六本木未来会議
byTOKYO MIDTOWN
六本木未来会議
byTOKYO MIDTOWN
  
  • JP / EN
  
                    
  • INTERVIEWインタビュー
  • CREATORクリエイター
  • EVENTイベント検索
  • PROJECTプロジェクト
  • BLOGブログ
  • ABOUT六本木未来会議について
thumbnail
thumbnail
  • 利用規約
  • お問い合わせ
  • facebook
  • twitter
  • mail
  
Thumbnail Thumbnail
INTERVIEW
21
日比野克彦アーティスト Katsuhiko Hibino / Artist
Katsuhiko Hibino / Artist

あなたは六本木をどうデザイン&アートの街にしますか?

地域の人たちと一緒になって六本木の「夜」を活かした祭りをつくる。

  • HOME
  • INTERVIEW
  • NO21 日比野克彦 あなたは六本木をどうデザイン&アートの街にしますか?
  • アーティスト
  • 日比野克彦
PDF
  • JP / EN
update_2013.02.06 photo_taro hirano / text_tami okano / edit_rhino

3月23日~24日、六本木の街を舞台にオールナイトで開催されるアートの祭典、「六本木アートナイト」。そのアーティスティックディレクターに就任した日比野克彦さんの六本木未来計画は、年々規模を拡大するこのアートプロジェクトに託す思いそのもの。一夜限りにして、一夜限りにあらず。地域の人と共につくり上げるお祭りで、六本木をアートとデザインの街に変えようとしています。

六本木にあるもの。夜。

 「六本木アートナイト」というタイトルを初めて聞いたとき、なるほどな、と思ったんです。僕は10年ほど前から地方のアートプロジェクトに関わっているのですが、2000年から新潟ではじまった「大地の芸術祭」は、美術館ではなく、その土地、「その場所」にあるものを活用し、作家が土地の力を吸い上げて作品にしていく。香川県の直島などを舞台にした「瀬戸内国際芸術祭」もその場所にあるもの、つまり瀬戸内海の島々そのものをステージにしている。

大地の芸術祭

大地の芸術祭

新潟県十日町市と津南町からなる、
自然と人間が共に暮らす「里山」が今も残る地域越後妻有にて、
3年に1度、開催される世界最大規模の国際芸術祭。

 昔は「田舎」と言われていた場所が、今は田舎とは言わせず、「場の力をもっているところ」なんだという思いが地域にはあるし、そういう認識がみんなの中にも出てきたと思うんですね。で、新潟がたとえば「棚田」で、瀬戸内が「島」だったら、じゃあ、東京ってどういう力を持っているの? 六本木には何があるの? というと、「夜」でしょう。だからアート"ナイト"はとても腑に落ちたし、これは面白いな、と思ったんです。

地域の人たちと関わりをつくっていくために。

 昔は東京を地方だとは思っていなかったのですが、スカイツリーができはじめた頃、5、6年くらい前からかな、下町を拠点にアーティストや学生たちが動き出すようになってきて、「東京」をひとくくりに言うのではなく、墨田区や台東区、東京の中の「地域」を語るようになってきた。それでふと思ったんです。そうか、東京も地方なんだ、って。僕が続けている「明後日朝顔プロジェクト」もそれまで東京ではやったことがなかったけれど、千代田区にある「アーツ千代田3331」でやってみたんです。すると、地域のおっちゃん、おばちゃんたちが朝顔の世話をしに来てくれる。その時に改めて、東京にも住民がいて、当然だけれど地域というものがあり、コミュニティがあるんだ、って思ったんですよね。

 それで、今回の「六本木アートナイト」ですが、六本木の魅力は「夜」だということに加え、ぜひやりたいと思っているのが、地元の人たちとの関わりをつくっていくこと。六本木という地域と一緒につくっていくことです。六本木商店街の方々とも話をしていて、アートナイトは一晩だけれど、その日に向かって一緒に盛り上げていく、そのプロセスもひとつのアートだ、という言い方をしています。

六本木アートナイト

六本木アートナイト

六本木地区の美術館や商店など、地域と人が一体となったアートイベント。日比野さんは2009年に行われた第1回六本木アートナイトからアーティストとして参加。今年のアートナイトの情報は

アートナイトは春のお祭り。年中行事にしたい。

 住民と一緒に「六本木アートナイト」をつくり、一晩明けて終わったときに、また来年やりたい、って、すぐ思うような「祭り」にしたいんですよね。祭りって、準備しながら祭りに向かって進み、終わるとすぐまた次の年の準備が始まる。そういう住民の「年中行事」にしていきたいんです。

 年中行事になることはアーティストたちにとっても、大きなことだと思うんですよね。アートナイトは今年で4回目で、続けていけば参加したアーティストも累積でどんどん増えていく。その人たちにとって「春の夜には、六本木アートナイトがある。六本木に行けば仲間に会える」っていう恒例の1日にしたい。

