サントリー美術館にて、7月22日(土)から9月18日(月・祝)まで「虫めづる日本の人々」が開催されます。
日本美術の特色のひとつとして、草木花鳥が古来大事にされてきたことが挙げられます。そして、それらと比較すると小さな存在ではあるものの、虫もまた重要なモチーフでした。現代において昆虫と分類されるものだけでなく、例えば、蜘蛛、蛙、蛇などの、うごめく小さな生き物たちも虫として親しまれ、物語や和歌、様々な美術作品に登場します。特に蛍や、鈴虫などの鳴く虫は愛好され、深く物語と結びついていた様子が源氏絵や伊勢絵などから伝わってきます。また、草花や虫を描き吉祥を表す草虫図が中国からもたらされ、中世から長く日本で珍重され、多くの絵師たちにも影響を与えました。
江戸時代に入ってからは、本草学の進展や、古画学習、俳諧などの文芸の影響を受けて、草虫図という範疇には収まらない多彩な虫の絵が生み出されます。そして、江戸時代中期以降には、虫聴や蛍狩が娯楽として市井の人々に広まり、やがて江戸の年中行事となりました。この文化は近代、現代においても受け継がれています。日本の虫めづる文化は、長きにわたって育まれてきましたが、大衆化が進んだ江戸時代をピークのひとつとすることは出来るでしょう。
そこで、本展では特に江戸時代に焦点をあて、中世や近現代の「虫めづる日本の人々」の様相に触れつつ、虫と人との親密な関係を改めて見つめ直します。
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【展覧会レポート】サントリー美術館「虫めづる日本の人々」