11⽉5⽇(水)から11月9⽇(⽇)までの期間、アートウィーク東京の一環として⼤倉集古館でAWT FOCUS「リアルとは?」が開催されました。今回は、そのメディア内覧会の様子をレポートします。

本展には、世界各地から60組のアーティストが100点以上の作品を出展。ポーランドやスイス、デンマーク、オーストリア、インドなど、海外から13軒のギャラリーが参加しました。
今年の監修は、海外からキュレーターのアダム・シムジック氏を迎えました。同氏は、国際芸術祭「ドクメンタ14」でアーティスティックディレクターを務めたことでも知られています。

最初にシムジック氏は「今回は一つのテーマで作品をまとめるのではなく、作家や作品の根幹にある『リアルとは何か』を問うことにしました。ポスト・トゥルースの次にやってきたこのAI時代に、本質的にリアルだと思えるものはあるのか。AIに頼らず実感を伴って感じ取れるものは何なのか。まだ答えがないので、タイトルも『?』をつけた問いの形になっています」と説明しました。

本展は大きなパネルによって空間が仕切られています。入口のパネルには六角形の窓があり、奥にある《如来石仏像》の姿を望むことができます。このような、見る者の想像を掻き立てる仕掛けが多数用意されていました。

1階は、歴史、政治、そして金融や労働などに言及する作品が中心です。上記のドローイング2点と写真は、すべて寝ている人が描かれている点で共通していますが、作品の意図や時代は異なります。このように共通の要素に沿って作品が展示されており、その意図を探りながら鑑賞できる構成になっています。

1階では特別な展示として「戦争とは? When is war?」が設けられました。戦争とは何か、いつから始まったのかを問うもので、様々な戦争画が集められました。

本展では1階・2階に加え、普段は展示されないバルコニーにも作品が展示されました。スイスの作家、ヴィヴィアン・ズーター氏のドローイングで、風に吹かれることで作品に新たな動きが生まれています。

2階で特に印象的だったのが、ポーランドの故エドヴァルド・クラシンスキ氏による《無題》。吊るされた鏡と、白い壁に高さ130cmの位置に貼られた青いテープからなるインスタレーションで、鑑賞する自分と向き合える空間となっています。

今井俊介氏の新作《Untitled》は、壁にかけるのではなく、あえて床に置いて展示することにしたそうです。さらに、同作品は監視員が身に着けるスカーフにも採用されています。これにより異なる姿で展示会場を巡ることが可能になり、絵画の新しいあり方を示しています。

AIの技術がより勢いを増すこれからの時代において、リアル・本質とは何なのかを考えさせられる展覧会となっていました。
編集部 齊藤
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【展覧会レポート】アートウィーク東京「AWT FOCUS 大地と風と火と:アジアから想像する未来」
AWT FOCUS「リアルとは?」
会場:港区⻁ノ⾨2-10-3 ⼤倉集古館 1・2階
会期:11⽉5⽇(水)~11月9⽇(⽇)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.artweektokyo.com/focus/
