2025年7月15日(火)に国際文化会館(東京都港区)にて「GO FOR KOGEI 2025」の全容発表となる記者発表会が行われました。今回はその様子をレポートします。
「GO FOR KOGEI 2025」は例年北陸で開催してきた芸術祭で、今年は9月13日(土)から10月19日(日)に岩瀬エリア(富⼭県富⼭市)と東⼭エリア(⽯川県⾦沢市)で開催されます。今年のテーマは「⼯芸的なるもの」で、民藝運動を提唱した柳宗悦氏の言葉から引用しています。
記者発表会では、アーティスティックディレクターの秋元雄史氏が本芸術祭のテーマと見どころを解説。「工芸と現代アート、工芸とデザイン、工芸と建築...など、アートジャンルと関わることで工芸の輪郭を押し広げられるかという外の視点と、工芸の伝統や技術を守っていくという内側の視点、2つが軸としてあります」と、本芸術祭の趣旨について話しました。
アーティスト代表として登壇した中川氏は、中川⽊⼯芸の3代⽬当主で木桶などの木工製品を制作しています。中川氏は「祖父の代では京都市内に250軒ほど木桶工房がありましたが、私が継ぐころには3軒までに縮小してしまいました。木桶を後世に残すため、新しいチャレンジに日々取り組んでいます」と、業界の事情に触れました。
たとえば、ゆがんだ木は普通木桶には使えないため捨ててしまうそうですが、中川氏はあえてそれを生かす木桶を作っています。本芸術祭では《木桶の茶室》という、茶室サイズの巨大な木桶を用いた作品を展示予定です。
さらに、7⽉24⽇にはヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)と共同でイギリス・ロンドンでの国際シンポジウムを行ったほか、台湾の台南市美術館から招待を受けて「皮膚と内臓―自己、世界、時間」展を2025年10月3日(金)~2026年1月18日(日)の期間に実施。日本の次世代女性アーティストとして、以下10名が参加します。
今回は、その中から代表して山下氏が登壇。蝋染めを主な技法とし、人の形をモチーフとした作品群で知られています。山下氏は「熱く溶けた蝋を重ねて制作していくのですが、1本の線がやがて無数の線になっていく様を見ていると、人の形を表現するにあたって最も自然な行為が蝋染めなのではと感じています」と、技法のこだわりについて語りました。
古くから伝わる伝統的な技術と現代アートの相乗効果によって、多様な暮らしの姿を提案する本芸術祭。工芸をより深く知ることができるイベントも実施予定とのことで、期待で胸が膨らみます。
編集部 齊藤
「GO FOR KOGEI 2025」
会期:2025年9月13日(土)~10月19日(日)
休場日:水曜
時間:10:00~16:30(最終入場16:00)
会場:富山県富山市(岩瀬エリア)、石川県金沢市(東山エリア)
主催:認定NPO法人趣都金澤、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
共催:富山県、富山市、北日本新聞社
後援:石川県、金沢市、JR西日本、富山地方鉄道、北國新聞社、富山新聞社、MRO北陸放送、石川テレビ放送、HAB北陸朝日放送、北日本放送、富山テレビ放送、チューリップテレビ
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://2025.goforkogei.com/