東京ミッドタウンでは11月5日(水)まで、秋のデザインイベント「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2025」が開催中です。2007年からスタートした「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」をリニューアルし、初年度となる今回は「ゆさぶる」をテーマに、国内外のトップクリエイターによる作品展示やワークショップ、トークセッションなど多彩なプログラムが館内外で行われています。
10月10日(金)に開催されたプレスデーでは、クリエイティブディレクターを務めるグラフィックデザイナーの佐藤卓氏、エキシビションキュレーターのデザインジャーナリスト・土田貴宏氏によるトークセッションが行われました。
佐藤氏は、21_21 DESIGN SIGHT館長としての長年の関わりからオファーを快諾。ロゴデザインについて佐藤氏は「DESIGNという文字の間に、I(愛)があるなと気づき、Iの字をハート3つ並べて表現しました」と明かしました。
土田氏はクリエイターの選定について「DESIGN TOUCHの特色は家族ぐるみで楽しめる一方で、プロフェッショナルが見ても満足できることだと思います。それをDESIGN LIVEにも引き継げればと思い、海外での活躍など、確かな実績を持つ方々を中心に、論理的思考に基づいたデザイン力に加え、ユニークさや意外性といった面白さも兼ね備えている方を選びました」と説明しました。
トークセッションのあとは、屋外作品ツアーへ。芝生広場の作品を手掛けたクリエイター自らが紹介をしていきます。インテリアデザインと家具制作を手がけるAtMaは、内装工事で発生する余剰材を活用した椅子《0% SURPLUS》を展示。
「内装の仕事をする中で、施工会社が工事を行う際に、トラブルに対応するため、通常の数量よりもプラスして材料を発注します。トラブルが起きなかった場合、その余剰材はそのままゴミや廃棄される実情があります」と説明。クライアントや施工業者の理解を得ながら余剰材を引き取り、椅子という形に生まれ変わらせたといいます。
今回の展示では、新しいステンレスパーツに余剰材をはめ込んだ椅子に加え、石やタイルを切る工場で使う刃を利用した黒い椅子など、複数のバリエーションを披露。「内装設計を通じて、余剰材や廃材といったゴミをどう活用し、再利用していくかを考えて提案しています」と語りました。
クリエイターユニットwe+が手がける《SO-Colored》は、ミッドタウン・ガーデンで採取した藻類を培養し、天然樹脂と混ぜてタイルの一部に使用した家具作品です。「SO-Colored」の「So」は「藻類(そうるい)」の「藻」を意味します。
藻類は培養の過程でストレスを与えることで、緑から赤、青、黄色へと色を変える特性があり、1日で何十倍にも成長する高い再生産性を持っているとのこと。「藻類を顔料として使うのはおそらく初めて」と説明し、素材の可能性を強調しました。
作品のテーマは「色の地産地消」。今後は屋内用タイルや照明など、さまざまなプロダクトへの応用も検討しているといいます。
建築設計事務所を主宰する山田紗子氏の《drawing chair》は、線で空間を描くように作られた椅子です。椅子でありながら、平面的に大きな線を描いており、背もたれや肘掛けが空間と自分をつなぐ距離感をつくり出しています。
山田氏は「ドローイングチェアという名前の通り、お絵描きをして線を描いたような椅子です。家具が持っている領域感みたいなものを線で表すと、背もたれや肘掛けが空間と自分をつないでいる距離感を作っている。それをもっとのびのびと描けたら、すごくリッチな空間になるのではないかと思ってつくりました」と説明しました。
鉄製のため触れるとボヨンボヨンと揺れ、空間に振動を与える楽しさも体験できます。一人用、二人用など複数のバリエーションがあり、中には不思議な境界のラインが飛んでいる椅子もありました。
東京ミッドタウン内ガレリアでも、クリエイターによる作品が多数展示されています。
そのほか、ライブイベントやトークセッションなど多彩なプログラムを予定しています。中でも注目のイベントをピックアップしてご紹介します。
「カタカナナイト」は、カタカナに秘められた力を、アーティストによるライブステージを通して解き放つイベントです。
期間:10月24日(金)~10月27日(月)
場所:アトリウム
料金:無料
参加方法:自由観覧(申込不要) ※混雑状況により観覧しづらい場合がございます。
主催:東京ミッドタウン
キャプション:映像制作:Yasutaka Fukuda (FUKUPOLY.inc)
>>タイムテーブル・出演者はこちら
「DESIGN LIVE」クリエイティブディレクターの佐藤氏をはじめ、デザイナー、建築家、キュレーター、編集者らによるトークイベントを開催。一流クリエイターの思考や最新のデザイン潮流などを学べる機会となっています。
期間:10月18日(土)、10月19日(日)、10月21日(火)、10月22日(水)
場所:アトリウム
料金:無料
参加方法:自由観覧(申込不要) ※混雑状況により観覧しづらい場合がございます。
主催:東京ミッドタウン
>>タイムテーブル・出演者はこちら
東京ミッドタウン内の一部ストアでは、MONODUKURI ITEM展を実施。伝統とモダンが響き合うアイテムたちのモノづくりの過程や込められた想いを紹介しています。
期間:10月10日(金)~11月5日(水)
>>詳細
10月20日(月)には、「TOKYO MIDTOWN AWARD 2025」授賞式が東京ミッドタウン アトリウムで行われます。受賞作品は授賞式での発表後も、11月9日(日)まで東京ミッドタウンにて、展示。展示期間中は一般人気投票を行い、オーディエンス賞が11月下旬に発表される予定です。
紹介したほかにも、「音楽体操&ラジオ体操」や「DESIGN LIVE WORKSHOP」といったイベントが目白押しです。ぜひ足を運び、デザインにゆさぶられてみてはいかがでしょうか。
編集部 齊藤
「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2025」
会期:2025年10月10日(金)~11月5日(水)
会場:東京ミッドタウン各所
主催:東京ミッドタウン
公式サイトで詳細を見る(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designlive/