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2017年11月30日

【展覧会レポート】AXIS GALLERY TAKT PROJECT個展「SUBJECT ⇌ OBJECT」

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現在AXIS GALLERYでは、TAKT PROJECTによる初の個展「SUBJECT ⇌ OBJECT」が開催されています。TAKT PROJECTとは、DESIGN THINK+DO TANKを掲げ、デザインを通して「別の可能性をつくる」さまざまなプロジェクトを展開するデザインオフィスです。

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撮影/Masayuki Hayashi

本展では、ある枠組みを思索し、別の可能性に繋がる問いかけを「SUBJECT」と呼び、それを知覚するために具現化したものを「OBJECT」と呼んでいます。代表である吉泉聡さんは、「デザインというと、明日にでも製品になるかどうか、という問いが最初に来ることが多いのですが、もっと長い時間軸で考えた時に"どういった物がこれからの社会で必要になるか"を探って可視化すれば、デザインについて考えるきっかけになると思うんです」と本展への思いを語ってくれました。

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例の一つとして挙げられたのが、"何を量産するのか?"というSUBJECTと共に展示された、自分で染めることができるプラスチック製品「Dye It Yourself」。今までの大量生産システムはそのままに、それらに自分なりの工夫を施すことで量産型でないオリジナルが生まれます。これから必要なのは、単に同じ物を大量に作って、コストの低下によって消費者を喜ばせる量産された完成形ではなく、量産された素材なのだということを感じることができる作品です。

これを実現するにあたり、製品には日用品ではあまり使われない、吸水機能を持つ特殊なプラスチックが用いられ、ユーザーが思い思いに染色をすることができるようにしたそうです。紅花、藍、桜といった天然の色で染めることで、草木染めのような美しい色の揺らぎや濃淡が現れるのも大きな特徴の一つです。

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こちらはTAKT PROJECTの初めての自主制作である「3-PRING PRODUCT」です。青や赤など色の付いた部分は、3Dプリンターで制作したオリジナル部分。既製品を使用し、オリジナルの部品を組み合わせることにより、より自分好みに出来たり、利便性が増したり、違う用途として生まれ変わることも。

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「3-PEING PRODUCT」のSUBJECTは「想像の手段を展開する」。既製品を素材に戻し、再構築してできるこの作品は、過去の曲や音源の一部を引用して新しい曲を作り出すサンプリング技法に例えられています。「消費者」「メーカー」という、受け手と作り手の枠を超えた、その両者を繋ぐ間にあるものこそ、誰もが創造と生み出す楽しさを知ることができる領域なのではないでしょうか?

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ライトが分解されたものが飾られたパネル。"素材とプロダクトの境界線を探る"というSUBJECTのもと展示されたのは、透明アクリルの中で光が瞬く不思議な置物「COMPOSITION」です。

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例えば、家電製品は中の機械類が見えないように外装されているのが通常ですよね。それら家電製品の部品などがカバーなどに覆われずに機能している姿を、見てみたいと思ったことはありませんか?「COMPOSITION」の中に入っているのは、そんな普段あまり姿を見せることのない電子パーツたちです。様々なパーツがアクリルの中で浮遊しているように見えますが、これは見た目を華やかにするために入っているわけではなく、それぞれがきちんと繋がって機能し合い、明かりを灯すために組み込まれています。

「何十万円で買いたいって言ってくれる方もいたんですよ(笑)」と語る吉泉さん。「機能としては100円均一でも買えるようなものですが、こういう状態になると、途端に価値が変わる。デザインの面白いところだと思います」とお話しくださいました。

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霜のような繊細さと美しさを見せていたのは、これまで多くのアクセサリーやジュエリーを生産してきたクリスタルガラス製作会社スワロフスキーとの合同制作「Ice Crystal」。これは、3Dプリンターによる世界初のクリスタルガラスであり、とても画期的な作品です。ランダムに何パターンもの形があるように見える本作ですが、実は形のパターンは5種類のみ。そうとは思えないほど、見える方向や組み合わせによって、様々な表情を見せていました。

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撮影/Masayuki Hayashi

主張しすぎない優しい可憐な輝きの秘訣は、3Dプリンターの特性にあります。それは、機械が物を作る際に表面に必ずできてしまう、積層痕(上の写真)と呼ばれるもの。TAKT PROJECTとスワロフスキーは、この3Dプリンターの特性をネガティブなものとしてとらえず、むしろ新しい光の反射を生み出すものとしてポジティブに打ち出しました。そんな思いがこもった本作には「最新技術に自己の文脈を見出す」というSUBJECTが付けられていました。

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撮影/Masayuki Hayashi

今回紹介したもののほかにも、これまでは見過ごしていたSUBJECTを、見事にOBJECTにした作品が並んでいました。吉泉さんは最後、「デザイナーってものを作ると、いつ販売するんですか?いくらするんですか?と聞かれるんですが、そういうこととは別に、自分の中にSUBJECTを持ってOBJECTを作ることで、世界と対話していけたらと思います」という言葉で締めくくりました。

目で見るだけでなく頭も使って楽しむことのできる展覧会を通して、あなたなりのSUBJECTを探してみてはいかがでしょうか?

編集部 髙橋





information
TAKT PROJECT個展「SUBJECT ⇌ OBJECT」
会場:AXIS GALLERY
会期:2017年11月18日(土)~12月3日(日)
開館時間:11:00~20:00
※最終日は17:00まで
休館日:会期中無休
入場料:無料
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):http://www.axisinc.co.jp/media/exhibitiondetail/59
TAKT PROJECT公式サイト:
http://www.taktproject.com/

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