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INTERVIEW
74
ピーター・バラカンブロードキャスター Peter Barakan / Broadcaster
Peter Barakan / Broadcaster

『六本木と東京、そして音楽とメディアの行方』【後編】

バー&レストラン、ライヴ・ハウスと映画館を併設した“カルチャーセンター”を六本木に。

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update_2016.12.14 photo_tsukao / text_kentaro inoue

1974年に来日、音楽業界をへて、DJやブロードキャスターとして活躍。ラジオ番組や著作、音楽イヴェントなどを通じて、良質な音楽を届け続けるピーター・バラカンさん。かつて六本木で働き、現在も毎週のようにこの街を訪れるというバラカンさんに、六本木の今と昔、さらに音楽とメディアの未来についてうかがいました。

前編はこちら

音楽を「人と一緒に」聴くことが気持ちいい。

 僕はときどき、DJイヴェントというか、ほとんどラジオ番組を人前でやるようなイヴェント(A Taste of Music)をするんですが、不思議と人が来てくれるんですね。なぜ集まってくれるかというと、おそらくいい音楽をいいオーディオ装置で「人と一緒に」聴くことが気持ちいいんじゃないかな、と思っています。

 ひとりでぽつんとコンピューターに向かって楽しむこともできるけど、それだけだと満足できないときがある。もっと人と共有したい、これはたぶん人間の本能的なもの。

 CDが売れなくなって、配信に移行していくというのは世界的な流れで、日本でも間違いなくそうなっていくでしょう。今の世の中の理にかなっているし、現実を嘆いても仕方ないから、それはそれでいいと思います。ただ、なんでもコンピューターの画面で済ませてしまうのはちょっとつまらない。

アナログレコードやアルバムが新しいという感覚。

 音楽の聴き方も変わりましたよね。たとえば、昔はアルバム単位だったのが、今は曲単位。媒体がLPからCDに変わった時点で、アルバムとしての価値は崩れはじめたと僕は思うんですよ。LPは、A面B面がそれぞれ20分くらい。そもそも、人間の集中力はちょうどそのくらいが妥当なんじゃないか、とも感じるし。

 片面20分を構成することは、まだやりやすいんですが、CDのように1時間を構成することってけっこう難しいんです。しかもCDの場合、この曲はいいやと思ったら簡単に飛ばせる。すると、構成することに果たして意味があるのか、という話になってしまう。もうCDが登場してから三十数年もたっているから、アルバムとして聞かないというのは仕方のない結果かな、という気がします。

A Taste of Music

時間をかけてチューニングされたハイエンド・オーディオで、バラカン氏おすすめの音楽が楽しめるDJイヴェント。ウェブマガジン「A Taste of Music」のイヴェント版として定期的に開催され、多くの音楽ファンが集まる。
http://www.a-taste-of-music.jp/

 一方で最近、アナログレコードの人気が復活していますよね。もしかして、そういうものを聞いたことのない世代の人たちにとっては、レコード、あるいはアルバムという形で音楽を聞くのが新しいと感じるのかもしれません。

非日常的が味わえる"カルチャーセンター"をつくりたい。

 さっき話したようなバーとレストラン、そしてライヴ・ハウス、プラス映画館。それらがひとつの施設に入ったカルチャー・センターのような施設がもしあったら、面白いような気がします。ライヴにしても映画にしても、意識的に非日常的な要素に触れることが大事なんじゃないかな、と。

 僕が大学時代によく通っていた、ロンドンにある「ナショナル・フィルム・シアター」という施設では、いろんな時代の映画がいつもかかっていました。会員制だけど、すごく会費が安くて。京橋の「フィルムセンター」(東京国立近代美術館 フィルムセンター)が似ているけれど、あれはまさしく国がやってるから、ちょっとお堅い。

 Netflixみたいなものもいいけれど、映画ってやっぱり暗闇の中でそれなりに大きい画面で見て、音もよくて、他の人と一緒に体験してこそ心に残ると思うんですね。そういう施設があったら、ライヴと映画で共通のテーマを持った特集企画を組んだり、いろんな可能性が広がっていく。それを六本木のような都心でやることに意味はあると思います。

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

メディアと受け手の間に、信頼関係がなくなってしまった。

 今、一般社会でも経済格差がすごく問題になっているじゃないですか。音楽の世界も同じように、ものすごく売れるアーティストがほんの少しだけいて、他の99%は無名に近い。99%は少し大げさかもしれないけど、そういう格差がすごく広がってきていて、メディアに取り上げられるのは1パーセントの部分だけになりがち。

 メディアも商売だからわかるんだけど、でも結局、それが自分の首を絞める形になっている。本当に悪循環になっていてとても残念ですけど......。一番の問題は、メディアと受け手の間で、だんだんと信頼関係が持てなくなったことでしょうね。

 メディアも、レコード会社も、何もかもが商業主義的な考えになって、量産されたポップミュージックが主流になっている。これは日本に限らず、世界中でそう。だから個人的には、売れるとか売れないとか、話題性があるとか、知名度があるとか、そういうことを一切気にせずに、自分が価値があると思う音楽を電波に乗せる。それから、ライヴの情報をできるだけ紹介することを心がけています。

多様な音楽を上手に伝えられるメディアの必要性。

 トランプが大統領に選ばれたとき、ジョン・オリヴァーというコメディアンが「メディアは番犬としての役割をしっかり果たさなきゃダメだ」と話していました。当たり前といえば当たり前ですけど、メディアには、行きすぎがないようにしっかり監視する義務があるんですね。政治の世界に限らず、情報を伝達するメディアのあり方が今、すごく課題になっていると思うんです。これは僕もメディアに携わるひとりの人間として、いつも意識していること。

 たとえば東京では、毎日いろんなライヴが行われていますよね。能動的に興味を持って見に行こうという人にとっては、もちろんそういう機会はたくさんあるでしょう。でも、潜在的な興味はあるのに知らないで終わってしまった、という人はすごく多いと思うんです。僕ですら「えっ! こんな人が来てたの」ということがよくあるくらい。

 もちろんウェブにすべての情報はあるんですけど、どうやって探したらいいかわからない。メディアがもうちょっと多様な音楽を上手に伝えられないかな、と。六本木未来会議が、このエリアのデザインとアートの情報を紹介しているように、音楽の世界でもそういう試みができたら面白いですね。

港区立檜町公園

東京ミッドタウンの東側に隣接する区立公園。かつては長州藩・毛利家の下屋敷があり、その庭は江戸の町並みを一望できる名園として知られていた。地名は、まわりに檜の木が多く、「檜屋敷」と呼ばれていたことに由来する。

前編はこちら

取材を終えて......
メイン写真の撮影は、紅葉が見頃を迎えた東京ミッドタウンの横にある港区立檜町公園で。撮影中、ファンの方から「Are you Peter Barakan?」と声をかけられ、笑顔で握手に応じる一幕もありました。
(editor_kentaro inoue)

ピーター・バラカン

ピーター・バラカン / ブロードキャスター
ピーター・バラカン / ブロードキャスター

1951年ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、1974年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(東京FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)などを担当。 著書に『ロックの英詞を読む〜世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『ラジオのこちら側で』(岩波新書)、『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)、『猿はマンキ、お金はマニ』(NHK出版)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ロックの英詞を読む』(集英社インターナショナル)、『ぼくが愛するロック 名盤240』(講談社+á文庫)、『200CD ブラック・ミュージック』(学研)などがある。
http://peterbarakan.net

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