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INTERVIEW
158
小泉智貴ドレスデザイナー / 美術作家 TOMO KOIZUMI / Dress designer / Studio artist
TOMO KOIZUMI / Dress designer / Studio artist

六本木を舞台に、境界を越えた多面的な作品展示を【後編】

「調和が取れていて美しいけれど、印象的なクリエイションが目標」

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update_2024.07.31 photo_ yoshikuni nakagawa / text_ikuko hyodo

14歳から独学で服づくりを始め、SNSをきっかけに世界的スタイリストに才能を見いだされ、初のファッションショーをニューヨークで開催。レディー・ガガ、サム・スミス、ビョークをはじめとした顧客から支持されるブランド「TOMO KOIZUMI」のデザイナー、小泉智貴さん。ラッフルをふんだんにあしらったカラフルでファンタジックなドレスは、ファッション業界に驚きをもって迎えられ、いまやアートとしても注目されています。小泉さんがドレスを通して追求する表現について、お話を伺いました。

前編はこちら

ファッションとアートを行き来して見えてくること。

 僕のドレスは、服以上のものであるという自負を持っています。実際に僕がつくったドレスの1つはニューヨークにあるメトロポリタン美術館の永久所蔵になっているのですが、そういう経緯からも残していくべき作品の存在を意識して、常にそれを目指していきたいです。そもそも「ファッションとアートにはどれだけの違いがあるのか」と考えたときに、実はそれほど差異がないんじゃないかと思ったんです。これまでの創作の延長で、アートの世界に挑戦していけるんじゃないか、という可能性を感じました。そして、その挑戦を形にしたのが昨年末の個展『Tomo Koizumi』でした。

『Tomo Koizumi』展 

『Tomo Koizumi』展 

2023年12月9日から2024年2月10日にかけて、東京・天王洲「YUKIKOMIZUTANI」で開催された自身初となるアート作品の個展。「ファッションとアートの境界線」をテーマに、ギャラリーをクローゼットに見立て、フリル生地に手でペイントした作品などを展示。ドレスにも、絵画にも、彫刻にも捉えられる作品が話題となった。
©TOMO KOIZUMI

 展示したのはドレスと呼ぶにはちょっと風変わりな作品で、普段使っている素材に、自分が学生のときに専攻した絵画の技法を組み合わせたりしました。個展では、ファッションとアートの境界をなくすことをテーマにしていましたが、それぞれのカテゴリーを意識しているのはむしろ自分自身だった、という現実に直面しましたね。でも、そこに気付けたからこそ、もっと新しいことができるんじゃないかとも感じて。個展をつくりあげた時点ではベストなものができたと思っていたけれど、いろんな方からフィードバックをもらって、冷静に振り返ってみると「次はこうしたい」という欲も生まれています。今だったらもっと違うことができるかもしれない、と思えること自体がうれしくもあり、さらに成長していくための踏み台になっていくのだと感じています。

 ファッションのコレクションも毎回ベストを尽くしていますが、多くの人が関係していることから、つくり手である自分からは半ば独立した存在のような感覚があります。一方、美術作家として作品を発表するのは、自身の成長過程も含めて見せていく感覚に近い。つくるものと自分自身が一体化した、パーソナルなものだと実感しています。今後もアートでやってみたいことはたくさんありますし、ファッションショーのように一期一会の瞬間をつくりだすことも大好きなので、続けていきたい。ファッションとアートの分野を行き来しながら、お互いの活動にいい影響を与えて、そのときできること、やりたい表現方法で発表していくのが理想です。

商業利用ではない才能の使い方がもっと増えてほしい。

 日本のファッション業界で活躍しようと思うと、つくったものを売ってマネタイズするのが基本ですよね。ですが、ビジネスのスタイルが1つしかないのはつまらないし、商用ではない才能の使い方がもっとあっていいと思っています。マネタイズやコスト回収に必ずしも直結していなくても、経験問わず才能のある人を抜擢したり、「つくっているものがいいから何かやらせてみよう」という考えがもっと広がればいいなと思います。僕が注目してもらえたときのように先のことは考えず、「とりあえず楽しそうだからショーをやってみよう」という展開が、今の日本では起こりそうにないのは淋しい気もしています。

 そういう意味で僕のように小規模でものをつくっているクリエイターにとって、SNSやインターネットの影響力は、本当に才能のある人に国籍問わずスポットライトが当たるという意味でとても貴重です。ただ、さっき話したようにバズることを重視する風潮はもはや緩和状態になっています。その点でも今は過度期と言えますし、SNSとある程度距離をうまく取りながら利用できる人が、チャンスをつかんでいくのかもしれませんね。

