PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#07 「六本木未来大学」第12回「田川欣哉さん、テクノロジーを使った クリエイティブ組織の作り方って何ですか?」講義レポート【後編】

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update_2017.6.21/photo_mariko tagashira/text & edit_akiko miyaura

UI・UXのデザイン設計、プロダクトデザイン、インタラクティブアート、ブランディングなど、自らもデザインエンジニアとして幅広い分野で活躍しながら、「Takram」代表としてクリエイティブ組織を創造してきた田川欣哉さん。今回は、「はじめて社外の人に話す内容が大半」という"Takramのつくり方"や具体事例とともに、組織づくりの考え方、経営論、人材育成法などを明かしてくれました。2017年6月2日(金)に行われた、その講義の模様をお届けします。

前編はこちら

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トップパフォーマーをさらなる成長に導く。

ピープルマネジメントで大切なのは、"正しい船に、正しい人を乗せる"ことだと田川さんは考えます。人材のパフォーマンスを正しく見分けるために、まずは4つにタイプを分けます。

「通常、企業でありがたがられるのは、コンスタントにきっちり結果を出すハイパフォーマーとアベレージパフォーマーの2つ。もちろんローパフォーマーは問題児扱いされますが、実は群を抜いて高い結果を出すトップパフォーマーも、やっかい者扱いされがちです。彼らは才能がありすぎるために、会社のルールそっちのけで、自分独自の手法で仕事をしてしまう場合もあります。それでも圧倒的に仕事ができてしまうことで、逆に組織の中で孤立していくことも少なくありません」

「ここにいれば、成長し続けられる」と感じられる場所に。

クリエイティブ系の会社の経営者と、話す機会が多い田川さん。よく感じるのは、時間をかけて育てた人材がトップパフォーマーとしてボスに近い力をつけてくると、ボスと弟子の間に複雑な感情が生まれるということです。それが積算して"微妙な空気"になるため、弟子が会社に居づらくなるという話。では、トップパフォーマーにはどんな指導をするのが、効果的なのでしょうか。

「1つは、自分の名前で仕事をしてもらうこと。自らの名前で世間の評価を浴びると、本人の目線がすごく上がります。厳しい批判を受けて大変さを実感することもあれば、称賛を受けて充実感を得ることもできる。自分のファンが増えることも、大きな励みになります。2つ目は、社外に3人のメンターを持つこと。彼らは自分が停滞しているときにこそ、"この会社にいても成長できない"と不満を感じるものです。社内に学びがないのなら、自らのコア性とリーダーシップ性に刺激をくれる存在を社外に持てばいい。Takramでもこの考え方で、トップパフォーマーの成長が鈍化しないようにサポートしています」

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そして、「自分の仕事の本質をわかってくれる人がいない」「自分は孤独だ」と感じやすいのが、トップパフォーマーだと言います。そうならないために、社内に自分の理解者であり、仕事の仲間である後輩を育てさせることが3つ目のポイント。

「社外のメンター3人のほかに、社内にも3人、よき理解者を持つことで孤独を感じずにいられる。彼らは"ほかに行くより、ここにいるほうが成長し続けられる"と感じられるかが大事だと思うんです。トップパフォーマーには会社のリーダーに留まることなく、業界全体のリーダーに育ってもらうことを意識しています」

【クリエイティブディレクションのルール#5】
トップパフォーマーがさらに成長できる環境をつくる

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人材採用は、いかにフィットを見極めるかが大切。

会社を成長させるのは人材。そして、いい人材に育てるためには、どんな人物を採用するかも重要です。ただ、書類や面接だけではキャラクターがつかみきれず、周りやプロジェクトとのフィットも判断できないため、Takramでは正社員になるまでに、1年以上の時間をかけているそう。

「Takramでは両者合意の上、1年ごとに更新する契約社員期間を設けています。1年間、一緒に仕事をしてみて、個人のやりたいことと組織がやりたいことがミスマッチしている場合には、船に乗り続けてもらうのか、降りてもらうのかを話し合い、判断するようにしています。そのように時間をかけて理解し合うことが、お互いにとって、とても大事だと思います」

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経験の先にあるのは、高いリーダーシップか、極められた専門性か。

採用だけでなく、Takramではキャリアパスにおいても、しっかりとしたモデルがつくられています。通常はインターンののち、メンバーとして経験を積み、エキスパートに昇格。エキスパートの先には、リードとコアデザイナーという2つの道が用意されています。

「組織のなかでデザイナーが階段を上がって行くときに悩むのが、専門家として極めていく道がなく、マネージャーにならざるを得ないということ。Takramでは道が閉ざされないように、デザインやクリエイティブの世界でリーダーシップをとっていくリード、そしてコアな世界を深く掘っていくコアデザイナーという2つの方向性に整理しています。牽引力と開拓力、越境力を持ったリードと、深さと速さ、正確さを持つコアデザイナーが協力して仕事をするのがキャリアパスのモデル。ただし、その2つを兼ねてもいいというシステムにしています」

【クリエイティブディレクションのルール#6】
自分の特性に合わせ、選択できるキャリアパスを構築

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