今年も11月9日(日)まで、都内主要エリアで日本最大級のデザイン&アートフェスティバル「DESIGNART TOKYO 2025」が開催されました。まずは、初日10月31日(金)にメイン会場のMEDIA DEPARTMENT TOKYOで行われたオープニングセレモニーの様子からご紹介。
オープニングセレモニーには、本イベント発起人の青木昭夫、川上シュン、小池博史、永田宙郷、アストリッド・クライン 、マーク・ダイサム 、香港の建築スタジオ「COLLECTIVE」ベティ・ン、キービジュアルを担当したZENの8氏が登壇しました。

開催に先立ち、青木氏は「今年のテーマは『Brave 〜本能美の追求〜』です。生成AIの発展が目覚ましい中で、本能と直感力を信じ、マーケットや予定調和に流されない勇敢なチャレンジを通じて、愛するものとのタッチポイントを増やすことを目指しています。今年はフランス、オランダ、アメリカ、さらに香港や台湾など世界中のアーティスト130組が91会場にわたって集結しています」と紹介しました。
MEDIA DEPARTMENT TOKYOを会場とするDESIGNART GALLERYは、30を超える展示が集結する大規模集合展です。体験型展示やトークセッションなど、注目すべきクリエイションが目白押しです。1階の展示から見ていきましょう。

世界的パルクールアスリートでアーティストのZEN氏は、新シリーズとしてアメリカ・ロサンゼルスで制作された写真作品を日本初公開。「18年間続けるパルクールから生まれた、都市に対する「問い」を、自身の身体を通して視覚化しました。身体と都市の既成概念を解体・再構成し、構造やモノの見え方を問い直す試みになっています」と、ZEN Solo Exhibition『Urban Equivalence -- 都市等価論』について説明しました。

THE LIONSは新たな住宅の形として《Relation Wall》を発表。開発に携わった永山祐子氏は「天井に円形グリッドの細工をし、障子のような柔らかなパーティションを自由に動かせるようになっています。隔てながらも透けて向こうが見え、家族や社会との関係性の広がりを目標に設計しました」と解説しました。

2階は実験的な取り組みから注目の若手が中心で、ミラノデザインウィーク2025で話題になった130 OneThirtyのインスタレーションなどが登場。

3階には、国際色豊かなプロジェクトやクリエイターが集結。トークイベント会場も同階にあります。we+と平和合金のコラボレーションによって誕生した花瓶のコレクション《Unseen Objects》は今年ミラノデザインウィークでローンチされた新ブランド。作品とともにインスパイア元になった、鋳物の製造過程で使用される道具などが並びました。
青山方面では、オープンしたばかりのITOKI DESIGN HOUSE AOYAMAでプレゼンテーション「THE STAGE by NII」が11月28日(金)まで開催しています。

会場構成にSPREADを起用し、ミケーレ・デ・ルッキ氏率いる建築スタジオAMDL CIRCLE(エーエムディーエル・サークル)、NYを拠点に活動するトッド・ブレイチャー氏、ロドルフォ・アグレラ氏、CRÈMEの相崎準氏が参画したコレクションが展示されています。
東京ミッドタウンでは11月5日(水)まで、「ゆさぶるshake・switch-up・activate」をテーマに3組のクリエイターによる作品を展示していました。

福井県越前市を拠点に異なる領域で活動する同世代クリエイターによるチーム、閃 / SEN。それぞれデザイナー、家具製作、メーカー、小売など異なる分野でのバックグラウンドを持っています。和紙、打刃物、箪笥、漆器、焼物と様々な工芸産地としての歴史を持つ福井県越前市の土地周辺をあえて「近所」と呼び、活動の皮切りとしてごく身近に存在するマテリアルである越前和紙に焦点を当てた作品「within the neighborhood」を発表しました。

奄美大島出身の富山聖氏は、幼少期、絵本を通して出会った奄美大島の妖怪「KEMMUN(ケンムン)」を、生まれ故郷のルーツと自らのアイデンティティを重ね、衣服に表現しています。

デザインスタジオFormanの先崎将人氏とインテリアデザイナーの長田竜河氏による《1+1+1)=18》は、不要になった家具3つを組み合わせ、18種類のモノに新たな居場所をつくるアップサイクルの家具です。

キャノピー・スクエアでは、DESIGNART TOKYO 2025のオフィシャルカー「RANGE ROVER」が、レンジローバー x クライン ダイサム アーキテクツによる「レンジローバー SV ビースポーク インスタレーション」を開催しました。
AXISでは6箇所にて、新作の展示やインスタレーション、感性を刺激する体験型コンテンツなどが開催。

siroに関わる内外のクリエイターが集い、ひとつのテーマのもとで自由な発想を持ち寄る企画展示です。第2回となる今回は「は、回る」をタイトルに掲げ、多彩な分野で活動する14名が参加しました。

「時構の間|SEN-AN」は、茶室という伝統文化を再構築し、"日本的なるもの"を現代に問い直す空間実験です。茶室の精神を継承しつつ、非伝統的素材LGSを用いて人と自然の関係性を未来へ継ぐ"生き方としてのサステナビリティ"を提唱しています。
このほか、2~4階でも多彩な展示も。 >> AXIS詳細
今年も多くの方がガイドを片手に秋のデザインウォークを楽しんでいる姿が印象的でした。東京駅の高架下での新会場など、エリアを大幅に拡げている様子。ますます注目が高まるイベントですが、来年も楽しみです。
編集部 齊藤
「DESIGNART TOKYO 2025」
会期:2025年10月31日(金)~11月9日(日)
エリア:表参道・外苑前・原宿・渋谷・六本木・銀座・東京
出展者数:130組/会場数:91会場
※入場無料(一部の展示を除き)
主催:DESIGNART TOKYO実行委員会
発起人:青木昭夫(MIRU DESIGN)/川上シュン(artless)/小池博史(NON-GRID)/永田宙郷(TIMELESS)/アストリッド・クライン(Klein Dytham architecture)/マーク・ダイサム(Klein Dytham architecture)
公式サイトで詳細を見る(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.designart.jp/designarttokyo2025/
