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六本木未来会議アイデア実現プロジェクト #07

「六本木未来大学」 第7回 「伊藤直樹さん、世界で通用するクリエイティブディレクションって何ですか?」講義レポート【後編】

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六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#07 「六本木未来大学」  第7回 「伊藤直樹さん、世界で通用するクリエイティブディレクションって何ですか?」講義レポート【後編】
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update_2016.08.24 photo_ tsukao / text & edit_yosuke iizuka

第7回 講義レポート 後編 「伊藤直樹さん、世界で通用するクリエイティブディレクションって何ですか?」

2016年7月25日(月)に開催された六本木未来大学の第7回講義、登壇してくれたのは、クリエイティブラボ・PARTYの伊藤直樹さん。後編では、PARTY設立から現在に至るまで、どのように仕事と向き合ってきたかが明かされます。伊藤さんが「今」考えている、クリエイティブディレクションの方法とは?

前編はこちら

PARTYの役割は、「社会実装」にある。

「インターネットなどを使って、言語に依存しない、インタラクティブな体験のデザインを、世界に向けて」。伊藤さんが自身の「逃走の歴史」とともに、今回の講義の軸としているこの考えが明確になったのは、PARTYを設立してからのこと。

「当初、PARTYはクリエイティブラボを標榜することで既存組織との違いを出そうとしていたんですが、『メディアアートは社会実験』と言われているように、最近、メーカーも大学もメディアアートもプロダクションも、みんな近いところに来ている気がします。ところが、研究や発明では大学やメーカーの研究者に勝てないし、メディアアートで日々実験しているような人たちにも敵わない。じゃあどうするかとなったときに考えたのが、僕らの役割は『社会実装』がじゃないかということなんです」

「そんなとき、成田国際空港第3ターミナルのサイン計画のお話を日建設計さんからいただきました。このプロジェクトには実施設計・基本設計・施工とありますが、基本設計の段階から僕らの考え方を落とし込みたいと言ってくれて。サイン計画をこれまでどおりに入れるだけではつまらないし、そこにお金をかけられないので、基本設計の段階、つまりゼロから建物に反映するという考え方でやりたいと。そのときは『ちょっと時間をください』なんて考えるフリをしたんですけど、心の中ではこれはすぐにやりたいなって(笑)」

そしてできあがったのが、陸上トラックをモチーフに、施設と一体になった斬新なサイン。成田空港第2ターミナルから第3ターミナルへの徒歩での移動という体験が、デザインに落とし込まれています。

「それまで、陸上トラックを使ったサインというのは存在していませんでした。空港ということもあっていろいろな意見がありましたが、最終的にはこの難易度の高い提案を社会の中に実装することができた。しかも最近では、大型商業施設でも似たようなものが登場しています。これはPARTYが社会実装したものが受け入れられていることの証拠で、僕らとしては大歓迎。今はマネされて嫌がるような時代じゃない。むしろ、表現者冥利に尽きると思いますね」

仮想現実・拡張現実には、無限の可能性がある。

社会実装ができる環境が整ってきた今、伊藤さんが実感していることのひとつが、「技術力では勝てない」ということ。そこで、伊藤さんは「洞察力ならどうか」と考えているそうです。最近注目されている技術、「VR/AR」「人口知能」「IoT」について、次のように話してくれました。

「『IoT』はセンシング、人間の行動を計測するものです。そして、それを解析・判断するのが『人口知能』。『VR/AR』は、その結果を表現するパートに関わってきます。僕は、このVR/ARに無限の可能性を感じているんです。インターネットで検索すると、VRは仮想現実という技術、ARは拡張現実という技術だと書いてある。でも、これを技術としてではなく、概念として捉えてみたほうがいいんじゃないか。そう考えれば映画だって拡張現実だし、プロジェクションマッピングだってそう。僕が手がけた影を使ったキャンペーン『interactive wall BIG SHADOW』だって、拡張現実と言えるんです」

VR/ARといえば、話題のスマホゲーム「ポケモンGO」にも使われている技術。ご存じのとおり、ゲームの世界が実際の地図と紐づけられ、街を歩くと画面上に出没するモンスターを捕獲できるというもの。伊藤さん、「こういう体を使ったゲームは大好きでやりこんだ」とのこと。