 ミュージシャンって夏になるとフェスをやるじゃないですか。いろいろなアーティストがステージに出て、今年も会えたね、来年もまた会おうぜ、みたいな感じで夏フェスを楽しみにしている。あれって正直、羨ましいんですよね(笑)。アートにもフェスが欲しい。作品を飾るだけではなく、自主的に人が集まり、繋がりが生まれる場所。それが「六本木アートナイト」です。

日比野克彦 (アーティスト)

顔を出し、挨拶に行くということ。

 六本木の地域の人たちとの関わりをつくっていくために大事にしていることは、挨拶をしに行くこと。それしかないっちゃないですよね(笑)。とにかく顔を出す。単純な話しだけど、どこに行ってもそれは同じです。だから、「六本木アートナイト」に参加するアーティストは、できるだけ、地域の人たちと話ができる人に声をかけています。作品がいいだけじゃなくて、ちゃんとコミュニケーションがとれないとダメ。

 六本木で今も輪転機を回して新聞を印刷している「水産経済新聞」さんも今回のアートナイトに協力的で、ぜひ場所を使ってください、と言ってくれています。であれば、まず挨拶と自己紹介に行けるアーティストじゃないと。そこで仲良くなれば、相手にとって「六本木アートナイト」が身近な存在になるだろうし、相手のほうから来年に向けてのアイディアも出てくるかもしれない。

 ほかに、クリーニング屋さんの若社長も乗り気で、会場のひとつとして使わせてもらう予定だし、神社などにも協力をしてもらおうと思っています。そうやって地域で商売をやっている人や昔からこの街にいる人にひとりずつ、アートナイトのサポーターになってもらうことが大事だと思っています。

モノではなくコトをつくるアートプロジェクト。

 アートって、モノなんだ、というのが一般的な認識ですよね。誰々が作ったおいくら万円のモノ、みたいな。でも、「六本木アートナイト」も含めアートプロジェクトはモノじゃなくてコトだから、コトって、なかなかアートとは認識されないんです。なんでワークショップがアートなの? 朝顔を育てることのどこがアートなの? それって園芸でしょ? みたいな。説明すればするほど、怪しい人間だと思われてしまう(笑)。

明後日朝顔プロジェクト

明後日朝顔プロジェクト

朝顔の育成を通して人と人、人と地域、地域と地域のコミュニケーションを深める目的のプロジェクト。北は秋田から、南は沖縄まで25の地域が参加している。

 でも、アートプロジェクトには、アートの可能性を広げていく大きな役割があり、そのうち一大産業になると思っているんです。産業と言うと、たとえば車産業はタイヤ、エンジン、ボディなど車1台作るのに何10社、何100社という会社が関わり、そこに何百万人という雇用がある。アートプロジェクトも、それをつくることにたくさんの人々が関わり、その関係性によって物の交換が生まれ、雇用にも繋がっていくものになる。

35年後くらいの未来。

 それに、産業によって生まれるお金の交換が「豊かさ」であるという言い方があるけれど、アートは、お金じゃなくても豊かになれるところに価値があって、やってよかった、やってもらって嬉しかった、新しく出会いがあって刺激的だったとか、人と人とが繋がれる「関係性の豊かさ」がある。それは、これからもっと必要とされていくものではないでしょうか。

 お金を稼ぐことと、気持ちが豊かになること。両方ほしいじゃないですか。これからは、両方あってあたりまえ。「仕事はIT関係やってます、その他に地域のプロジェクトやってます」っていう人が普通になる。そういう社会に、35年後くらいにはなると思っているんですよね。それが僕のやりたいことだし、僕のアーティストとしての仕事だと思っています。

日比野克彦 (アーティスト)

ひとつの領域として確立していくために。

 最近みんなと話しているのが、この「アートプロジェクト」をブームに終わらせてはいけない、ということ。アートのひとつの領域としてきちんと確立させていくには、評価が必要だということです。だからいま僕は、社会学の研究をしている人たちと一緒にアートプロジェクトの評価プロジェクトをやっています。

 アートプロジェクトをやることによって、自治体が抱える医療費の負担が軽くなった、という例があります。地域の人たち同士がコミュニケーションをとるようになったことで、精神的な病で病院に行く件数や孤独死が減るなど、そういうデータもマメにとっていきたい。因果関係がどれだけ正しいかまでは出せなくても、10年間アートプロジェクトをやってきた地域の変化を社会学者の方々も指摘するようになってきています。そうなると、アートも世の中にちゃんと機能していることが分かるし、次に繋がっていく。

人と出会うために自分の気持ちを表現する手段。

 僕はアートを仕事にしているのですが、サッカーも好きなんです。アーティストとして絵も描きますが、絵を描く目的は何だろうかと考えると、幾つかあるひとつの答えとして絵を描くことが、「人と出会うために自分の気持ちを表現する手段」ではないだろうか? 手段なのだったらもっと適したものがあれば絵にはこだわらない、ということで、だんだん朝顔の種で人とコミュニケーションとったり、みんなで船をつくって航海したりするようになりました。

