六本木ミュージアムでは、9月27日(土)まで「1999展 ―存在しないあの日の記憶―」を開催しています。本展は、空間・映像・音響を駆使したホラー体験型展示会で、ホラーゲーム「SIREN」脚本家の佐藤直子、『近畿地方のある場所について』で一躍話題のホラー小説家の背筋、新進気鋭の若手ホラー映画監督の西山将貴の3氏によるクリエイターユニット「バミューダ3」が企画を手掛けています。
1999年前夜の不安と期待が交差する独特な空気を感じながら、予言されたあの「世界の終わり」を「終末の少女」の導きによって辿っていくストーリー。終末の少女のビジュアルは、人気イラストレーターの米山舞氏が担当しています。
序盤のエリアでは、1999年にタイムスリップした気分が味わえます。日常の風景が少しずつ変化していき、じわじわと終末が迫り寄ってくる...。直接的ではない、じっとりとした恐怖を徐々に感じます。
電車のエリアは両脇に鏡が設置されており、車両が延々と続いているように見えます。近年インターネットを中心に話題のミーム、リミナルスペースのような雰囲気です。さらに進むと、異世界めいた「終末の世界」に突入します。
会場内では、さまざまな場所から誰かの声が聞こえてきます。よく耳を澄ませて、考察しながら進んでいきましょう。
先に進むにつれて、物語の全容に近づいていきます。出口に辿り着いたときには、一本の映画を見終えたような、あるいは一冊の小説を読み終えたときのような余韻で胸がいっぱいになりました。
プレス向け内覧会ではバミューダ3のメンバーが揃い、本展について解説しました。佐藤氏は、「私はゲーム、背筋は小説、西山は映画監督と、全員が展覧会において素人なので、これでいいのか? と議論が尽きませんでした。最終的に、ゲームにおけるウォーキングシミュレーターのような、我々なりの展覧会が完成しました」と、成り立ちを明かしました。
本展の映像全般を手掛けた西山氏は「前半のエリアで登場する部屋の窓や車窓の景色は、長尺で作っています。映画はカットの連続ですが、今回は1カットで魅せていく必要があったので、そこが個人的にはチャレンジでした」と振り返りました。
背筋氏は「恐怖といった目に見えないものをあえて単純化せず、そのまま表現しました。来場者にはこれを受け取って、各々自分なりの物語として咀嚼していただきたいです」と、ストーリーの難度を上げた背景について説明しました。
併設されたカフェ「終末喫茶 1999」では、1999年を彷彿とさせるナポリタンやピザトーストといったメニューに加え、佐藤氏が監修した<1999展オリジナルドリンク>が登場! テーブルには、本展をさらに楽しむための仕掛けも施されています。
本展のストーリーの受け取り方は、まさに十人十色。ゲーム・小説・映画の媒体を問わず、ホラー愛好家はぜひ足を運んで、終末の世界を存分に体感してください。
編集部 齊藤
「1999展 ―存在しないあの日の記憶―」
会期:2025年7月11日(金)〜9月27日(土)
会場:六本木ミュージアム
開館時間:
月曜日~木曜日10:00〜18:00
金曜日~日曜日・祝日10:00〜20:00
※お盆期間8月8日(金)~8月17日(日)は10:00〜20:00
※最終入場は閉館30分前
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://1999-kioku.jp/