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INTERVIEW
82
泉麻人コラムニスト Asato Izumi / Columnist
Asato Izumi / Columnist

『六本木の全景を捉える、街歩きの未来。』【後編】

過去から学び、路地裏を歩きながら、六本木の新しい地図を作る。

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update_2017.07.12 photo_yuta nishida / text_nanae mizushima

幼い頃から地図が好きで、その地図を片手に街歩きを重ねてきたコラムニストの泉麻人さん。ビルの狭間や路地裏を好んで歩き、いわゆる一般的なガイドブックからは溢れ落ちてしまう風景を独自の視点ですくいあげては、私たちに新しい東京の魅力を見せてくれる、いわば街歩きのスペシャリストです。そんな泉さんに街歩きの視点から垣間見る東京、そして六本木の街の魅力や可能性を伺いました。

前編はこちら

六本木、昼と夜。

 僕にとっての六本木の原風景といえば、東京タワーかな。高校2、3年の頃に、六本木交差点からロアビルの方に向かって歩いていく道の途中で見える東京タワーを見て、なんとも感慨深い気持ちになりました。
その当時の六本木は六本木交差点を中心に繁華街が形成されていましたが、昼と夜の街の風景にはちょっとギャップがありましたね。昼は今の原宿に少し近いというか、文化的な趣味嗜好の小さなお店が散らばっていたんですよ。そこをうろうろしたり、あとはハンバーガーショップの「ザ・ハンバーガーイン」か喫茶店「クローバー」が僕の憩いの場でした。

「ザ・ハンバーガーイン」

1950年、当時マッカーサー元帥の給料計算をしていたアメリカ人、ジョン・S・ウェッツスタインが日本初のハンバーガー店として飯倉片町にオープン。創業当時はまだ丸い"バンズ"が日本には無く、耳を落とした食パンが代用されていたのは有名な話。アメリカの味、文化を人々にいち早く届けた「ザ・ハンバーガーイン」は、その後、50余年に渡って六本木を代表するレストランとして営業を続け、2005年10月に閉店した。

 一方で夜になるとディスコやロックバーが若者たちの溜まり場に。友人たちとはしごしながらその途中に横目で見るライトアップされたロアビルがまるで白亜の城のように輝いて見えていたこともよく憶えています。そして六本木のはずれ、飯倉片町にはイタリア料理店キャンティ。多くの著名人が夜な夜な集うキャンティの前にはオープンカーがずらりと並んでいて、その光景も若い僕にはカッコよく映っていました。

 その後1980年代後半に入ると、時代はバブル全盛期に。六本木交差点から六本木通りを溜池方面に向かう途中にできたスクエアビルは、10F建てのフロアのほとんどがディスコで埋まっていて、まさに当時の六本木のランドマークのような存在でした。 そんなディスコ夜遊び組みとは別に1983年、六本木WAVEができてからは、カルチャー好きの若者たちが六本木に多く集っていましたね。スクエアビルか六本木WAVEか。青春時代にここで過ごしたという著名人もきっと多いと思います。

個人の動機が街を変える。

 いろんな時代を経て今、六本木のランドマークと言えば、東京ミッドタウンや六本木ヒルズが欠かせませんが、人々の目的や行動がそこに集約されていくことで、街全体は少し空洞化している印象も正直あります。つまり六本木の全景が捉えられていないような感じがするんです。

 例えば東京ミッドタウン、六本木ヒルズ、芋洗坂とか、もっといろんな道、スポットをつないでいくことで、人々の六本木への目線や目的が広がっていくといい。

 そのための一つとして、ユーザー側から街が盛りあげていくことが大切だと思います。東京ミッドタウンが建っているこの場所は、もともと防衛庁の檜町庁舎でしたけど、彼ら御用達のバーや喫茶店が少しずつ生まれるなかで街が賑わっていったように、これからの時代は小さな単位、個人的な動機を入り口に六本木が変わっていったらすごく面白いと思います。そういった意味では六本木は今、画廊やギャラリーが少しずつ増えてきているようなので、そこに僕は期待したいですね。

