PROJECT REPORT インタビューで得たクリエイターのアイデアを、リアルな場で実現する「アイデア実現プロジェクト」

六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#15 「六本木、旅する美術教室」 第2回 コピーライター梅田悟司のメディアアートの見方【後編】

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『Media Ambition Tokyo(MAT)』を舞台に、一般のお客さんも参加した「六本木、旅する美術教室」。普段はコマーシャルアートに携わっているコピーライターの梅田悟司さんと、MAT2018実行委員会の杉山央(すぎやま・おう)さんと浜田具(はまだ・とも)さんに、メディアアートの変遷を踏まえて、その楽しみ方や、教育にどう取り入れていくべきかをうかがいました。

前編はこちら
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先入観のない人こそ得るものが大きいメディアアート。

CONNECTED FLOWER / Nobumichi Asai(Honda) 775111815KN089_Media_Ambiti.jpg

Photo by Koki Nagahama /
2018 Getty Images for Media Ambition Tokyo

梅田悟司 おふたりにガイドしていただきながら、いろんな作品を鑑賞してみて、メディアアートに初めて触れる人、先入観のないような人こそ、得られるものが大きいのではないかという気がしました。

浜田具 僕自身も、メディアアートには先入観を持たずに接することが多いのですが、その理由のひとつとして歴史が浅いからだと思うんです。テクノロジーの進化のスピードと表現手法の多様化もあって、今のところ、体系立ててアーカイブができていない。そのことを考えると、まずは純粋に見てみる、体験してみるのがいいんじゃないかと個人的には思っています。

杉山央 ただし、背景にあるものを知ることによってより楽しめるというのも、大きなポイントですよね。たとえば、世界中でツイートされる「LOVE」や「PEACE」という言葉をリアルタイムで拾って、光の粒子でビジュアライズする作品『CONNECTED FLOWER』がありましたよね。我々が生活しているところが世界の一部であったり、自分の小さな行動が世の中にどんな影響を及ぼしているのかは、普段なかなか考えが及ばないものですが、作品の背景を知ることでそれを体感できるのも、メディアアートのおもしろさといっていいでしょう。

【メディアアートの見方#4】
作品の背景を知って、自分と世界とのつながりを体感する。

アート活動とクライアントワークの中間から生まれる作品の魅力。

 メディアアートは日本の得意とする分野といわれていますが、その強みや世界的な傾向を知っておくことも、作品を理解する助けになるはずです。

杉山 日本人特有のものづくり精神や、アイデアを表現する力などが、おそらくメディアアートに向いているんでしょうね。

梅田 つくっていく過程においては、かなり理系的かつ工業的な手法を取っているけれど、人を感動させたいとか、新しい感情を呼び起こさせたいという目的がある。日本のメディアアートは、 "インダストリー×クリエイティブ"という傾向が強いのではないでしょうか。

杉山 最先端の技術は、当然ながらアーティストだけではつくられない領域です。企業が開発したものの、使い道が定まっていないような技術を、アーティストが表現のひとつとして自由に使うことによって、新たな未来を提示する。企業とアーティストの組み合わせによって実現するのも、特徴といえます。

梅田 アーティストがやりたかったことを、最先端の技術で表現するのか。あるいは企業が持っているけれども、どう使っていいかわからない技術をアートで表現するのか。出発点がふたつあるのかもしれないですね。

浜田 まさにその通りで、今年のMATの出品作も二極化しています。

梅田 発想がクリエイティブだから偉いとか、その技術を持つ企業色が強くなっているからダメとかではなく、出発点はどちらでもいいわけですよね。人のなかに新しい感情を芽生えさせるような表現だったらいい、という姿勢がむしろ大事に思えます。

杉山 MATは6年間続けてきて、企業とアーティストがつながるプラットフォームのような役割を持ちつつあります。フランスなどヨーロッパの国は、メディアアートに対して金銭的な支援をして、制作環境が整えられているので、純然たるアート活動だけで生活することが可能なんです。一方でMATに参加いただいている日本のアーティストは、クライアントワークもやっています。一見マイナスに思えるかもしれませんが、最近は二足のわらじで活動することによって、中間領域から最先端の作品が生まれるのがおもしろいとされている。日本と海外のメディアアートの違いは、そこにあるのかもしれないですね。