 その先の僕の作戦としては、サッカーがあるんです。絵画、朝顔、船、そしてサッカー。イメージを運動に置き換えるということで言えば、絵描きもサッカー選手も同じなんです。筆に自分のイメージをのせ、その軌跡が絵画になるように、ボールに自分のイメージをのせ、その弾道でゴールをする。ヨーロッパだとサッカーは文化という意識がありますし、街のアイデンティティとしてサッカーがあったり、まさに「人と出会うために自分の気持ちを表現する手段」でもある。

「種は船」航海プロジェクト

「種は船」航海プロジェクト

2003年にスタートしたプロジェクト。朝顔プロジェクトと同じく様々な場所で行われている。地域の人々や自治体が手を取り合って船を造り、アートを通じての地域活性や文化・芸術の振興を目的としている。

日比野さんとサッカー

日比野さんとサッカー

大のサッカーファンという日比野さん。サッカーとアートを共に身体芸術と捉え、様々な企画を行っている。2010年日本サッカー協会理事に就任。

サッカーとアートが同じになる、もうひとつの未来計画。

 そんなふうに、サッカーとアートは自分の中では繋がっているのですが、世の中的にはそうでもないので、なんとか無理なく繋げて、30年後くらいには「サッカーとアートって同じでしょ」ってみんなが普通に言うくらいにしたい。僕はいま、日本サッカー協会の理事と東京藝術大学の教授をやっているんですけれど、将来的にはサッカー協会と芸大を一緒にしたいくらいなんです。そう言うと、頭のおかしい博士が実験でとんでもないものつくる、みたいな目で見られるので、あんまり言わないようにしているんですけど......

 今回の「六本木アートナイト」でもサッカー大会を開催する予定です。サッカーで必要なのは「ボール」と「ゴール」と「ユニフォーム」。その3つを参加者でつくって、その後、つくったものを使ってサッカーをする「六本木HIBINO CUP」! 計画は着々と、進んでいます。

取材を終えて......
まだ雪の残る1月某日の夜、東京ミッドタウンの屋上で行われた撮影。当日は空気がとても澄んでいて、アートナイトの舞台となる六本木の街を一望できました。そんな夜空の中、撮影時に「ガオーッ」と大きな声で叫んでいた日比野さんが忘れられません。(edit_rhino)

日比野克彦

日比野克彦 / アーティスト
日比野克彦 / アーティスト

1958年岐阜市生まれ。東京藝術大学大学院修了。大学在学中にダンボール作品で注目を浴び、国内外で個展・グループ展を多数開催する。近年は各地で一般参加者とその地域の特性を生かしたワークショップを多く行っている。作品集・著書に『HIBINO』『HIBINO2』『海の向こうに何がある』『100の指令』『日常非常日(ピジョッピジョッピ)』(朝日出版社)、『えのほん』(三起商行/ミキハウス)、『KATSUHIKO HIBINO』(小学館)、『8万文字の絵 -表現することについて-』(PHP新書)、『HIBINO LINE』(玄光社)、 『ひ ESSEY OF KATSUHIKO HIBINO』(淡交社)など。 近著として『Yesterday Today Tomorrow』(リトルモア)、 『HIBINO EXPO 2005 日比野克彦の一人万博 記録集 』(水戸芸術館現代美術センター)、『FUNE』(西日本新聞社)、 『HIBINO DNA AND・・・「日比野克彦応答せよ!!」』(岐阜県美術館)、 『日比野克彦展「日々の旅に出る。」(鹿児島県霧島アートの森)、『あしたの君へ』(新潟日報)、『日比野克彦アートプロジェクト「ホーム→アンド←アウェー」方式 記録集』、『日比野克彦アートプロジェクト「ホーム→アンド←アウェー」方式meets NODA[But-a-I]記録集』(金沢21世紀美術館)などがある。

他のクリエイターを見る
  • アーティスト
  • 日比野克彦
SHARE twitter facebook

RELATED ARTICLE関連記事

PICK UP CREATOR

  • 林士平
    林士平
  • 篠原ともえ
    篠原ともえ
  • 奈良美智
    奈良美智
  • 大貫卓也
    大貫卓也
  • のん
    のん
  • 山縣良和
    山縣良和
参加クリエイター 一覧

RANKING

ALL
CATEGORY
PAGE TOPPAGE TOP

PICK UPピックアップ

  • 六本木未来大学
  • クリエイティブ・カウンセリングルーム
  • 連載 六本木と人
  • 連載 デザイン&アートの本棚
  • クリエイターの一皿
  • 連載 デザイン&アートの本棚
  • ピックアップイベント

PARTNERパートナー

  • AXIS
  • 国立新美術館
  • サントリー美術館
  • 21_21 DESIGN SIGHT
  • Tokyo Midtown Design Hub
  • FUJIFILM SQUARE
  • 森美術館
  • ラクティブ六本木
  • 六本木ヒルズ
  • facebook
  • twitter
  • contact
  • TOKYO MIDTOWN
  • 利用規約
  • 個人情報保護方針
  • 個人情報の取扱いについて
  • Cookieおよびアクセスログについて
  • プラグインについて
  • お問い合わせ

Copyright © Tokyo Midtown Management Co., Ltd. All Rights Reserved.