42 クライン ダイサム アーキテクツ(建築家)

クライン ダイサム アーキテクツ(建築家)

「六本木アートナイト2014」で行われた、六本木未来会議の公開インタビューのゲストは、クライン ダイサム アーキテクツのアストリッド・クラインさん(写真下)とマーク・ダイサムさん(写真上)。代官山 蔦屋書店やGoogle Japanオフィスの設計を手がけるほか、いまや世界750都市に広がったプレゼンテーションイベント「PechaKucha Night」を考案したことでも知られています。来日して25年になる2人は、この日配布されていた、「ふるさとシール」をつけて登場しました。

update_2014.5.7 / photo_tsukao / text_kentaro inoue

六本木の思い出はタクシーの乗車拒否!?

アストリッド ちょうど今、肩に「ふるさとシール」(ユーラシア大陸版)を貼っていますが、私の親はドイツ人。イタリアで生まれ育って、フランスとイギリスの大学に行ったあと、1988年に日本に来ました。マークはイギリス出身です。

マーク もう25年前ですね。きっかけは、大学の図書館で『新建築』とか『GA JAPAN』とかを見たこと。もちろん全部日本語なんだけど、本当に面白くて、日本に行ってみたいと思いました。

アストリッド ロンドンとかパリやローマもそうなんですけど、古い街は保守的で、あんまり新しいことができない。でも日本は、すごく大胆で意外な建物を建てているんです。「こういうのをつくったんだ! こんなのが建ってるんだ! 信じられない!」 それで見に行こうと。

マーク まだインターネットがなかったから、日本に行くためのプランニングをするのも大変。でも今はすごく簡単になりました。日本語は、まだちょっと......大変ですけど(笑)、頑張ります。

アストリッド 伊東豊雄さんの建築設計事務所に入れたのは、すごくラッキーでした。とってもいろいろな勉強をさせてもらって、たぶん今ここにいるのは、伊東さんのおかげだと思います。

マーク その頃の六本木というと......まあ、防衛庁ですね(笑)。長い壁がずーっと続いてて、となりには小さなロックバーがありましたね。すごいヘンな。

アストリッド 夜遅く、いえ、朝早くまで、若いからよく遊びに来てたんですね、六本木に。すごくよく覚えてるのは、高速道路の下でタクシーが拾えなかったこと。外国人を見ると、運転手さんが「英語ができないから」っていって停まってくれなくて。風が吹いていて、すごく寒くて疲れる。六本木は楽しいけど、帰り道はいつも嫌な思い出という。

マーク バブルの頃だから、金曜日の夜なんてタクシーは全然いないですね。当時は、六本木でデザインやアートといえば、アクシスくらい。今日もアートナイトをやっていますが、六本木がデザインとアートの街になったのは、本当にびっくりしました。

アストリッド 昼間も夜も、どんどん魅力的でステキな街になってきた。でも、もっともっとエンターテインメントな街になったらいいんじゃないかと思っています。

SAKURA CAFE、Google JapanやYouTubeを手がける。

SAKURA CAFE

SAKURA CAFE
2008年3月29日から4月13日、東京ミッドタウン開業1周年企画のひとつとしてオープンした期間限定のカフェ。桜をイメージしたさまざまなオリジナルメニューを提供した。

Google Japanのオフィス

Google Japanのオフィス
六本木ヒルズ森タワーの高層階にあるGoogleの東京オフィス。卓球台や音楽室、バーといったユニークな設備のほか、壁紙に伝統的な柄を採用するなど、随所に日本的なモチーフを取り入れたデザインでも話題を集めた。

マーク 六本木では、いろいろなプロジェクトもやらせてもらいました。たとえば、ミッドタウン・ガーデンの芝生広場での「SAKURA CAFE」。ちょうど6年前ですね。

アストリッド ベンチやハイテーブルが桜の花びらの形をしていて、座ってお茶を飲みながら、ちょっとゆったりできる。お花見のシーズンを、もっともっとピンクにしたかったんですよね。

マーク ライトアップした夜も、すごいキレイ。

アストリッド テーブルをどかしたときには、そこだけ色が変わってランドアートになったんです。色が変わった、ようは芝生が傷んでしまったということで、ミッドタウンさんには怒られちゃったけど(笑)。

マーク 他には、六本木ヒルズにあるGoogle JapanのオフィスやYouTubeのクリエイタースタジオの設計も。フロアプランが大きいのと、4フロアもあるので、自分がどこの階にいるかわからなくなる。だから、Googleロゴと同じカラーのウォールペーパーでナビゲーションして。

アストリッド Googleは世界中のいろんな国にあります。せっかく日本なんですから、この国のレファレンスも入れようと。もちろん本物ではありませんが、銭湯や屋台があったり、畳の部屋があったり。

イベントスペース「Deluxe」から「SuperDeluxe」へ。

アストリッド 六本木との関わりはもう長くて、実は昔、私たちの事務所は麻布十番の商店街からすぐのところにあったんです。「Deluxe」という名前で、今のシェアードスペースのような場所。スペースが広いから「デラックス」。インテリア的には倉庫みたいな感じで、全然デラックスじゃなかった(笑)。スペースがあるから、いろんなイベントやりました。シェアしていた5つの会社のひとつが「東京エール」というビールを醸造する会社だったので、それを飲むためのイベントとか。

マーク スローガンは「Thinking and Drinking」ですね。

アストリッド そのうちイベントがどんどん増えてしまって、仕事とコンフリクトして。まだ六本木ヒルズができあがる前に、六本木通り沿いに新しいスペースをつくりました。

マーク 麻布十番はDeluxe、六本木は「SuperDeluxe」。もっと大きくて、だいたい250人くらい入れます。2002年の東京デザイナーズウィークのときにスタートしたから、もう12年ですね。