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第4回 六本木デザイン&アートツアー 『日経デザイン』編集長・下川一哉氏による「DESIGN TOUCH 2013」案内

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update_2013.11.20
第4回 六本木デザイン&アートツアー

update_2013.11.20 / photo_ryumon kagioka / text&edit_kentaro inoue & yosuke iizuka

芝生広場につくられた建築家・藤村龍至さんによる仮想都市「ミッドパーク・ダンジョン」や、東京ミッドタウンでは初の開催となる「グッドデザインエキシビション2013」などなど、「デザインを探しに行こう。」をテーマに、今年も多くのデザインイベントが行われた「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2013」。その最終日、『日経デザイン』編集長の下川一哉さんをガイドに巡った、午前と午後2回のツアーの様子をレポートします。

2013年の受賞作品全点を紹介する「グッドデザインエキシビション2013」。

 午前中に行われたのは、グッドデザインエキシビションを中心としたツアー。さっそうと歩く下川さんに連れられ、参加者のみなさんは最新のデザインが所狭しと並ぶ、東京ミッドタウン・ホールを訪れます。

 グッドデザイン賞はプロダクト全般のほか、ビジネスモデルや研究開発まで、デザインにまつわるあらゆるモノやコトが対象。ツアーは、下川さんが1年半ほど取材を重ね、ぜひ見てほしいという作品、「陰翳 IN-EI ISSEY MIYAKE」の解説からスタートしました。

「これは、イッセイミヤケ初のインテリアプロダクト。三宅さんはイサムノグチのAKARIシリーズが好きで、骨組みの竹ひごを見えなくしたものをずっと考えていたそうです。そして、ペットボトルの再生繊維100%の不織布を使って自立する照明をつくりました。グッドデザイン賞金賞のほか、ドイツのiFデザイン賞やレッド・ドット・デザイン賞も受賞し世界的にも認められている、今年のエポックメイキングな作品ですね」

「新しい日本の照明ということをテーマにしているから、もちろんLED、そして折り畳んだ状態で輸送できるのでコストも低い。私も自宅で使っていて、三宅さんに『充電式にして持ち歩けるようにしては?』と言ったんですが、まだそこまでは至っていないということでした」

「この医療用の3D臓器シミュレーターのように、これから日本の産業が成長していく中で、医療分野はすごく大事。内視鏡外科手術で使われる緑色のガーゼも展示されていますが、これまでカーゼはなんとなく白が清潔でいいと思われていたけど、そうじゃないかもしれない。デザイナーが現場に入ることで、問題が解決しやすいことがあります」

「トヨタの超小型三輪電気自動車『i-ROAD』(写真右下)は、原付と軽自動車の間にある新しい領域のモビリティ。都市部よりもむしろ郊外や地方、車がないと生活できない場所で活躍するものかなと思います。こういう"未来"を見せてくれるのも、このイベントの面白いところですね。買い物難民になってしまいがちな高齢者も対象にしているのに、スタイリッシュで乗ってみたいと思わせてくれるデザイン。ユニバーサルデザインっていうと無難で冒険していないイメージがあるからか、実際なかなか買わないんですよ」

「面白いのは、ホンダの『サ・ラ・ダCG』。家庭菜園用の耕運機で、カセット式のガスボンベで1時間くらい動きます。一般的なリサーチではユーザーの意見を重視しますが、まったく商品を使っていない人たちの意見を聞くことで問題が見えてくることがある。いわゆる『エクストリームユーザー調査』によって開発されたものです。カセットガスは安全で手軽だし、どこでも買えるのがいい。エネループという充電池がありますよね。私は以前、関西ガスに『ガスループをつくりましょう!』と提案をしたことがあるんですが、無視され続けています(笑)」

