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六本木未来会議アイデア実現プロジェクト #10

六本木未来会議BOOKキャラバン @TSUTAYA TOKYO ROPPONGI【後編】

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六本木未来会議アイデア実現プロジェクト#10 六本木未来会議BOOKキャラバン @TSUTAYA TOKYO ROPPONGI【後編】
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update_2018.01.31 photo_yuta nishida / text_tami okano

キャラバン参加者それぞれの「私の一冊」。

クリエイティブ集団「graf」を率いる服部滋樹さんへのクリエイターインタビューをきっかけに実現した、「六本木未来会議BOOKキャラバン by 服部滋樹」。大好評を博した前回の芝生広場でのキャラバンから一転、今回は、ブック&カフェの先駆けであり、六本木のカルチャースポットのひとつ、「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」が舞台です。「東京ピストル」代表で編集者の草彅洋平さんと共に、参加者のみなさんが持ち寄った本を使ってワークショップをしながら、六本木未来会議の「移動式本棚」に加える1冊を決定! 果たして、どんな話題が飛び出し、どんな本が選ばれたのでしょう。

前編はこちら

キャラバン参加者それぞれの「私の一冊」。

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 ふたりのトークに会場が引き込まれるなか、いよいよ、参加者のみなさんとのワークショップがスタート。3〜4名ずつ、4グループに分かれて、持ち寄った本のどこに「クリエイションのスイッチ」が押されたかを発表し合います。

 会場で初めて顔を合わせた者同士なのに、本についての質問や個人的なエピソードへの共感など、どのグループも和気あいあい。活発な会話が交わされていました。次に行われたのは、グループ内の代表者の選出。各グループから選ばれた4人の代表者が、服部さん、草彅さんを含め、全員の前でプレゼンを行います。

■代表者プレゼン1:川井千佳さん『現代図案文字大集成』(著・辻克己/青幻舎)

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「この本には、大正時代から現代にかけての文字やサインが詰め込まれています。同じ文字ひとつとっても、形も違うし、おもしろ系あり、真面目系あり、コミカルな感じのものもある。私は、仕事で子ども向けの本の企画をしているのですが、この本は、常に私の机の上にあり、これを見ているだけで、どんどん企画のイメージが浮かんでくる一冊です」

服部 企画がどんどん浮かんでくるっておっしゃっていましたけど、文字と企画がどんなふうにつながるんですか?

「今は使われないような、魔法使いサリーちゃんのようなフォントが出てきたりするのですが、たとえば、今度の本には魔法使いを登場させてみようかなとか、こんなイラストがいいな、とかですね」

服部 いいですね。じゃあ、これはディレクションする人必見ですね。

草彅 この本って復刻版で、オリジナルは1950年に出ているんですね。昭和のベストセラー描き文字集。貴重ですね。復刻が出ているうちに、ぜひ買いたいです。

■代表者プレゼン2:駒井恵太さん『ゆっくり、いそげ』(著・影山知明/大和書房)

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「影山知明さんという人が、マッキンゼーを辞め、JR中央線・乗降客数最下位の西国分寺駅でどうやって『クルミドコーヒー』を成功させたのかを体系的に語った本です。資本主義を完全に否定するのではなく、仕組みとして大事だとしながら、もうひとつの価値観みたいなことを人生をかけて提案している人で、本の中に出てくる『健全な負債感』というキーワードも僕のスイッチを押すきっかけになりました。贈ったり受け取ったりする関係性を刺激したり、お金じゃない富のデザインがあるのではないかという話が印象的でした」

草彅 もし、駒井さんも何かお店を始めたいと思っているなら、夏葉社が出している『すべての雑貨』という本も読んで欲しいですね。『すべての雑貨』の著書、三品輝起さんは、自分で小さな雑貨屋さんをやっていて、雑貨っていったい何なのかを突き詰めて考えて書いたような本。僕はスローライフという言葉はあまり好きじゃないんだけど、それが三品さんなりの解釈で書かれているので、この本も、駒井さんには合うんじゃないかと思います。ぜひ!

一番難解で、一番読みたくなった本。

 各グループの代表者プレゼンを経て、今回の「一番読みたくなった本」に選ばれたのは、なんと、20年以上前に上映された映画のパンフレット!(※絶版のため、デザイン&アートの本棚への収蔵はありません)プレゼンの最中から、服部さん、草彅さんは興奮を抑えられません。

■最優秀プレゼン:杉本裕紀さん『BLUE』(デレク・ジャーマン/アップリンク)

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「イギリスの映画監督、デレク・ジャーマンの遺作となった『BLUE』のパンフレットの日本語版です。彼が1994年にHIVで亡くなった後、池袋の単館映画館で作品が上映されていて、その時に買いました。クリエイションのスイッチって、どのタイミングでのスイッチが自分にとって一番影響があったのかなと考えたら、それは若かりし頃、自分はこれから社会人になって、どうしていこう----と思っていた頃なのかなと。『BLUE』はその当時の衝撃的な出来事だったんです。青の映像だけが75分間流れていて、ひたすら、デレク・ジャーマン節の言葉を聞き続けるという、禅にも等しいような作品で......」

草彅 うわあ! デレク・ジャーマン! 『BLUE』! 懐かしい!