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未来は過去とつながっている。

東京時層地図

明治から現代までの時間を軸に、東京の変遷を知ることができる地図アプリ「東京時層地図」。表示できる地図は、7つの時期(文明開化期、明治のおわり、関東地震直前、昭和戦前期、高度成長前夜、バブル期、現代)に航空写真や地形等を加えた19種類。古地図はGPS情報と対応しているので、現代との比較も簡単にできる。めまぐるしく変化を遂げていった東京の姿をこのアプリを持って歩けば、じっくり見つめ直すことができる。※東京時層地図は、App Store からダウンロードできる。販売元: Japan Map Center, Inc.

iPad版(左)航空写真+地図 (右)文明開化期

iPad版(左)航空写真+地図 (右)文明開化期

iPad版(左)段彩陰影 (右)航空写真+地図

iPad版(左)段彩陰影 (右)航空写真+地図

iPhone版 高度成長前夜

iPhone版 高度成長前夜

 いい街にはいい道が必ずありますが、僕にとっていい道とは渋い道で、例えばタクシーに乗って外苑西通りで渋滞しているときに、運転手さんが「いい道あるんですよ」って言いながら車では走りづらそうな裏道に入ってくれるときがあるでしょう。そういうニュアンスですね。そしてその裏道的なもの、時には横道に逸れる方がいいねというセンスもまた、日本人にはあると思うんです。

 いい道といえば、渋谷は面白いと思います。坂の多い東京の中でも渋谷は地形的に起伏が激しく、スクランブル交差点を谷底としてそこから放射状にどこを歩いても凸凹地形なので裏道、横道にそれやすく、結果として渋谷の文化を濃くしているのはこの地形が関係していると思います。
渋谷駅は今、大規模なリニューアルを図っていますが、未来の渋谷駅はどんな姿になっているんでしょう。

 そもそも東京の未来を思う時、僕は地下街の発展が気になります。新宿駅の地下街や東京駅の八重洲地下街なんかを見ていても、すごい広さでしょう。幼い頃に観ていた「ウルトラマン」に地底人が登場するんですけど、その当時は地下空間で過ごすなんてSFの世界でしたが、今はこうして現実のものになって、多くの文化を生み出しています。六本木の営みもまた、これからは高層ビルを建てるといった、上に積み上げていくだけでなく、地下もまた大きな可能性になっていくのでしょうね。

 何れにしても未来を考える上で、過去とのつながりはやっぱり大切だと思います。身近なところでいうと、古い地図を持ちながら道を歩くとそれを実感します。東京時層地図というアプリがおすすめで、これは散歩しながらその場所の明治から昭和期の古地図を見ることできるんです。自宅の周辺を始め、それこそ六本木の今と昔を見比べるだけでも新しい六本木をきっと発見できます。ぜひ試して見てください。道に迷いながらね(笑)。

前編はこちら

取材を終えて......
快適で便利な暮らしをする中で、どんどん無駄は省かれ、効率化することばかりに意識は向きがちですが、泉さんの街歩きの考え方を伺う中で、一見無駄に見えるものにこそ、大きな発見や人生のヒントが詰まっていることを改めて気づかされました。普段道を歩くときも、時には路地裏に迷い込んだり、立ち止まったりしながら、そこから見える景色を楽しむこともしたいと思います。つまり最短ルートを歩くことだけが、ゴールじゃないということ。 どうせなら、中身の充実したゴールを目指したいものです。(edit_nanae_mizushima)

泉麻人

泉麻人 / コラムニスト
泉麻人 / コラムニスト

1956年東京生まれ。慶応義塾大学商学部卒業後、東京ニュース通信社に入社。『週刊TVガイド』『ビデオコレクション』の編集者を経てフリーに。テレビ番組から映画、音楽まで懐かしい昭和の文化に精通し、様々なメディアにコラムを発表する一方、テレビにも出演し、コメンテーター、司会などを務める。著書に『昭和40年代ファン手帳』『還暦シェアハウス』『大東京23区散歩』『東京いい道、しぶい道』など多数。

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