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INTERVIEW
170
バミューダ3ホラークリエイターユニット B3RMUDA / Horror Creator Unit
B3RMUDA / Horror Creator Unit

『街全体をホラーの舞台へ。終末の世界観を体感してみる』【前編】

恐怖から希望へ、神秘の扉を開くホラー体験。

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update_2025.08.27 photo_yuka ikemiya / text_shoko ema

映画監督の西山将貴(写真左)、ゲームデザイナーで脚本家の佐藤直子(同中)、小説家の背筋(同右)による“ホラークリエイターユニット”、バミューダ3。世代も経歴も異なる3人がホラーを共通項に集まって生み出した体験型展覧会《1999展》が、現在六本木ミュージアムにて開催中です。ホラー軸のユニットという新しいジャンルを切り開くまでの経緯、SNSでも話題となっている異色の展示、そしておのおのが考える怖さとは。チーム初のアウトプットとなった本展の制作を振り返りながら、展覧会会場を舞台に鼎談していただきました。

後編はこちら

ゲームがつないだ3人の縁。

佐藤直子ホラーを生業にしている私たちですが、実はゲームを軸にして出会ったんです。背筋も西山も大のゲーム好きで、私がシナリオを手がけた《SIREN》をやりこんでいて。

西山将貴知り合いのプロデューサーと話していたとき、「もし原作モノを映像化するならば《SIREN》がいい」と言ったのをきっかけに、その人が佐藤さんとつなげてくれたんです。

SIREN

《SIREN》

架空の寒村、羽生蛇村を舞台とする、プレイステーション2用のアクションホラーゲーム。2003年の第1作目を皮切りに、2006年に《SIREN2》、2008年には3作目となる《SIREN: New Translation》がリリースされた人気シリーズ。いずれも佐藤直子さんがシナリオを手がけている。
画像:SIREN/2003年/©Sony Interactive Entertainment Inc.

背筋私と佐藤さんとは、XでのDMが最初かな。

佐藤そうそう。友だちからすごくおもしろいと勧められたのが背筋の小説で、読んでみたら引き込まれた上に自分と感覚が近しい人だなと思って。彼のXをのぞいたら私をフォローしてくれていたので、この人はゲーマーだと確信して思わずDMをしました。そのあと交流を重ねていくうちに背筋と西山は気が合うだろうと感じ、ふたりを引き合わせて3人で会ってみて、LINEグループをつくったんです。

背筋そこでは、みんなで鑑賞した映画や仕事の話などをしていたのですが、ある日佐藤さんがLINEグループの名前をバミューダ3にしたんですよ。《SIREN》シリーズの三作目《SIREN: New Translation》に登場した、架空のアーティストユニット名が由来です。

佐藤命名はちょっとした気の迷いで......。それで、当時ふざけて「私たち僕たちバミューダ3」って名乗って遊んでいたところに、私のソニー・インタラクティブエンタテイメント時代の元同僚の浅野(現ラストワンダー所属)からホラーアート展示の話をもらって。昨年の8月頃に4人でご飯を食べに行って、どんな企画をやろうかと語り合ったときに《1999展》の最初の一歩が生まれました。よく「ユニット結成には仕掛け人のプロデューサーがいるの?」と聞かれるのですが、 そんな人はいなくて、単純にノリで集まって始まったんです。

1999展 ―存在しないあの日の記憶―

1999展 ―存在しないあの日の記憶―

2025年7月11日から9月27日まで六本木ミュージアムで開催されている、バミューダ3による展覧会。ノストラダムスの大予言が言及していた1999年7月に、もし本当に世界が終わっていたら......という仮定から始まる。終末を迎える直前のとある男性の部屋、車窓に流れる"存在しない記憶"の風景、世界の終わりに響く魂の声など、現実と虚構の狭間におけるホラー体験を六本木の地で展開。1999年と2025年を行き来できる、ユニークな公式HPや米山舞描き下ろしの"終末の少女"も必見。
画像:1999展 ―存在しないあの日の記憶―/2025年/©1999展