「言葉を聞きながら字幕も追うんですけど、自分の中に落ちてくる言葉は数えるほどしかなくて、実際にどういう言葉で75分間が構成されていたのかを知りたいと思ったとき、このパンフレットが唯一の頼りでした」

草彅 わかる! これ映画館で見るの、苦行ですよ。苦行。急に今思い出したんですけど、我々40代の若かりし頃って、超大変だったんです。ジョン・ケージをはじめとする難解なものを、勉強したくもないのに勉強しないといけなくて。それを考えたら、今の20代が見ているものは、すんなりと自分の中に入ってくるような気持ちのいいものばかり。僕たちは、こんな禅問答みたいな作品に向き合わされてばっかりだった。

服部 でも、その"わけのわからなさ"は、青春時代に必要だった気がしません? その時に意味がわからなくても、「あのときのあの言葉って、こういう意味やったんかな」っていうのは、その後も常に頭の中で思考する装置になってるんじゃないかなあ。

草彅 それしても僕、難解なもの本当に嫌いなのに、『BLUE』みたいなものをひたすら見て、これがアートだって言ってたけど、今振り返ってもぜんぜんわからない......。わからないものにお金を払い続けた80年代、90年代って、何だったんですかね。

服部 アートが活発になっていった時代だし、ヒップなやつからアングラまで、あらゆるものを、その端と端まで見た感じはありますよね。でも、わからないことを浴び続けたことによって、基礎体力がついたということもある。

草彅 いや〜、久々にドーパミン出ました。このセレクトはすばらしい!

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まずは本を買う。読んでも、読まなくても。

服部 今回『BLUE』を選んで思うことって、前半のトークで話した「避けているものを見直す」ということと、自分の中ではわりと重なってくるんですよね。つまり、90年代にあったような「難解さ」を今まで避けていだけど、思い返してみたら、あの時代って20世紀の絶頂期と呼んでもいいかもしれないですからね。その次の世紀を僕らがつくっていくとすれば、そこにもめちゃめちゃヒントがある。さっき、草彅さんは難解なものが嫌いだって言っていたけど、若い頃に一度そっちを通っているわけですよね。

草彅 電車の中でドストエフスキーを必死に読んだりしてましたからね。そうそう、それで今思い出した本で、最近おもしろかったのが『バーナード嬢曰く』(著・施川ユウキ/一迅社)。高校生がかっこいいい本にかぶれて、知ったかぶりをするマンガなんですけど、文学好きにはクスっとする感じもあって、すごくよかったです。

服部 読んでみたいな、それ。草彅くん、本当にありとあらゆる本読んでんねんな。どうやって、いつ読んでるの?

草彅 僕は師匠が荒川洋治さんという現代詩作家なんですけど、荒川さんは「本を買え」ということを常に言っているのと、本は買って10年経ったら、読んでなくても読んだことと一緒だ、という極論の名言の持ち主。僕も、そう思ってます。

服部 確かにそうかもしれないですね。背表紙が並んでいる姿を毎日毎日、10年間見続けるということは、たぶん、10年間中身を想像しているはず。

草彅 どこまで読む、読まないに近い話だと、フランスのピエール・バイヤールの本『読んでいない本について堂々と語る方法』もおもしろいですよ。ある1冊の本を完全に読んだとしても、1ページ目から300ページまで、その内容をすべてしゃべれる人なんていないじゃないですか。

服部 いないね。

草彅 完全に読んで理解している人の次は、なんとなくこのページよかった、ってことしかない人。その次は、読んだけど、ほぼ忘れている人。あるいは、その本の存在は聞いたことがあるけど、ドン・キホーテって風車に突っ込んでいくんだよね、くらいしかわかってない人。最後は、完全に知らない人。本を読むパターンって、この5つしかない。つまり、本を読んだ状態がどのようなものなのかということを、ピエール・バイヤールは延々と理論的に書いているんです。これ読むと、本を読まなくても大丈夫だと安心できます(笑)。でも、とにかくまずは本を買う。みなさんも今日いいなと思った本は、ぜひ買いましょう!

本が広げる世界。そして、次来るのは破産本!?

