16 山崎 亮 (コミュニティデザイナー)

山崎亮

地域再生のキーパーソンとして注目され、人と人とをつなぐコミュニティデザイナーとして活躍する山崎亮さん。地方の山間集落や離島での仕事が広く知られている山崎さんですが、実は「都市のコミュニティづくり」も大きな関心ごとのひとつだと言います。都市にもコミュニティは必要か、そこにアートはどんな役割が果たせるのか。「デザインとアートと人をつなぐ街」六本木を考えるにあたり、まずは「都市のコミュニティ」についての山崎さんの視点から。

update_2012.11.21 / photo_taro hirano / text_tami okano / edit_rhino

都市にもコミュニティは必要です。

 都市の中に暮らす「都心居住」がうたわれて30年ほど、国も民間も盛んに「ハードとしての住まい」はつくってきました。でも、同時にコミュニティをつくる、ということは、残念ながらあまりやってこなかったと思うんですね。都市に人は増えたけれど、コミュニティがない、あるいはあっても参加していない。多くの人が職場と家との往復だけで、地域との関わりをほとんど持ってこなかったんだと思います。その結果、隣に住む人の顔が見えないどころか、街に人が住んでいないと感じるほどになってしまった。

 人が暮らしていくうえで、いい街にしようと思ったら、やはりコミュニティは必要です。でも、人と人とのつながりって、放っておいても生まれるものではないんですよね。孤独死が年間3万人以上というこの時代に、どうしたら都市でも人がつながるきっかけをつくることができるか。そのためには「地縁型」と「テーマ型」という2種類のコミュニティを意識しながらつくっていかなければならないと思っています。

地縁型とテーマ型。人と人とのつながり方。

六本木をきれいにする会

六本木をきれいにする会
その名の通り「六本木の街を綺麗にしよう」という目的の下、主に清掃活動をしているボランティア団体。参加者は町内会の人々、六本木で働く人々など様々。毎週金曜日の20時から六本木交差点を中心に50分程度清掃する、地縁+テーマ型のコミュニティ。詳細はこちらをご確認ください。

 「地縁型」は、同じ地域に住んだからこそ生まれる、まさに「地域の縁」でつながっていくコミュニティです。町内会や自治会がその代表格にあたります。「テーマ型」はたとえば鉄道が好き、とか、ラーメンが好き、とか何でもいいのですが、共通の関心や目的で結びついたコミュニティです。

 今やミクシィやフェイスブックといったSNSもあり、「テーマ型」のコミュニティのほうが身近に感じるかもしれません。特に都市部では、「テーマ型」が強いと言われ、ネットワークとかサークルと言われるようなグループがたくさんあります。

 一方の「地縁型」は、田舎に行くほど強く、都市部ではほとんど成立しないようになってきています。そもそも田舎の「地縁型」の結びつきが嫌だという人が都市に出てきたという30年前からの背景もありますし、賃貸マンションに住んでいる人が自治会に来ることはまずないですしね。

ふたつの要素を持った新しいコミュニティ。

 それなら都市部は「テーマ型」だけでいいかというと、共通の感心や目的があっても同じ地域には住んでいないことが多いので、災害をはじめ何かあった時に助け合う関係になれない。2つのコミュニティはどちらかが大事という話しではなく、そのバランスが重要だということです。そして、この両方の要素を持った「新しいコミュニティ」を作り出す必要がある、と僕は思っています。

 同じ地域に住んでいるラーメンが好きな人、とか、同じ地域に住んでいる囲碁が好きな人。そういう人たちが集まる仕組みをどう作っていくか。これにはまだ名前がなくて...... とりあえず2つをくっつけると「地域型テーマコミュニティ」でしょうか。アメリカで生まれたCBO(コミュニティ・ベースド・オーガニゼイション)という考え方があるのですが、直訳すると、地域をベースにした組織。地域型テーマコミュニティの概念は、このCBOに近いものかもしれません。