クリエイターインタビューで生まれた構想を具体化させていく取り組み、「アイデア実現プロジェクト」。その第二弾として現在進行しているのが、トラフ建築設計事務所の鈴野浩一さん(写真左)と禿真哉さん(写真右)による「6×6 ROPPONGI DESIGN & ART MAP」。そこには、六本木とあなたをつなぐ小さなシカケが......。その制作プロジェクトの様子をお届けします。
きっかけになったのは、2012年8月公開の六本木未来会議「クリエイターインタビュー」での、鈴野さんの発言。学生時代に地図をもって名建築を巡ったら、街全体が建築ミュージアムのように見えたのだそう。そのことから、専門的な視点を少しでも体験できると世界の見え方はより豊かになる、そしてそんな街との接点をつくる小さなシカケが六本木で展開できれば面白いのでは?という話が展開されました。
その構想を実際に具体化するアイデア実現プロジェクトが始動したのが、インタビュー公開から1年後の、今年7月のこと。企画会議やミーティングを何度も重ね、各ジャンルに精通したクリエイターの視点が同じマップの中でクロスするアイデアにたどりつき「6×6 ROPPONGI DESIGN & ART MAP」と名付けました。以来、スポットを紹介するクリエイターの選定、プロトタイプの制作などを経て、今、徐々に形になりつつあります。
「6×6 ROPPONGI DESIGN & ART MAP」では、六本木の「6」がキーワード。六本木に精通する6組のクリエイターが、各々の得意分野である「建築」「ナイトスポット」「食」「本」「お散歩スポット」「グラフィック」というテーマを担当し、とっておきの6つのスポットを紹介。それらを一枚の地図に掲載することで、テーマごとに視点を変えて六本木の街を巡ることができるというものです。
トラフが選んだ建築物やインテリアを巡ったり、美食家としても知られる放送作家・脚本家の小山薫堂さんおすすめのグルメスポットをハシゴしたり......。クリエイターの目で街を眺めることで、それまで知らなかった六本木の姿が浮かび上がる、そんな地図なのです。
制作パートナーとして集まったのは、トラフのお二人が信頼を置く3人。グラフィックデザインを担当するのは、紙の加工・印刷を専門的に手掛ける「かみの工作所」のデザインディレクター・三星安澄さん(写真左)。イラストを描いた山口洋佑さん(写真左から二番目)は、絵本『トラフの小さな都市計画』でトラフのお二人とタッグを組んだことも。また建築・インテリア・デザイン分野の雑誌編集などで活躍する加藤純さん(写真中央)が編集を担当しました。
制作チームの皆さんに、プロジェクトへの想いをうかがいました。
加藤僕はもともと地図が好きで、実際に普段の仕事で制作することもあります。鈴野さん、禿さんとは、以前から「地図をつくりたいね」って話をしていて。紙面にはスポットを丁寧に紹介してくれた6組のクリエイターの想いをそのまま反映するように心がけました。
三星トラフのアイデアを形にするデザインにももちろん力を注いでいますが、私は紙の特殊加工を得意としているので、折り方にもこだわりました。ワンタッチで広げられる「ミウラ折り」は携帯性が高く地図に最適なんです。
山口6組のクリエイターを紹介するために、写真や似顔絵ではなく、それぞれが担当するテーマに合わせてキャラクター化したんです。イメージは、『キン肉マン』の超人(笑)。たとえばトラフのお二人の頭の部分は、彼らが手がけた建築やプロダクトになっています。他の方も個性豊かですから、楽しんで描けました。
鈴野持っていたくなるような地図にしたいと思って、サイズ感にもこだわりました。ただの地図ではなく、コンパクトで、愛着がもてるような地図。ぜひ、いつも持ち歩いてほしいです。
禿既存のものとは切り口の違う、新しい地図です。今回は6つの"視点"から地図を編集していますが、掲載されているスポットは自由に組み合わせてもいい。この地図を通して、六本木の街の新しい魅力に気づいてほしいですね。
「6×6 ROPPONGI DESIGN & ART MAP」の完成レポートは、10月23日に公開します。また、その実物を、「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2013」イベント開催期間中の10月23日~11月4日の間、六本木未来会議のメルマガ読者限定で、先着1,000名様にプレゼント。同イベント内で10月26日に開催するデザインタッチ・カンファレンス「新しい六本木の地図(講師:トラフ建築設計事務所)」では、もっと詳しい制作秘話などをお話しいただきます。(参加者全員に地図をプレゼント!)ぜひ、完成した地図を持って六本木の街を歩いてみてください。