまうことが多いのですが、他の巨大な彫刻作品とは違って「RedBall Project」は、街に彫刻で絵を描いていくパフォーマンス作品なのです。

パブリックアート

パブリックアート

広場や道路、公園などの公共空間に設置される芸術作品。美術館やギャラリー以外の場所に展示され、その空間の特徴や周辺の関係性と結びついている点で、モニュメント的なものとは異なる。市民に身近な芸術作品であり、時には街づくりや地域活性化に活用されている。画像の作品は、ニューヨーク・マンハッタンにあるロバート・インディアナの「LOVE」。

RedBall Project

RedBall Project

2001年のスタート以来、約20年間継続されているパブリックアートプロジェクト。これまで世界32都市を巡り、各都市では毎日展示場所が移動するという周遊型のパブリックアートとなっている。
撮影:Kurt Perschke シカゴでの展示風景

世界32都市を巡り、見えてきた文化の違い。

 プロジェクトは常に進行していて、これまで32都市以上でレッドボールを展開してきました。一度設置したところには、二度と戻りません。たとえば、この先東京で展開することはあったとしても、次は六本木ではない別の場所を探します。いつも新しい環境を追求していて、20年近くプロジェクトを継続してきたモチベーションもこの点にありますね。作品自体は新しくつくらず、いつも同じレッドボールを使う。同じ作品を毎回違う場所に設置していくことで、環境が変わるたび、常に新しいストーリーを考えているわけです。そういった「想像」のプロセスこそが、レッドボールが持つアート性だと思っています。

 プロジェクトを実施するエリアが決まると、その中でどの場所にレッドボールを置くか決めることになります。場所を選ぶ基準はたくさんあって、まずは現地を視察するのですが、その場所を行き交う人々から受ける印象、作品を設置しようとしているそれぞれの地点につながりを見出すことができるか、ボールを触ることができる位置にインストールできるか、そして、作品がその場所とどんな感じでフィットするか、など様々なポイントをチェックしていきます。場所によって制約を受ける度合いも異なりますし、技術的に太陽の光の当たり方なども細かく確認します。晴れている時と曇っている時とでは、人の動きや気持ちも変わってくるので、いろんな想定をしながらその場所の特性を読み解いていって、最後にすべての場所がばらばらにならないように、ひとつのストーリーでつないでいくのです。こうしてひとつのパフォーマンス作品として成立するように組み立てていきます。

 シンプルな作品だからこそ、それぞれの都市の文化が意図せず反映されるのも面白い点です。鑑賞する人の特性とか特徴が浮き彫りになるというか。作品を見るひとたちの反応や振る舞いが、想像を超えることも多いです。たとえば、オーストラリアとイギリスの文化の違いは印象的でした。オーストラリアではこれまで2回プロジェクトを行いましたが、ユーモアたっぷりに冗談を言い合いながら何度もジャンプしたりして、ボールとの付き合い方がとても身体的だった一方で、ロンドン郊外の田舎町では、長い間ボールの前でただずみながら話し込む人たちが多く見受けられました。そんなふうに場所が変われば、観客の反応もがらりと変わって、良い意味で期待を裏切られる。いつも新鮮な驚きがあるんです。

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5年越しに実現した日本初のパフォーマンス。

 六本木アートナイトでのパフォーマンスは、何度もディスカッションを重ね、今回ついに実現することができたんです。場所を決めるために、今年の2月に六本木に来ていろんな場所を視察しました。季節やその時々のコンディションで観客の反応は大きく変わるので、六本木では実際どんな感じになるのかは予測できませんでしたが、結果的に、アートナイトは都会的なアートフェスティバルということもあって、都市を巡る「RedBall Project」とうまくマッチしたと思います。

 21_21 DESING SIGHTでは、少しジャンプをしないとボールに手が届かないくらいの高さに設置しました。ボールが迫って来るような感覚で、ちょっと危うい感じもあるのですが、同時に楽しいと思えるような高さですね。触れること、ジャンプしたくなる感じ。この2つの要素を重視したんです。もう少し高い位置にボールがあって、触れることができなかったら、作品と見る人のコミュニケーションは生まれず、排除された気持ちになってしまっていたと思います。そんなふうに場所との関係性によってボールから受ける印象も全然変わってくるんですよ。

 今回、日本でのレッドボールのパフォーマンスは初めてでしたが、1日目、不思議なことに気づきました。なぜか作品の前で写真を撮るのは女性ばかりなんです。イベント側のスタッフは、8名全員男性だったのですが、誰も作品と一緒に写真は撮らなくて。なぜでしょう?これまでいろんな場所をまわってきましたが、こんな反応は初めてだったので、とても驚きました。その特徴が顕著にあらわれたのは1日目だけでしたが、アートナイト当日フェスティバルに来る人たちが、レッドボールの前でどんな反応をするのか、今からとても楽しみです。

六本木アートナイト2019

六本木アートナイト2019

六本木を舞台にアートをはじめ、デザイン、音楽、映像、パフォーマンスなど多数の作品を楽しむことができるイベント。アートと街が一体となった都市型のアートフェスは、毎年多くの参加者で賑わう。2019年度で10回目の開催となった。「夜の旅、昼の夢」をテーマに、チェ・ジョンファ、カート・パーシキーなどのアーティストが参加。2019年5月25日〜26日にかけて開催された。
©六本木アートナイト実行委員会

21_21DESIGN SIGHT

21_21DESIGN SIGHT

東京ミッドタウン内に併設されたデザイン専門施設。三宅一生、佐藤卓、深澤直人をディレクターに迎え、デザインへの理解と関心を育てる場として、展覧会などを行っている。現在は、浅葉克己ディレクション「ユーモアてん。/SENSE OF HUMOR」(2019年3月15日〜6月30日)を開催中。

後編はこちら

PHOTO GALLERYフォトギャラリー

撮影: Brit Worgan

カート・パーシキー

カート・パーシキー / アーティスト
カート・パーシキー / アーティスト

アーティスト。アメリカ、シカゴ出身。彫刻、ビデオ、コラージュ、パブリック・スペースの領域にて活動。もっとも高く評価された作品に「RedBall Project」がある。アブダビ、台北、パース、イングランド、バルセロナ、セントルイス、韓国、ポートランド、シドニー、アリゾナ、シカゴ、トロントなど世界各地の都市を巡る周遊型のパブリックアートを展開し、100を超えるメディアにて取り上げられている。バルセロナ現代美術館、ウィーン工芸博物館、セントルイスの現代美術館など複数の機関にてコミッションを担当。現在は、ニューヨークにて活動中。

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