98 安藤北斗(we+ デザイナー)× 林登志也(we+ デザイナー)前編

安藤北斗(we+ デザイナー)× 林登志也(we+ デザイナー)_01

コンテンポラリーデザインという、ちょっと聞き慣れないジャンルで活動をするwe+の林登志也さんと安藤北斗さん。水のにじみのような模様が浮かび上がっては消えるテーブルや、釘のような鉄線で覆われたイスなど、海外でも評価の高い彼らの作品は、シンプルゆえに思わずじっと見入ってしまうような不思議な魅力を持っています。2018年10月19日(金)〜11月4日(日)まで開催される「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2018」に出展している作品の制作エピソードとともに、コンテンポラリーデザインの海外事情やそこから私たちが学べることなどをお聞きしました。

>後編はこちら

update_2018.10.24 / photo_mariko tagashira / text_ikuko hyodo

屋外でのインスタレーションは、実は初めて。

「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2018」 Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2018

「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトに、インテリアやグラフィック、プロダクトはもちろんのこと、ミュージックやフードなど文化を形成するものすべてを「デザイン」として捉え、それらを通して日常生活を豊かにすることを提案するイベント。2018年は「みらいのアイデア」をテーマに、10月19日(金)〜11月4日(日)まで開催。

『Swell』 Swell

直訳すると波などの「うねり」という意味で、風と光を可視化するインスタレーション。ものの見方や使い方を少し変えることで新しさを感じることのできる、we+らしい作品。2018年のミラノデザインウィーク期間中の「TOKYO MATERIAL BYPASS」で発表した『Peep』を共同制作したNBCメッシュテックと再びタッグを組んでいる。

安藤「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2018」では『Swell』という作品を発表しています。白いメッシュの上にミラーフィルムを貼り付けた大きなタペストリーみたいなもので、風を受けてそのメッシュが揺れたり、ミラーに光が反射してキラキラときらめくことで、風や光を可視化するインスタレーションになっています。

展示場所がミッドタウン・ガーデンなんですけど、屋外でのインスタレーションは、実を言うと初めての試みなんです。ミッドタウン・ガーデンに最初に来たとき感じたのは、風通しのよさ。緑が多いだけでなく、小川も流れていたので、外の環境を何かしらうまく生かしたインスタレーションにしたいという思いから、アイデアの構想が始まりました。

当初は水を使うつもりでいろんな実験をしていたのですが、夜はきれいだけど、昼間は魅力を最大限に引き出せていない気がして断念したりなど、紆余曲折があり......。

安藤昼も夜も見ていただける場所なので、ランドアートのようにどのタイミングで見てもきちんと成立するものであるべきだと思ったんです。

『Swell』は昼の場合、自然光や芝の緑など、どちらかというと自然物がミラーに映り込んでくるんですけど、夜になると建築物などの人工的な光を受けてきらめくので、表情がかなり異なってきます。

いずれにしても、その場所でしかできないサイトスペシフィックな作品を意識しているので、昼夜の差を感じてもらえるはずです。ミッドタウン・ガーデンは、六本木のエアポケットのような場所ですよね。コミュニケーションの速度が圧倒的に速い、せわしない街にぽっかりと存在する独特なシチュエーションなので、あえて六本木のイメージを逆手に取って、風や光などの自然物を可視化してみたいと思ったところはあります。

現象の魅力をベストなかたちでいかにしてすくい取るか。

安藤僕らの造語ともいえるのですが、ものづくりをする際は「目置き」というキーワードを重視しています。たとえば焚き火だったり噴水だったり、水面の動きや光の反射みたいなものって、何も考えずにぼんやりと眺め続けることができるじゃないですか。そういう機能があるものに興味を持ってものづくりをしていたりもするので、『Swell』もこの忙しい街のなかでぼんやりと眺めてもらいたいし、ここだからこそ意味のあるものにしたかったんです。

どの作品もそうなのですが、僕たちの制作過程はまさに実験的で、1分の1あるいはもう少し小さいモックをつくって、実際にどのように見えるか試していくんです。万人がぐっとくるようなものを探していく時間が、たぶん制作全体の9割くらい。デザインタッチの担当者にも、「事前にこんなに現場に来る人たちを初めて見た」と言われてしまうほどで(笑)。

室内の展示であれば、光や空間を仕切ったりして、ある程度こちらで調整できることも多いじゃないですか。だけど屋外で展示する場合は、時間帯や天候などで環境が大きく変わるので、こちらでコントロールできない要素がたくさんある。最適解を見つけるには変数が多すぎて、狙うべき針の穴がかなり小さいイメージなんです。現象の魅力を最大限に見せていくことをテーマとしているので、そのすくい取り方が屋外だとより難しくなるんですよね。