森美術館で、2025年7月2日(水)より開催している「藤本壮介の建築:原初・未来・森」展が、9月6日(土)に来館者10万人を突破しました。これを記念し、9月10日(水)にプレスイベントが実施されました。今回はその様子をレポートします。
本展は、今最も注目を集める建築家、藤本壮介氏の初の大規模個展です。活動初期から世界各地で現在進行中のプロジェクトまで、約30年間にわたる藤本氏の活動を8つのセクションに分けて構成し、網羅的に紹介しています。
イベントには、主役である藤本壮介氏が登壇。初めに「森美術館で展覧会を実施することは、やはり大きなプレッシャーでした。日本を代表する美術館なので、しっかりやらなければと思っていました。建築関係者だけではなく一般のお客さんにも楽しんでもらい、さらに建築のことに興味を持ってもらえるよう展示構成を工夫したので、たくさんの方にご来場いただき、本当に嬉しく思っています」と、心境を述べました。
見どころの一つである、2025年大阪・関西万博のシンボル《大屋根リング》の5分の1スケール部分模型には、「すでに万博に行った方は、模型の奥には2020年の春から4ヶ月かけて考案した際のスケッチが並んでいるので、見ていただけると嬉しいです。まだ万博に行っていない方には、これを見て『現地で実物を見たい』と思ってもらえれば幸いです」と語りました。
未来の社会を考える万博と自身の建築哲学との共鳴する点について問われると「近年、世界的に分断が深まっていると言われていて、なかなか厳しい世の中になってきたなと思います。そんな世の中でも、多種多様な文化・バックグラウンド・個性が集まって、1つにつながることができるという希望を託して、今回の万博の会場デザインをしました。
本展の最後のパート『未来の森 原初の森―共鳴都市 2025』も、個性や活動が枠に押し込められるのではなく、むしろ広がっていくような都市環境、あるいは建築をつくりたいと思い、1つの仮説・問いかけとして提案しています」と、建築を通じた社会への提言について熱弁しました。
イベントには2025年大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」が特別ゲストとして登場。大きな模型の前にミャクミャクがいるのを見た藤本氏は「やっぱり《大屋根リング》とミャクミャクは似合っていますね」と相性を再確認しました。
万博の会期は10月13日(月)まで。最後に「《大屋根リング》の模型以外にも万博関連の展示に力を入れています。これを見てから、万博会場にも行っていただけると嬉しいです。建築を学んでない方やお子さまも楽しめる展示になっていますので、ぜひよろしくお願いします」と、幅広い層への来場を呼びかけました。
編集部 齊藤
>> 「藤本壮介の建築:原初・未来・森」展覧会レポートはこちら
「藤本壮介の建築:原初・未来・森」
会期:2025年7月2日(水)~11月9日(日)※会期中無休
開館時間:10:00~22:00
※火曜日のみ17:00まで
※ただし、9月23日(火)は22:00まで
※最終入館は閉館時間の30分前まで
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
主催:森美術館
助成:文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業)、独立行政法人日本芸術文化振興会、公益財団法人石川文化振興財団
協賛:株式会社大林組、株式会社ジンズホールディングス、鹿島建設株式会社、株式会社きんでん、NOT A HOTEL株式会社、SANEI株式会社、清水建設株式会社、住友林業株式会社、ルイナール、株式会社竹中工務店、トヨタ自動車株式会社、サンユー建設株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社、アラップ、フジテック株式会社、前田建設工業株式会社、三機工業株式会社
企画:近藤健一(森美術館シニア・キュレーター)、椿 玲子(森美術館キュレーター)
コラボレーター:幅允孝(ブックディレクター、有限会社バッハ代表)、倉方俊輔(建築史家、大阪公立大学教授)、宮田裕章(データサイエンティスト、慶應義塾大学教授)
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.mori.art.museum/jp/index.html