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INTERVIEW
158
小泉智貴ドレスデザイナー / 美術作家 TOMO KOIZUMI / Dress designer / Studio artist
TOMO KOIZUMI / Dress designer / Studio artist

六本木を舞台に、境界を越えた多面的な作品展示を【前編】

「調和が取れていて美しいけれど、印象的なクリエイションが目標」

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update_2024.07.31 photo_ yoshikuni nakagawa / text_ikuko hyodo

14歳から独学で服づくりを始め、SNSをきっかけに世界的スタイリストに才能を見いだされ、初のファッションショーをニューヨークで開催。レディー・ガガ、サム・スミス、ビョークをはじめとした顧客から支持されるブランド「TOMO KOIZUMI」のデザイナー、小泉智貴さん。ラッフルをふんだんにあしらったカラフルでファンタジックなドレスは、ファッション業界に驚きをもって迎えられ、いまやアートとしても注目されています。小泉さんがドレスを通して追求する表現について、お話を伺いました。

後編はこちら

「これ」というテーマは次々と出てくるものではない。

 TOMO KOIZUMIのデザインにラッフルを採用するようになったのは、8年くらい前になります。10代の頃からファッションデザイナーになりたいと思って独学で服をつくっていました。ファッションの学校で専門的な技術を学んだわけではなく、大学時代は美術を専攻したので、自分の持っている技術でそのときにできるものをつくる、というやり方でしたね。20代の頃は衣装デザイナーの仕事をしていく中で徐々に技術が上がってきて、以前から憧れていたオートクチュールのドレスをつくりたいと思うようになりました。そのときにデザインのディティールとして、ラッフルを使ってみたのが最初になります。

TOMO KOIZUMI

TOMO KOIZUMI

独学で服づくりをしていた小泉さんが、千葉大学在学中の2011年に立ち上げたブランド。ラッフルに覆われた立体的なフォルムで、鮮やかな色使いのドレスが特徴的。
©TOMO KOIZUMI

 扱っている素材は日本製のポリエステルオーガンジーです。入手できる素材の中で一番しっくりきたのがこれで、素材の魅力をどうしたら最大限に引き出せるか考えた結果、このデザインが生まれました。だから日本に住んでいる自分の環境、使える素材、憧れているイメージ、それらがうまく合致したことでできあがったデザインともいえます。

 2019年には、ニューヨークで初めてファッションショーをやらせてもらいました。きっかけはイギリスに住んでいるケイティ・グランドというスタイリストが、Instagramで僕のドレスを見つけてくれたのが始まりです。ラッフルのデザインが目にとめてもらうきっかけでもあったので、その後も「じゃあ次!」と切り替えて全然違うものをつくろうとは思わなかった。もちろん、そのときどきのトレンドに合わせて、それっぽいものをつくることはできなくはないし、いろんな葛藤がありました。でも僕は、自分が大切につくりあげたディティールを育てたかった。そして、それをオーセンティックなものに磨きあげていきたい気持ちが強くて、今もずっとラッフルにこだわり続けています。そもそも、自分にとって「これ」というテーマはそう簡単に出てくるものではありません。だから試行錯誤を経て見つけた大切なテーマを成熟させて、ライフワークにしていきたいんです。

ケイティ・グランド(Katie Grand)

ケイティ・グランド(Katie Grand)

イギリスのスタイリスト、ファッション・ディレクター、ファッション・ジャーナリスト。90年代にイギリス発のファッション&カルチャー誌『Dazed & Confused』を立ち上げる。ファッション誌『POP』、『LOVE』、『Perfect』の創始者としても知られ、ファッションの世界でもっとも影響力を持つスタイリストの1人。
©TOMO KOIZUMI

初めてのファッションショー

初めてのファッションショー

Instagramを通じてケイティ・グランドに才能を見いだされ、連絡を取り合った末にショーをすることが決定。マーク・ジェイコブス、メイクアップアーティストのパット・マクグラス、ヘアスタイリストのグイド・パラオなど豪華メンバーの全面サポートによって、2019年2月にニューヨークファッションウィークでTOMO KOIZUMI初のファッションショーが開催された。
©TOMO KOIZUMI

理想とする美を内包しながら、どれだけ人を引きつけられるか。

 影響を受けたデザイナーはたくさんいますが、一番はやっぱりジョン・ガリアーノ。今はメゾン マルジェラでクリエイティブ・ディレクターをしていますが、中学生のときに見たガリアーノのデザインに衝撃を受けて、ファッションデザイナーを志しました。僕がファッションの世界に憧れた2000年代半ばから後半と比べ、今はファッション業界を取り巻く状況はかなり違うと思っています。僕の場合もSNSが注目してもらえるきっかけの1つではありましたが、最近はどれだけバズらせるかに重きが置かれすぎていて、そのための飛び道具みたいなものがどんどん出てきて、表面的な表現が増えてしまっているのは残念ですよね。多感な時期に受けた衝撃や感動の記憶は、いつまで経っても色褪せないもの。あのとき心を奪われた瞬間を、自分がつくるものを通して今、再現できたらいいなと思っています。

VOGUE JAPAN公式YouTube『Starting Over - John Galliano x Tomo Koizumi』


ジョン・ガリアーノ(John Galliano)