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 ワークショップとトークの最後に、六本木未来会議から、服部さんと草彅さんに質問が投げかけられました。まずは服部さんへ。「今日のブックキャラバン、いかがでした?」

服部 それぞれに思いをもった本を1冊ずつ持ってくるという、こんなシンプルなテーマでも、これだけ、バリエーション豊かで、わかりやすいものから、めっちゃ難解なものまで揃う。僕たちは、みんな、こんなふうに多様であるはずで、誰かひとりの意見を聞くだけで、すごく世界が広がるということが、今日のブックキャラバンの結果だけでも理解できると思うんです。本は自分の価値観を代弁もしてくれているので、たとえば、誰かと話しに困ったら、本の話題を出してみるとか、友達になりたい人に、自分の好きな本をプレゼントするとか、そういうツールとして本を使っていけばいいんじゃないかなということも僕の中でアイデアとして浮かんでいるところです。ぜひまた次に繋げたいですね。

 そして草彅さんへは、このお題。「ブックキャラバンで使っているデザインとアートの移動式本棚、草彅さんだったら、どんなふうに活用したいですか?」

草彅 う〜ん...... 六本木ヒルズ族って今何やっているんですかね? とりあえず、そういう人たちにお金を出してもらって、もっとたくさん「移動式本棚」をつくりましょう。そういえば、六本木ヒルズ族の名著といえば、『成り上がれ』(著・甲田英司/WAVE出版)ですよね。いろいろあって、今はヒルズから撤退されたと思うんですけど、甲田さんのこの本は名著です。

服部 なにそれ? 誰それ?

草彅 甲田さんは19歳のときにかき氷屋を始めるんですけど、お金がないから築地に行って、いらなくなった氷をもらってくるんですよ。でも築地の氷なんで、生臭くてこりゃダメだと思ったけど、そこにレモン汁をかけると、匂いが消えるっていうのを発見するんです。で、かき氷屋を繁盛させて、それを自己資金にヒルズ族になっていくというストーリーで、すばらしい名著です。

服部 本当に名著? 

草彅 そんな保健衛生的にヒドい話を堂々と書いている人がヒルズ族だったんですよ。六本木のひとつの象徴でもあるヒルズにいるのって、経済学を真面目に学んだ人ばっかりじゃない、ってことを、ぜひみんなに知ってもらいたい。あ、だから、僕のアイデアとしては、この「移動式本棚」に、ヒルズから撤退していった会社の社長の本を全部並べるっていうのはどうでしょう。

服部 (笑)。それやろう。草彅くん全部セレクトしてよ。 

草彅 します、します。そもそも、僕、社長失敗系の本がすごい好きなんです。特に絶対読んだほうがいいのは『社長失格』(著・板倉雄一郎/日経BP社)。破産本でベストワン。みなさん、今、笑ってますけど、これも本当に名著です。DeNA創業者の南場智子さんの著書の序章で、南場さんが、最初に役員をマッキンゼーから引き抜いてくるところがあるんですけど、そのときに渡す本が、この『社長失格』です。この本を読んで何か感じたら、うちに来なさいと渡すんです。服部さんも社長ですから、社長たるもの、ぜひ読んでください。すばらしいですから。

服部 わかった。読んでおく。

草彅 読んだらまた、その本について、話しましょう!

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 本を媒介に会場が一体となったBOOKキャラバン後半。みなさんが読んだことがある本は出てきましたか? 気になる本があったら「まずは買ってみる」というアクションを起こしてみてはいかがでしょう。その感想を身近な人と共有することで、また新しい世界が広がるはずです。「六本木未来会議BOOKキャラバン」次回の開催をお楽しみに!

前編はこちら

服部滋樹服部滋樹 / graf代表
服部滋樹 / graf代表

1970年生まれ、大阪府出身。graf代表、クリエイティブディレクター、デザイナー。美大で彫刻を学んだ後、インテリアショップ、デザイン会社勤務を経て、1998年にインテリアショップで出会った友人たちとgrafを立ち上げる。建築、インテリアなどに関わるデザインや、ブランディングディレクションなどを手がけ、近年では地域再生などの社会活動にもその能力を発揮している。京都造形芸術大学芸術学部情報デザイン学科教授。

草彅洋平草彅洋平 / 株式会社東京ピストル代表取締役
草彅洋平 / 株式会社東京ピストル代表取締役

1976年東京都生まれ。2006年にクリエイティブカンパニーの株式会社 東京ピストルを設立。代表取締役社長として、編集を軸にデザインディレクション、プロデュース、コンサルティング等幅広い業務をこなす。代表作にももいろクローバーZ の一連の公式ツアーパンフレットの編集長(2012年から現在まで)、日本近代文学館内の文学カフェ「BUNDAN COFFEE & BEER」(2012)、渋谷のシェアオフィス「HOLSTER(ホルスター)」(2014)、京王線井の頭線高架下のイベントパーク「下北沢ケージ」(2016)のプロデュース&運営など。著書にOKAMOTO'S との共著『OPERA』(河出書房新社)、編著に『決定版・ゲームの神様 横井軍平のことば』(P-VINE/2016年慶應義塾大学入試問題に採用)など。2017年10月、プロデュースを担当した「LOVE」がテーマの本だけを取り扱う「歌舞伎町ブックセンター」がオープン。

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