彫刻家 安田侃さんのクリエイターインタビューででた「東京ミッドタウンのパブリックアート《意心帰》の周りでコンサートを」というアイデアからヒントを得たプロジェクト「ROPPONGI STREET THEATER」。
舞台になるのは、六本木の街なかにある建築やアート。劇場内で見ることが多いパフォーミングアーツが、誰でも楽しむことのできるパブリックスペースに飛び出し、建築・アート、パフォーマーと観客をつなぎます。
第3回目となる今回は、今年御鎮座100年を迎える乃木神社とのコラボレーション。「乃木雅楽会」が奏でる和の音色と舞が、建築とアートと共演します。舞台となるのは、安田侃さんによる大理石の彫刻作品《意心帰》ほか、安藤忠雄さんが手がけた《21_21 DESIGN SIGHT》前の芝生エリアでは、建築を背景に演奏をお楽しみいただけます。また今回は、乃木神社でも特別公演を行います。夏の香りの中でのパフォーマンスをお楽しみください。
▼イベントフライヤーはこちら:
https://6mirai.tokyo-midtown.com/event/images/17a609e936bbdf61d39777e2c9af7da0e4b344a0.pdf
乃木雅楽会
元宮内庁楽部楽師 故・薗廣教を中心に有志が集い、古典の伝承に励むことを指針に、乃木神社祭典や結婚式での演奏活動や管楽器の製作をはじめ、各地の雅楽団体への指導にも取り組んでいます。
《意心帰》 安田侃 ISHINKI by Kan Yasuda
イタリア・ピエトラサンタの数十億年という時を経て生み出された18.5トンの大理石で作られた彫刻作品。 石に彫られた穴に身を沈めると地球の一部になったような感覚になり、静かな太古の声なき声が石から聞こえてくるようです。石に彫られた穴の中で、まるで地球の中に入っているような安堵感を感じてほしい、という作者の想いが込められています。
《21_21 DESIGN SIGHT》
設計は安藤忠雄。三宅一生の服づくりのコンセプト「一枚の布」に着目した建築には、一枚の鉄板を折り曲げたような屋根をはじめ、2つの棟のいたるところに世界屈指の日本の技術が結集されています。ボリュームの約8割が地下に設けられ、自然光がさしこむサンクンコートなど、ダイナミックな空間が広がっています。
《ガレリア》Communication Arts, Inc. ヘンリーG.ビア
東京ミッドタウンのエントランス。鳥居を模したガレリアゲートから館内に入ると、京都・清水寺の「音羽の滝」をコンセプトにしたツリーシャワーが出迎えます。その奥に広がる、ガレリア吹き抜けの大空間にかけられた3つのブリッジは、B1から、社、木、太陽を表現した和紙の作品「鎮守の森」です。日本の伝統的な建築をモチーフに、都市と緑を結ぶ回廊がデザインされています。
《乃木神社の建築》
建築家 大江宏氏による設計。乃木神社社殿の建築全体を構成する垂直と水平の縦横比、あるいはその対比を構成する木割組み合わせによるリズムと調和。神社建築の要素をふんだんに盛り込み、昇華させたモダニズム建築としての社殿は都心にありながら鎮守の杜にまもられ静謐な空間をつくりだしています。
―建築家 大江宏氏の設計による乃木神社社殿を評する、磯崎新氏と藤森照信氏の対談より。
藤森 「乃木神社」は名作ですね。僕も「乃木神社」の拝殿は明らかに伝統と違うと思います。ヒノキの丸柱を使っていて、一見サバイバルのように見える。けれど、我々から見ると、微妙なプロポーションなどから伝統建築とは空間の質の違いを感じます。
磯崎 そうですね。京都の宇治上神社に近い感じですね。それに上賀茂神社の橋廊まわりが重なっている。非常に単純なのだけれど、いい建築ですよ。
藤森 スケール感が小さくて、身体感覚があっていいです。内外の空間の繋がり方もいい。
出典「磯崎新と藤森照信のモダニズム建築談義」(六耀社)
▼安田侃さん(彫刻家)インタビューはこちら:
クリエイターインタビュー #122
安田侃(彫刻家) https://6mirai.tokyo-midtown.com/interview/122_01/