イギリスのファッションデザイナー。ジバンシィやクリスチャン・ディオールなど世界的ブランドのデザイナーに抜擢され、"ファッション界の革命児"と称される。現在はメゾン マルジェラのクリエイティブ・ディレクターを務める。波乱万丈な人生も注目され、2024年9月にはドキュメンタリー映画『ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー』が公開される。

 ファッションデザイナーとして現在は東京をベースにしながら、海外に出向いたりしてコレクションを発表しています。どれだけ人を引きつけられるかが勝負だと思うので、自分のオリジナリティがひと目で伝わるようには意識していますね。ただしそれは見た目が派手だとか、単にノイズをつくりたいという意味ではありません。調和が取れていて美しいけれど、印象的なクリエイションが目標なので、なるべくそこに近づけるよう努力をしています。ただ変わっているとか、驚かせたいというのではなく、自分が理想とする美を内包しているものをつくっていきたいです。

 ものづくりにおいて、日本らしさはそこまで意識していません。リファレンスとしてそういったものを扱うことはありますが、アウトプットするときはあからさまな感じにはしたくない。意外性も大切なので、日本らしさみたいなものは説明されたらわかるくらいのさじ加減にしたいですね。とはいえ、日本には偉大な先輩デザイナーがいて、彼らがつくりあげてくれた功績や歴史があります。そのおかげで、僕も海外でジャパニーズデザイナーとして歓迎されたりもします。伝統文化の側面だけでなく、ユニークさという点でも「日本人デザイナー」というカテゴリーで評価してもらえるのはとてもありがたいです。そのうえであえて意識せず、自分なりの尺度でものづくりをしているから差異が生まれるのだろうし、世界的な規模で見ても独自のクリエイションができるのだと思います。

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アイデアを持つことは簡単。難しいのは行動に移すこと。

 たぶん、みんなアイデア自体はいろいろ持っていると思うんです。大切なのは「自分はこれをやりたい」と、自信を持って実行できるかどうか。行動に移すのがもっとも難しいことでもあるので、それがオリジナリティの判断基準の1つになると思っています。だから「何をやっているか」だけでなく、「どれだけやっているか」も大事。リスクを取らずに大きな成果は得られません。「これは実現させるに値することだ」と自分の美的感覚を信じて、ひたすらつくっていくしかない。1つのドレスをつくるにはいくつもの試行錯誤があって、途中でやり直すことだってあるし、それなりの時間がかかります。でも、「この一着に時間をかける価値がある」と、まずは自分自身が信じないとつくりあげることはできないと僕は思います。

 さまざまな思いを込めて時間をかけて完成させたものを、1つのトレンドとして片付けられたくない、という気持ちもあります。半年ほどで消費されて、次のシーズンに出てくるものを期待されるサイクルの繰り返しだと、時代に流されるだけだし、自分もそれに加担することになる。すべてのブランドが変わるべきとは思いませんが、ファッション業界の硬直的なシステムに反発したかったし、僕のようなデザイナーがいてもいいんじゃないかな、と。1つのオルタナティブな存在としてのステートメントのようなものですね。

機会に対してNOと言うのは、弱さではなく強さ。

 僕は衣装デザイナーとして、半分はファッションで、もう半分はエンターテインメントの世界にいる意識を強く持っています。それもあって、大量につくって大量に消費して、売れ残ったものは燃やすというやり方には無駄が多いと常々感じていました。合理的なタイプなので、どこを重視したいか自分に問いかけたとき、最優先すべきはやはり、いいものをつくるクリエイションを極めていくことだったんですよね。そのうえでなるべく無駄がないやり方を突き詰めると、量産はしないとか、コレクションは年1回だけとか、そういう流れになってくる。無理なく続けるためには、業界の常識や通例にこだわらないほうがいいと思って、今のような制作スタイルになりました。

 1年前にパリへ行ったとき、縁あってガリアーノと実際に会うことができて、1時間くらい話をしました。いろんな質問をしたのですが、デザイナーとして続けていくうえでのアドバイスとして、「機会に対してNOと言うのは弱いからではなく、強いから言えるのだ。その思いを大切にしたほうがいい」という言葉をいただきました。今までやってきたことが間違ってなかったと励まされましたね。たしかにすべてにYESと言っていたら時間もないし、それによって逆に失う機会も増えてくる。なので選別していくことが、ますます大切になってきたと感じています。

撮影場所:ピラミデ

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小泉 智貴

小泉 智貴 / ドレスデザイナー / 美術作家
小泉 智貴 / ドレスデザイナー / 美術作家

1988年 千葉県生まれ。14歳より独学でドレスつくりを始める。
2011年、千葉大学在学中に自身の名を冠するブランドTOMO KOIZUMIを立ち上げ、日本を中心に歌手や広告の衣装デザインを手がける。2019年、初となるファッションショーをニューヨークで開催。同年、毎日ファッション大賞選考委員特別賞受賞、BoF500選出。2020年、LVMHプライズ優勝者の1人に選ばれる。2021年、東京オリンピック開会式にて国歌斉唱の衣装を担当。同年、毎日ファッション大賞を受賞。2023年、イタリアのブランドDolce&Gabbanaの支援によりミラノ・ファッション・ウィークにてコレクション発表。
ドレスデザイナーとして活動する傍ら、2022年からは美術作家としてもコンテンポラリーアートの製作を開始。2023年12月に初となる個展「Tomo Koizumi」を開催し、活躍の幅を広げ続けている。

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