76 川田十夢(AR三兄弟)前編

川田十夢(AR三兄弟)

現在、六本木ヒルズ展望台 東京シティビューで開催中の「HUAWEI presents 星空のイルミネーション」。同イベントで展示されている「星にタッチパネル劇場」をはじめ、アンリアレイジのパリコレクションやBUMP OF CHICKENのARアプリ、「ミュージックステーション」と連動したダンシングタモリARなど、数々の話題作を手がけるAR三兄弟の川田十夢さん。なんでも六本木でやってみたいことがあるそうで......。

後編はこちら

update_2017.1.18 / photo_ryoma suzuki / text_kentaro inoue

「裏技」を点在させることで街歩きが楽しくなる。

HUAWEI presents 星空のイルミネーション
川田氏が手がけた「星にタッチパネル劇場」のほか、宇宙空間シミュレーター、全方位型「空宙プラネタリウム by MEGASTAR」など、都心の夜景とともにリアルとヴァーチャルの星夜が楽しめるイベント。2017年1月29日(日)まで、東京シティビューで開催中。

 ミシュランのようなガイドブックがあることで、地域に別レイヤーができて、街が今までと違って見えることってありますよね。ミシュランの場合は、星で味とかお店の格調を表しています。僕らがやってるのは「格調」じゃなくてうっかり「拡張」のほうですけど、そういう基準がひとつ加わることで街歩きが楽しくなる。

 それと同じような感覚で、昔の『ファミ通』にあったような、六本木の「裏技集」をつくりたいです。知らない人は通りすぎちゃうし、ちょっと不思議なことがあったなで終わるけど、知っている人だけが動かすことができる。反転する特権階級。

 そんな裏技が街に点在していたら、旅行で来た人も、次はあそこに行ってみよう、あれを試してみようって、裏技ベースで街を回ってみたいと思うんじゃないかな、と。裏技集は、六本木ヒルズとか東京ミッドタウンのガイドブックが置いてあるラックに差し込まれてたりして、それを見つけるところから冒険ははじまっていて。

都市生活に潜む「コナミコマンド」のようなもの

コナミコマンド
ファミコン版「グラディウス」をはじめ、コナミのゲームに登場する裏技。ゲーム中に十字キーとABボタンで隠しコマンドを入力すると、アイテムなどが獲得できる。

 都市って、一方的な気がするんですよね。デートや観光をするにしても、仕事しに来るにしてもそうですけど、ただそこにある機能を享受しているだけというか。だから1個でも、利用者や都市生活者側からの接点があったらいい。

 できれば、街にあるもので裏技が使えたほうが楽しいので、コナミコマンド「上上下下左右左右BA」みたいな感じで、エレベーターのボタンをある順番で押すと、中がダンスホールになるとか。ボタンがないところではスマホを使って、飾ってあるオーナメントの色を変えられたり、BGMを変えられたり。

 美術館の係員さんとか、人を動かすのもありですね。よくドラマとかで、バーのカウンターでスーっとグラスが流れてきて、「あちらの方からです」みたいなシーンがありますけど、それがさりげなくできるようになるとか。

もしメディアアートがひとり歩きしたら。

 もちろんアートがあって、それを観にいくっていうのもいいんですけど、成熟しつつあるメディアアートは、そろそろひとり歩きしてもいいかなと。街に点在する裏技があって、それが機能する。知っている人はそれが使えて、自分がまるでハッカーになったように感じられるし、たくらみに参加したみたいな感覚になれる。

「あそこに行ったらさ、こんなことできるよ」みたいな裏技が全国に広がっていったら、めちゃめちゃ楽しくないですか? この「ファミコン感覚」は、僕が小さい頃からずっと温めていたアイデアなんです。