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INTERVIEW
77
清水久和プロダクトデザイナー Hisakazu Shimizu / Product Designer
Hisakazu Shimizu / Product Designer

『いいデザインばかりの、明るい未来をつくるには?』【前編】

デザインに興味のない人たちが集まる展示やワークショップを六本木で

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  • NO77 清水久和 『いいデザインばかりの、明るい未来をつくるには?』【前編】
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update_2017.02.01 photo_tsukao / text_kentaro inoue

キヤノンのデジタルカメラ「IXY Digital」のチーフデザイナーを務め、国内外で数々の賞を受賞しているプロダクトデザイナーの清水久和さん。瀬戸内芸術祭で展示された「オリーブのリーゼント」「愛のボラード」でも話題を集め、2017年2月3日から東京ミッドタウン・デザインハブで行われる「地域×デザイン2017」でも、その取り組みが展示されます。そんな清水さんが語る、未来のプロダクトデザインとは?

後編はこちら

デザインに興味のない人たちにも気づきを。

 六本木って「GOOD DESIGN EXHIBITION」もやっているし、21_21 DESIGN SIGHTがあったり東京ミッドタウン・デザインハブがあったり、AXISがあったり、いいデザインをたくさん発信している街ですよね。そこに集まるのは、デザインコンシャスな人たち、黙っていてもデザインについて勉強する人たち。

 でも、それはすごく少数派で、世の中の大多数って、そうじゃない。そもそも私がやっているプロダクトデザイン自体がそういう人に向けた仕事なので、デザインやアートに全然興味がない人たちにも気づいてほしいと思って活動してきました。

 たとえば、私が関わっていたキヤノンの「IXY Digital」は、年間500万台くらい同じものをつくって世界中で販売します。だいたい毎日2万台ずつ、それを1年間つくり続けるイメージですから、それはもう大変な数です。

共通の記憶を形にするのがプロダクトデザイン。

 自分のおじいちゃんやおばあちゃんが見てもいいなと感じて、選んでもらえる製品にするにはどうしたらいいか。それは「ポイント」をたくさんつくることです。ポイントとは、その人の記憶をくすぐるもので、「あ、それ私も知ってる」とか「そうだったよね」とかいうもののほうが共感しやすい。幼い頃の記憶が多いのですが、そういう共通認識って本当に強いんです。

 カメラの場合なら、手で持つものなので、表面のぬるっとした感じとかザラッとした感じとか、触感のコントロールはもちろん、よーく見るとこの穴があれに似ているなというように、細部のディテールに昔のモチーフを使ったり。細々したことを、とにかくたくさんやっていく。全部あげろと言われたら、もしかしたら100個くらいはあるかもしれません。プロダクトって、そのくらい考えるところが多いんです。

 全世界の人に共通する記憶なんてあるの、と疑問に思うかもしれませんが、ものの仕組みとか形って、そんなに違わないですよね。たとえばスプーンにしても、それほど変な形のスプーンはないでしょう? 年代によって、もちろん国によっても差はありますが、人々の共通の記憶って必ずあるんです。

日常にある「取るに足らない」ものたちにスポットライトを。

 私は90年代のはじめから、「愛のバッドデザイン」というプロジェクトを続けています。はじめたきっかけは、賞はもらえないけれど、すばらしいプロダクトってたくさんあるなと気づいたこと。そういう「取るに足らない」ものたちにスポットライトを当てたいと思って。

 江戸時代のものだったら、大事に保存されたり記録されたりするでしょう。でも、昭和の時代の大量生産の製品ってそうじゃない。放っておいたら消えていってしまうであろうものを、しっかり記録していくイメージです。たとえば、浮き輪をふくらませるときにくわえる部分。一体成型で役割が終わったら引っ込むすばらしいモダンデザインですが、細部の話だし、それに賞を与えるのは難しい。

 敬意とユーモアを込めて「愛のバッドデザイン」と名付けたんですが、みんなからは「バッドデザイン」って名前がイマイチだって言われて......。それだけは失敗したなあ(笑)。

愛のバッドデザイン

身の回りのささやかなものに美を見いだす活動。グッドデザイン賞はもらえないが、グッドでユーモラスな存在感を放つものたちに敬意を込めてこう名付けられ、全国各地でワークショップなどを行っている。