「このゲームは時速10km以下での移動を感知するんです。だから、掃除ロボットの『ルンバ』が乗り物としてもっともふさわしい。しかも、形がポケモンのロゴに似ていますからね。私はアイロボットさんにポケモンGOのルンバをつくってもらって、大儲けしようと思っています(笑)。冗談はさておき、ARを現実世界にキャラクターが合成されるだけの技術とは考えないほうがいいと思います。そうではなく、『現実を自由に拡張する概念』だと考えれば、妄想がふくらんで、いろいろなアイデアが出てくるのではないでしょうか」

【クリエイティブディレクションのルール#6】
「技術」ではなく「解釈」で勝負する

講義もいよいよ終盤。ここからは、PARTYを例に、これからのクリエイティブ業界で勝負していくための組織論、そして日本が世界で勝つための方法論が語られます。伊藤さんが語る「逃走論」、その結末は?

大人数ならデザイン思考。では少人数なら?

「先ほど『映画も拡張現実だ』と話しましたが、ディズニーの『ズートピア』という映画が上映されていますよね。動物たちが街で暮らす様子を描いたアニメーションですが、あれ、実は『毛の映画』なんですよ。250万本もの毛を持つウサギやキツネが登場していて、毛を専門にソフトウェアを開発して再現している担当者がいる。すべてが細かい分業制でできているんです。そんな規模でやっている人たちに、僕らが勝てるでしょうか?」

伊藤さんが最近考えていること、もうひとつは「規模」のこと。ハリウッド、グーグル、アップル、ナイキなど、伊藤さんがこれまで仕事をしてきたクライアント企業はどこも大規模で、なおかつ非常に整備されていると言います。そして、どの企業にも共通するのが「デザインシンキング」という考え方。

「デザインシンキングについて調べてみると、1980年から90年にかけて、スタンフォード大学で本格的な研究がはじまっています。一言で言うと、デザイナーが暗黙知でやっているプロセスを明らかにして、システム化するという手法ですね。これはすばらしいものですが、僕らPARTYはやっていない。なぜなら25人と少人数だから。デザインシンキングは大規模な組織には適していますが、少人数の場合はそこまでシステマティックにやる必要がないし、個性を打ち消してしまう危険もあるんです」

では、少人数の場合はどんな方法が有効なのか。その答えとして伊藤さんが話したのが「カオスに個性を立てる」というやり方。その内容を、図をつかって説明してくれました。

「左はどこかの大企業だとします。システマティックに仕事を進めているので、関わっている人たちの姿は見えてきません。それに対して、右が僕らPARTYです。何人かの人がいて、誰かが変わったことを言い出したら、みんながそこに乗っかっていく。集団の中で関わる人の個性を拾うやり方、これが社内では重要なんじゃないかと思います」

もうひとつ、伊藤さんが挙げたのが「個性のある人を集める」というやり方。このように、組織がアメーバ状になって、優秀な個性を持った人がすぐに集まったり解散したりできる環境は、実は日本ならではのもの。アメリカの場合は契約社会なので、プロジェクト単位で人が出入りすることは少ないそうです。最初から勝負が決まっているインターネットの世界では、この日本的なやり方が有効だと考えていると言います。

「メトカーフの法則と収穫逓増の法則があるインターネットは、誰かが一人勝ちする世界。すでに勝ち負けが決まっています。僕らは支流の、さらに枝分かれしているくらいの会社です。太い川はどこかの大きい会社、海はグーグルでありフェイスブックです。最近では500億円とかで、どんどんいろんなアプリやサービスを鮮やかに買収していますよね。そういう時代なんです。そうなると、『僕たちのアレは買われてしまったよね、500億円で』というものをつくるしかないと思っています。勝てないのなら、格好よく負けるというやりかたもあるということです」