新しいコンセプトのデザインやアートが集う「Tokyo Midtown Award 2013」。

 デザインとアートの2部門からなるコンペティション「Tokyo Midtown Award 2013」。デザインコンペは、原研哉さんをはじめ日本を代表するクリエイターが審査員を務め、これまでも「富士山グラス」など受賞作が商品化されています。2013年のテーマは「まん中」。年間10回以上はデザインコンペの審査員を務めるという下川さんが、"コンペ必勝法"を織り交ぜながら、丁寧に解説してくれました。

「商業施設なので、"ここで売るもの"という視点が色濃いコンペですね。外国人のお客さんも多いので、日本のおみやげとしてのクオリティが高いかどうかも基準のひとつでしょう。大賞を受賞した『MID DAY』という作品は、1年365日のちょうど真ん中の日、7月2日を祝おうという作品です。1年の真ん中の日なんて普通は意識しない。それを発見したっていうのが面白い」

「商品化が決定した『ATARI MANJU』(写真中央の箱)は、的のような輪が描かれたおまんじゅうを、矢の形の楊枝で食べる。合格できますようにとか、当たりますようにとか、縁起を担ぐ日本人らしい作品。焼印を入れるだけで新しい価値が生まれる、まさにデザインの力ですね」

第4回 六本木デザイン&アートツアー

「ミッドパーク・ダンジョン」を建築とデザインの側面から深読みする。

 ミッドタウン・ガーデンにつくられた「ミッドパーク・ダンジョン」は、建築家・藤村龍至さんがデザインした迷路のようなアトラクション。午後のツアーは、ここからスタートしました。土管があったり、遊べる広場があったり、ニューヨークという街にあるランドスケープを取り込んだ"仮想都市"を舞台に、話は「建築とデザインの違い」など、より奥深い内容に。

「建築家は基本的に、まず都市レベルで見て、次に街レベルで見て、建築、インテリア、家具、プロダクトという順番で考えていく。このアトラクションには、建築家の上から俯瞰してみる目が生かされていると思いますね。一方、デザインの世界では、コップというプロダクトがあったら、どうテーブルに載せるのか、どんなテーブルが快適なのか、どんな部屋が、家が、街が、都市が......と考える人が増えている。秋葉原なんかはフィギュアや家電というプロダクトレベルからはじまった街だ、という人もいます」

 ここで参加者から「デザインと設計の違いは?」という質問が。

「それは難しい問題なんです。昔はデザインのことを『意匠』と呼んでいて、設計というのはもっとコンセプトに寄ったものでした。建築家には、デザイナーやアーティストに近い人もいれば、構造計算ばかりしているエンジニアに近い人もいます。最近は、どちらかというとコンセプトを意識する建築家が増えている。次世代の建築をつくるには、プロダクトに下りていかなければと考える人もたくさんいますね」

「壁が透けているから安心感がありますよね。向こうが少し見えるのも、迷路を楽しめる工夫なんでしょうね。ちなみに私、ここから出る自信がありません......」と笑う下川さん。ダンジョンの素材として使われた木製のパレットは、藤村さんがかなり計算して選んだもの。イベント終了後は、先日、台風で大きな被害を受けた伊豆大島の復興に活用される予定だそう。

「街の風景をつくる建築という仕事は、他のデザイン分野と比べて社会的責任が強い。たとえば、このパレットのように役目が終わったら被災地で別の用途として使うとか、循環型の社会にあった建築を考えることが必要です。深読みをすると、極めて実験的な建築手法であるともいえます」

企業とデザインの幸せな関係とは? 「デシーカ カーニバルカフェ」。

 ダンジョンの隣にある、期間限定の「デシーカ カーニバルカフェ」は、UCCのグループ会社が手がけるスペシャルティコーヒーが楽しめるコンセプトカフェ。雑誌『BRUTUS』などでもおなじみの、藤本やすしさんがアートディレクションを務めています。

「コーヒーのパッケージって、必ず中南米やアフリカの風景や豆の絵が描いてありますよね。でも、そういう絵もないし、企業のマークすら入っていません。これまでの売り方や売り場でないところでブランドを訴求していきたいということでしょう。そういう意味では、今まで企業ができなかった問題をデザインで解決しようとしているのかもしれませんね」

「イナダストーン エキシビション」を入り口に、デザイン講義がスタート!