異なるバックグラウンドが刺激になる。

佐藤西山、背筋、私と、3人とも世代がばらばらです。ユニットで動くときはアイデアの取捨選択も公平で、企画の最適解を客観的に判断する感じ。また、私が最年長だから主宰を務めていますが、彼ら若い世代だからこその価値観やセンスがあると思っています。西山に「それは若者にウケない」と言われることもあり、時にはショックを受けることも。

西山もっと柔らかく伝えているはずです(笑)。

佐藤この世代差があるおかげで思考が偏らない。ある意味、常に年齢層別のユーザーテストができる状態なんです。

背筋役割分担もありますよね。西山さんは映像監督なので動画制作で、私は作家なのでストーリーや書き物で貢献することが多い。一方で佐藤さんは、プロジェクトリーダーとしてみんなのアイデアを現実にする。私が書いたストーリーを再構築して、ベストなかたちで展示のシナリオに落とし込んでくれるんですよ。

佐藤きれいにまとめてくれてありがとう。やっぱりストーリーテリングが上手!

背筋やめてくださいよ(笑)。

西山その役割分担を生かして、ユニットで挑んだ初めてのプロジェクトが今回、六本木ミュージアムで開催した《1999展》です。設定は、ノストラダムスの大予言で世界が滅びるといわれた1999年7月。僕は同年6月生まれなので、ギリギリこの世に存在していたタイミングですね。

背筋展覧会開催前の時期に、2025年7月5日に日本で大災難が起きるという予言が流布していましたが、1999年というアイデアはそれとは関係なく出ていました。展覧会で何を表現したいか話し合ったときに、恐怖をそのままぶつけるよりは、現代の空気をまとったホラーに仕立てたい、となって。では今に響くムードってなんだろうと考える中、雑談の延長で「そういえば1999年にノストラダムスの大予言が話題になった」と盛り上がったのがきっかけです。

西山2025年7月5日から施工を開始できたことも本当に偶然で。

佐藤そうなんだよね。会場探しが難航していた頃、突然六本木ミュージアムが7月5日から空いたと知らせが入ったんです。聞いた瞬間に驚きました。あの都市伝説と同じ日付だったので。背筋は映画《近畿地方のある場所について》のプロモーション、西山は初長編映画《インビジブルハーフ》や短編《インフルエンサーゴースト》の制作で忙しく、大変なスケジュールになること必至でしたが、これは運命だと私がふたりを熱く説得しました。あとで「あの時の佐藤さんの目がやばかった」って背筋に言われましたが(笑)。

背筋2025年7月5日の予言も、陰謀論みたいに良くない取り上げられ方がされていたと思うんですよ。そのせいで不安を覚えた人もいたし、訪日客が減った現実的な問題もあった。そんな中、7月5日にあえてフィクションの終末を見せることで、エンタメによる陰謀論への抵抗ができた気がしました。

近畿地方のある場所について

近畿地方のある場所について

背筋さん著のモキュメンタリーホラー小説。小説投稿サイト「カクヨム」に投稿され、2023年にKADOKAWAより書籍が出版。数々の謎が登場する斬新な構成、そしてリアルな恐怖が話題を呼び、発行部数は70万部を越える。2025年8月には、本作を原作とした菅野美穂と赤楚衛二によるW主演の映画が公開され、現在大ヒット中。
画像:2023年/KADOKAWA

六本木ミュージアム

六本木ミュージアム

東京・六本木に構える博物館。「スヌーピーミュージアム」の閉館後に、その跡地を利用して2019年1月にオープン。2021年4月に「六本木ミュージアム」へと改称された。アニメやゲーム、音楽などのコンテンツの魅力や楽しさを発信する企画展を開催している。

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1999年と2025年、それぞれの終末感とは。

佐藤1999年の夏、私は別の会社へ転職するまでの空白期間を過ごしていました。ただ、ノストラダムスの大予言については怖いという感情よりも、この世に大きい変化が訪れるかもしれないワクワクの方が強くて、よく空を見上げていたんですよ。

背筋裏腹なところがありましたよね。1つは世界が滅亡する"怖さ"。もう1つは、何かが起こるという"期待"。大きな転換点があったとき、それが良くない方向でも高揚感を持ってしまうのが人間で、その性(さが)は展示でも表現しています。あとは、ノストラダムスの大予言が感じさせる郷愁。「存在しないのに懐かしいあの日。ワクワクするけどやっぱり怖い」といった複雑な感情を鑑賞者に持ち帰ってほしい気持ちが、メンバー全員の中にあったと思います。