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いろんなアートに触れられるのが六本木の魅力。

 出身は千葉ですが、東京の美術館には中学生の頃から通っていました。高校1年のときに森美術館で観た『COLORS ファッションと色彩展』は、特に印象に残っています。独学だったので、オートクチュールの洋服を間近で見られる機会はなかなかなかったですし、美術館でファッションをテーマにした展示に出会えたのも初めての経験でした。ファッションの芸術的価値が認められていることを実感できてうれしかったのを覚えています。

 ピラミデの存在ももちろん知っていましたが、通うようになったのは最近で、美術作家として活動を始めていろんなギャラリーにリサーチに行くようになってからです。これほどアクセスのよい立地で、興味深い作品を観ることができるのはとても魅力的ですよね。森美術館や国立新美術館のような大きな美術館の周辺に、小さなコマーシャルギャラリーがいくつも点在している。そのバランスが好きですし、いろんなアートに触れられるのが六本木の魅力だと思います。

ピラミデ

ピラミデ

中庭にあるガラスのピラミッドが目印の複合施設。現代アート、写真、古美術などのギャラリーが多数集まっている。本拠地をフランスに置く『ペロタン』、現代アートシーンのさらなる交流と進展を育む企画展スペース『SCAI PIRAMIDE』、日本・中国・韓国など東洋の古美術を専門に扱う『ロンドンギャラリー』など、現代アート、写真、古美術などのギャラリーが多数集まっている。

カテゴライズされない中間の脆さは、クリエイションでカバーする。

 僕が扱っているのはいつも布であり、ラッフルであり、カラフルなものですが、そこから生まれる作品は多面的で、ファッションとも、アートとも捉えられる。また、お店に売っているわけでもないし、常に展示しているわけでもないので、皆さんに見てもらう機会が限られています。なので、六本木という街を舞台に、ファッションとアートの境界を超えた作品を一同に展示する機会があったらいいなとすごく思いますね。マネキンにドレスを着せるだけでもいいですが、空間を使ってなにかしてみたい。例えばドレスを2、3着展示するだけではなくて、360度を使ったインスタレーションのような、圧倒される空間がつくれたら面白そうですよね。それこそファッションに興味がある人も、アートに興味がある人にも喜んでもらえるようなものにしたいです。

 どんな場合も、カテゴリーの中間に存在するものは、カテゴライズされていない分どうしても脆くなりがちです。けれど新しいものをつくることは、カテゴリー自体をつくっていくことでもあるので、その弱さはクリエイションの力で補強していきたい。別に名前なんて付かなくても、見た目やもの自体に面白さがあれば十分だと思うので、そこは自信を持って打ち出していきたいです。

撮影場所:ピラミデ

取材を終えて......
"事実は小説より奇なり"を地で行くようなキャリアの持ち主ですが、運だけではない「なるべくしてなった」と思わせるこだわりを、小泉さんの言葉の端々から感じることができました。例えば、ものづくりに対する強い憧れと情熱、アイデアを形にする力、信念を曲げない強固な意志、自分の力を信じ続けること、など。現在、これまでの経験や考えをまとめたエッセイを執筆中とのこと。唯一無二の道を切り拓く小泉さんが今後どんな世界を見せてくれるのか、楽しみです。(text_ikuko hyodo)

前編はこちら

小泉 智貴

小泉 智貴 / ドレスデザイナー / 美術作家
小泉 智貴 / ドレスデザイナー / 美術作家

1988年 千葉県生まれ。14歳より独学でドレスつくりを始める。
2011年、千葉大学在学中に自身の名を冠するブランドTOMO KOIZUMIを立ち上げ、日本を中心に歌手や広告の衣装デザインを手がける。2019年、初となるファッションショーをニューヨークで開催。同年、毎日ファッション大賞選考委員特別賞受賞、BoF500選出。2020年、LVMHプライズ優勝者の1人に選ばれる。2021年、東京オリンピック開会式にて国歌斉唱の衣装を担当。同年、毎日ファッション大賞を受賞。2023年、イタリアのブランドDolce&Gabbanaの支援によりミラノ・ファッション・ウィークにてコレクション発表。
ドレスデザイナーとして活動する傍ら、2022年からは美術作家としてもコンテンポラリーアートの製作を開始。2023年12月に初となる個展「Tomo Koizumi」を開催し、活躍の幅を広げ続けている。

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