 ミッドタウン・ガーデンの遊歩道には、石造りの像が立ち並びます。これは、ブランド石材「稲田御影石」と、著名クリエイターがコラボレートした作品を展示する「イナダ ストーン エキシビション」。

「松永真さんは『日経デザイン』の表紙のアートワークを一番長く務めた大御所です。このキャラクターは、松永さんご自身だとおっしゃられているようですが、こんなにかわいかったですかね(笑)」

 参加者と話しながら歩いているうち、いつしか話題は、デザイン教育についてへと移っていきました。下川さんは、日本に足りないのは、初等教育におけるデザイン教育だといいます。

「たとえば、スプーンにデザイナーがいるなんて、子どもは誰も思っていませんよね。製作には金型が必要で、売りやすくつくりやすくなっていないと受け入れられない。それを教えるだけでも、デザインとは何かわかるはずなのに......。社会科の授業でもデザイナーっていう職業の役割を教えないんです」

「一方、デザイン教育が浸透しているのはイギリスです。車メーカーも家電メーカーももうないのに、デザインを、まるで音楽家と同じような"クリエイティブインダストリー=創造的産業"として育てて、海外に売ろうとしている。日本も資源のない国だからこそ、輸出産業としてのデザインを考えていかないといけないと思います」

 では、日本らしいデザインとは? デザインをコンセプトと表現に分けるなら、コンセプトに強いのが日本。奇抜な形より、奇抜な解決方法が期待されているのだそうです。

「最近、パリでは布団が売れています。家が狭いから、お客さんが来たらリビングで布団で寝てもらおうというわけ。また、自宅にランチに帰るのが難しくなっているので、日本のお弁当箱にサンドイッチを入れていく。彼らが抱えている問題をどう解決するか、その提案ができたときに初めて受け入れられるんだと思いますね。無理やり漆のお皿で食事をしろといっても無理なんです」

第4回 六本木デザイン&アートツアー

「デザイン ショッパー コレクション」に、企業や大学の特別出展も。

 他にも、永井一正さんや佐藤可士和さんなど、日本を代表するデザイナーが、東京ミッドタウンのインテリア&デザイン18店舗のショッピングバッグをデザインした「デザイン ショッパー コレクション 2013」が開催中。

「自分の作品をストレートに表現している人もいれば、ショップのブランドの特徴をうまく表現している人もいる。みなさん、作家性とブランディングの間でどんなデザインをするのかを考えているんでしょう。伊勢丹のような百貨店だとオリジナルのバッグがあるからやりづらいですが、商業施設だと表現の幅があっていいですね」

 グッドデザインエキシビションの第四会場、アトリウムには、メーカーや美大の展示が並びます。「ビジネスの中からでは生まれてこないアイデアもあって、デザインを総体として楽しめるのがいいですね」と下川さん。ときに大学の教授やメーカーの担当者と直接言葉を交わしながら、参加者のみなさんとブースを巡りました。

色や形だけじゃない。デザインとは、問題解決の方法。

 デザインの仕事をされている方も多く、メモをとったり質問したり、いつにも増して活発なコミュニケーションが行なわれていた、今回のツアー。締めくくりにある下川さんのコメントからも、そんな雰囲気が感じられます。最後に、参加者のみなさんとのやりとりを少しご紹介しましょう。

――解説の中で「これウチにもある」と、よくおっしゃっていたのが印象的でした。

「取材すると、つくった人の気持ちや考えが宿っていることがわかるから、欲しくなっちゃうので困りますね(笑)。たかが鍋ひとつかもしれないけど、それが何かを変えてくれるかもしれない。そういう期待感が、モノを買わせるのかなと思います」

――最近は、物語性を持たせるプレゼンテーションも求められていますよね。でも、ものすごい数の商品が出ていく中で、すべてがそうできるわけではないというジレンマもあるのでは?