清水久和(プロダクトデザイナー)

プロジェクトは「オリーブのリーゼント」からはじまった。

 東京ミッドタウン・デザインハブで行われる「地域×デザイン2017」では、「愛のバッドデザインプロジェクト in 小豆島」の記録を展示します。この活動のきっかけは、2013年の瀬戸内国際芸術祭で「オリーブのリーゼント」という作品をつくったこと。

 自分で言うのも何ですが、これって本当に、子どもからお年寄りまで誰もがニコっと笑ってくれる作品。もともとは会期中だけの展示の予定が人気が爆発して、すごく辺鄙な場所にあるのに、多いときは1日1,500人もの人が足を運んでくれました。島の人たちも喜んでくれて、町が買い上げて、常設されることになったんです。

 その流れで、リーゼントにペンキで絵を描いたり、小さなリーゼントをつくったり。子どもたちの向けのワークショップをやっていたときに、ふと「愛のバッドデザイン」を島でやりたいなって思いついて。ちなみに今回のプロジェクトは、JC(青年会議所)をはじめとする、島の若者たちがメイン。小豆島には小豆島町と土庄町という2つの町があって、その2つが初めて一緒に取り組んだプロジェクトです。

オリーブのリーゼント

リーゼントのヘアスタイル、オリーブに似た顔型をした立体作品。くぼんだ部分に野菜や果物を置き、無人販売所として使える。現在、小豆島のオリーブ畑に恒久作品として展示中。

基準はなし。その人が選んだものがそのまま「愛のバッドデザイン」。

 2年半くらいにわたってワークショップをしましたが、最初は「どうやって探したらいいのか、全然わからない」と言われました。そもそも「愛のバッドデザイン」に基準はとくになくて、その人が選んだものがそのまま愛のバッドデザイン。だって記憶は、人それぞれですから。

 小学校で授業をやったときに、私が選んだバッドデザインをいくつか見せたんです。すると、子どもたちは説明なんか聞きたくない、早く探しに行きたい、となる。素直なんです。でも大人は、正解を出したがるから、「"愛の"とは、どういうことですか?」なんて言って、固まって動けない(笑)。それでも、まわりの人を見ていると、「ああ、自分の感覚でいいんだ」って気づいて、どんどん出せるようになるのが面白いところ。

つくっている作品は、アートではなくデザイン。

 考えてみると、リーゼントも「愛のバッドデザイン」なんですね。リーゼントって「取るに足りない」髪型だけど、一部の人たちにとっては、すごく思い入れがあるもの。でも最近している人は少なくて「ちょんまげ」みたいな存在になってきているから、そろそろ形にして残してあげたいなと思ってつくった作品です。あっけらかんとした、ポップさがあるのもいいし。

 2016年につくった「愛のボラード」もそう。ボラードというのは、船を停めるための係留柱で、よく映画なんかで主人公が足を置いて海を見つめている、あれ(笑)。そのボラードの大きい版で、島にいろんなものをつなぎとめるという意味を込めてつくりました。

 私はデザイナーなので、「オリーブのリーゼント」も「愛のボラード」も、アートではなくデザインだと考えているんです。アートっていうと急にわからないものになって、みんな理解しようとしなくなっちゃうから。

愛のボラード

小豆島の海に面した駐車場の一角に設置された巨大な作品。海からいったい何がやってくるのか、鑑賞者の想像力をかき立てる。「瀬戸内国際芸術祭 2016」に出展。

後編はこちら

清水久和

清水久和 / プロダクトデザイナー
清水久和 / プロダクトデザイナー

S&O DESIGN 株式会社代表取締役/プロダクトデザイナー。
桑沢デザイン研究所・東京藝術大学非常勤講師。キヤノンのデジタルカメラ「IXY Digital」のチーフデザイナーとして同シリーズを世界シェアNo.1 に導き、10年間に渡りプロダクトブランディングを構築。ドイツiF 賞やグッドデザイン賞を多数受賞。瀬戸内国際芸術祭に出品した「オリーブのリーゼント」と「愛のボラード」が人気を集める。デザインリサーチ活動の「愛のバッドデザイン」や、新たな3Dデザイン手法「コンティニュアス・デザイン」の実践・教育など、多彩な活動が注目されている。

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