西山今の10代、20代の人たちは、終末論に対して「リセマラ(*ゲームを有利に進めるために設定リセットを繰り返す「リセットマラソン」の略)するチャンスだ!」くらいの軽い感覚かもしれません。 今はSNSやゲームでアカウントをつくっても、ワンタップで消せる。いろんな物事をリセットするのが、とても容易になった時代です。若い人がこの展覧会を観ることで、これまで歩んできた自分の人生を振り返り、リセマラできないこの世界のことを、少しでも前向きに捉えてくれれば本望かもしれません。

「ホラー」はエンターテインメント。

佐藤制作を進める上で、ただ恐怖だけを見せる展示にはしたくないとも話し合っていました。

西山そうでしたね。恐怖は感情ですが、ホラーはエンターテインメント。ホラーでは、人は不安を求めているのと同時に、苦難を乗り越えたという経験も欲しがっている。それが魅力だし、快楽なんじゃないのかな。

背筋あとは、死んだ後は無ではないのだと、救いを見出そうとしている面もある。人間は死そのものよりも、体も魂もなくなってみんなの記憶からも消えてしまうことを怖がっているように思えます。 例えば、幽霊が存在するならば没後の世界もあるのが必然。心霊なり黄泉なりを、ホラーを通して理解することで、恐怖に抵抗しているのかもしれませんね。

佐藤個人的には、ホラーは日常で神秘に触れることを可能にするジャンルだと思っています。超自然的な怖いことがあるなら、その反対の超自然的な良いこと、つまり奇跡みたいなものも存在するはず。私にとっては、ホラーは、逆説的に奇跡の実在を期待させてくれるものです。

撮影場所:『1999展 ―存在しないあの日の記憶―』(会場:六本木ミュージアム 会期:2025年7月11日~9月27日)

後編はこちら

佐藤直子

佐藤直子 / ゲームデザイナー / 脚本家
佐藤直子 / ゲームデザイナー / 脚本家

岩手県盛岡市生まれ。脚本家兼ゲームデザイナー。バミューダ3主宰。東京造形大学卒業後、2D・3Dデザイナーとしてゲーム開発に携わり、ホラーゲーム『SILENT HILL』の制作に参加。その後、ホラーゲームファンの間でカルト的人気を誇る「SIREN」シリーズの企画・シナリオを手掛けた。東宝劇場映画『サイレン 〜FORBIDDEN SIREN〜』では挿入歌「尊鏡秘抄歌」の作詞を担当。他作品に、重力アクションゲーム「GRAVITY DAZE」シリーズの設定・シナリオ、劇場アニメ映画『バブル』共同脚本、amazarashi横浜アリーナ公演『電脳演奏監視空間 ゴースト』脚本協力、『1999展 ―存在しないあの日の記憶―』クリエイティブディレクションなど。ゲーム、アニメ、映像、公演、展覧会とさまざまなジャンルで活動中。

西山将貴

西山将貴 / 映画監督
西山将貴 / 映画監督

1999年愛媛県生まれ。日本を拠点に活動する映画監督兼脚本家。14歳から自主的に映像制作を始める。高校在学中に制作した初短編映画「The Flap of the Butterfly's Wings」がShortshorts Film Festival & Asia2019に選出。2021年、コロナ禍にスマホで見ることを想定して作成した縦型ホラー短編映画「スマホラー!」で、Shortshorts Film Festival & Asia 2021にてバーティカル部門最優秀賞を受賞した他、25th LA shorts International Film Festivalにて映画祭の歴史上初の縦型映画でノミネートされた。23歳で撮影した初長編ホラー映画「インビジブルハーフ」が、第33回レインダンス映画祭に入選。2025年、GEMSTONE Creative Lavel(東宝)にて「インフルエンサーゴースト」を監督。

背筋

背筋 / ゲームデザイナー / 脚本家
背筋 / ゲームデザイナー / 脚本家

作家。2023年、ホラー小説『近畿地方のある場所について』でデビュー。近著に『穢れた聖地巡礼について』『口に関するアンケート』がある。

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