「たしかにありますね。でも、個々の商品でストーリーを語るのは難しくて、ブランドがないとストーリーは伝わりません。たとえば、宝酒造という会社には『宝は田から』というスローガンがあります。自分たちは、田んぼからできるお米のよさを引き出したものをつくっていくんだ、という意味。それを核にして、パッケージはどうだ、プロダクトはどうだと考えていくことで、はじめてストーリーができる。私もまだまだ勉強中ですが、ひとつだけ言えるのは、コンセプトや哲学を言語化して伝える力は、確実に求められるようになってきていますね」

――食品メーカーに勤めているのですが、商品開発部に異動になり、パッケージデザインに関わることになりました。下川さんにとって、よいパッケージとは?

「ブランドの価値とか存在が一瞬で伝わることですね。たとえばコンビニで飲料を売る場合、コミュニケーションできる時間は0.2秒。その時間内で、どんな味がしそうか、どんな体験をさせてくれそうかを伝えなければならない。商品を開発するときには、おそらく数百のパッケージ案を出しますが、陽の目を見るのはたったひとつだけ。そのひとつが、デザイナーの魂すべてを背負っていると考えるといじらしくなります。ぜひ頑張ってください」

――「デザイン」という言葉を、今、日本語に訳すとしたら?

「デザインとは何かと聞かれたら、私はいつも『問題解決』だと言っています。現代のデザイナーは、ただ商品を売るためにパッケージや広告の色や形を考えるだけではなくて、企業や社会が抱えている問題を解決していくことを考えなければなりません。だから少し枠を広げて、問題解決の方法を考えて実行する人、世の中にいろんな知恵を与えてくれる人は、みなデザイナーといっていいと思っています」

――そうすると、具体的に方向を示す能力を持っていないと、デザイナーとしてはやっていけないということですか?

「投資家とのコミュニケーションとか社会貢献とか、企業が抱える問題はいろいろあります。社長に対して、『あなたが困っていることをデザインで解決します』と言うことができれば、新しい道が開ける。残念ながら、メーカーのデザイン部から、社長や取締役ってなかなか出ないんです。デザイナーはただ絵を描くだけでなく、もっと高い次元の問題解決に役立っていかなければならない、ということです」

「デザインって健やかというか、暮らしの問題を解決するものだし、等身大で語れるのがいいですよね。デザインを切り口に集まる人は、積極的だしフレンドリー。たとえば今日も、ビジネスというテーマだったら「何を買えばいいんだ!」なんて殺伐としていたはず(笑)。集う、理解しあうというのもデザインのひとつの力ですから、みなさんもぜひ仲間づくりをしてみてください。小難しい話もしましたが、私は意外とそういうことを真剣に考えて雑誌を編集しています。今日は本当にありがとうございました」

 

下川一哉(しもかわ・かずや)
1963年、佐賀県生まれ。1988年、日経マグロウヒル(現・日経BP社)入社。『日経イベント』編集、『日経ストアデザイン』編集などを経て、1994年に『日経デザイン』編集に配属。2008年より編集長。デザイン情報番組「Design Channel」「TOKYO AWARD」(テレビ東京)でコメンテーターを務めるほか、中小企業庁「JAPANブランド育成支援事業採択審査委員会」委員、特許庁「意匠出願動向調査‐マクロ調査」委員などを歴任。また、富山プロダクトデザインコンペティション、LGモバイル・デザイン・コンペティション、JIDビエンナーレ、SDA賞、JCDA賞、JPDA賞などで審査員ほかも務める。2008年から2012年にかけて、「伝統工芸・地場産業とデザイン」「スマートデザイン」をテーマに、全国各地で講演多数。2008年12月に仏パリ、2009年5月に米ニューヨークで開催された「感性―Japan Design Exhibition」のキュレーション、経済産業省2009年度ソフトパワー海外派遣事業エグゼクティブプロデューサーも務める。2012年度から、京都造形芸術大学客員教授。2013年度から多摩美術大学非常勤講師。

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