【クリエイティブディレクションのルール#7】
少人数の組織で、集団の中の「個性」を拾っていく

変だけどすばらしい、世界で通用するクリエイティブディレクション。

伊藤さんが最後に話してくれたのが、これからの世界で負けないための方法について。ニューヨークとロンドンが圧倒的に強いつくり手たちのパワーバランスの中では、「変」であることが対抗するためのポイントになると言います。

「日本には『いとをかし』という、変という意味と素晴らしいという意味両方が入っている概念が昔からありますよね。同じような意味で、『weird and wonderful』という英語があります。以前、ロンドン国際広告賞のウィアード・ ワンダフルワークという部門では、ウチの中村洋基がよく賞を獲っていました。なぜなら、彼はお漏らししたことをブログに書くような、変なやつだから(笑)。僕はもう、オーセンティックにかっこいいとか美しいとかでは勝負できないと思っていて、僕自身、審査でもちょっと変なことを言ってコミュニケーションをとろうとしています。そうすると『何を言い出すの?』って顔をしてこっちを向いてくれる。今後、ぼくらは『変さ』でものづくりをしていかなきゃいけないと思っているんです」

【クリエイティブディレクションのルール#8】
世界で通用するのは「いとをかし」の精神

これまで、ときにシューマンの曲「流浪の民」を流しながら、「◯◯じゃ勝てない。◯◯ならどうか」と「逃走の歴史」を語ってきた伊藤さん。最後はこんな言葉で講義を締めくくりました。

「僕は常に逃げてきました。今、僕がいるのは、褒められたものじゃなくて、逃げて逃げてたどり着いた場所。でも、逃げたけれど、たとえば広告は今でも大好きなんです。嫌いだから逃げるのではなくて、大好きだけどちょっと勝負できないからほかにいくというような気持ちでやってきました。きっとまた、あれはかっこいい、でも俺たちはこっちに行こうということをやっていくんでしょう。近いうち、また逃走します。逃走して、僕らはいつかかっこよくありたいなと思っています。今日はありがとうございました」

前編はこちら

【information】

六本木未来会議 アイデア実現プロジェクト#07「六本木未来大学」


第8回「菅付雅信さん、物欲なき世界のクリエイションって何ですか?」
【講師】菅付雅信(編集者/株式会社グーテンベルクオーケストラ代表取締役)
【日時】9月8日(木)19:00~21:00
【会場】東京ミッドタウンカンファレンス Room7(ミッドタウン・タワー4F/東京都港区赤坂9-7-1)
【授業料】2,000円

授業の詳細・お申し込みはこちらから>
http://6mirai.tokyo-midtown.com/page/project07/

information
六本木未来会議 アイデア実現プロジェクト#07「六本木未来大学」
第8回「菅付雅信さん、物欲なき世界のクリエイションって何ですか?」

【講師】菅付雅信(編集者/株式会社グーテンベルクオーケストラ代表取締役)
【日時】9月8日(木)19:00~21:00
【会場】東京ミッドタウンカンファレンス Room7(ミッドタウン・タワー4F/東京都港区赤坂9-7-1)
【授業料】2,000円

授業の詳細・お申し込みはこちらから>
http://6mirai.tokyo-midtown.com/page/project07/

伊藤直樹伊藤直樹 / クリエイティブディレクター
伊藤直樹 / クリエイティブディレクター

1971年静岡県生まれ。早稲田大学卒業。 テクノロジーとストーリーテリングの融合を追求するクリエイティブラボ「PARTY」のCEO。 これまでにNike、Google、SONY、無印良品など企業のクリエイティブディレクションを手がける。 2016年、Fast Company誌が選ぶ世界の「The Most Creative People in Business 1000」に選ばれる。 最近の作品に、成田空港第3ターミナルの空間デザインやサンスターのハミガキIoT「G・U・M PLAY」などがある。 文化庁メディア芸術祭優秀賞、グッドデザイン賞金賞、カンヌ・ライオンズ金賞など、国内外の200以上に及ぶデザイン賞・広告賞を受賞。作品集に「PARTY」(ggg books)など。経済産業省「クールジャパン官民有識者会議」メンバー(2011、2012)。NYの国際デザイン・広告賞ONESHOWの国際ボードメンバー。京都造形芸術大学情報デザイン学科教授。

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