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INTERVIEW
157
岡崎智弘グラフィックデザイナー / デザイナー Tomohiro Okazaki / Graphic Designer / Designer
Tomohiro Okazaki / Graphic Designer / Designer

『街を舞台に、より大きなスケールでデザインしてみる』【前編】

「面白いデザイン」と「面白くないデザイン」の違いは、自分が面白さに気づけているかどうかだけ。

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update_2024.06.19 photo_tada / text_ikuko hyodo

子ども向けのテレビ番組でありながら、大人も夢中になった「デザインあ」の人気コーナー「解散!」を手がけた“解散者”としても知られる、グラフィックデザイナーの岡崎智弘さん。デザインについて噛み砕きながらその本質に迫る番組は、岡崎さんのデザイン観を変え、のちの活動に大きな影響を与えました。21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3の「Focus on STRETCH PLEATS」展ではディレクターを務めていますが、岡崎さんならではの視点が散りばめられている模様。デザインを通して「見ること」の可能性に迫ります。

後編はこちら

六本木はデザインの理想と現実のギャップを埋める場所だった。

 僕が大学を卒業したのは2003年で、その年の4月に六本木ヒルズができました。それから東京ミッドタウンがオープンしたのは、たしか2007年でしたよね。当時の僕は新社会人として広告代理店に入社して、漠然とではありましたがデザインの仕事でいろいろやりたいと思っていました。でも、なかなかその道が見えてこない状態で。そんな中、六本木の美術館やギャラリーで開催している展覧会によく足を運んでいました。ヒルズなどができる以前の街をほとんど知らないので、僕にとって六本木はアートやデザインの街という印象が強いです。そのとき自分がやっていた仕事と、自分が理想とするデザインとのギャップを埋めたり、なんとか近づきたいという心持ちでこの街に関わっていたような気がします。

Focus on STRETCH PLEATS

Focus on STRETCH PLEATS

me ISSEY MIYAKEを代表する《STRETCH PLEATS》は、縦と横に施された細かいプリーツが特徴的な素材で、全方向に伸縮し、誰もがその人らしく自由に楽しく着こなせる衣服をつくりだしている。「Focus on STRETCH PLEATS」展は、そんな《STRETCH PLEATS》を新しい視点で表現する展覧会。"観察することで見えてくる構造"に着目し、衣服の仕組みから広がっていくユニークな世界を、岡崎さんがブランドチームとともにつくりあげている。2024年5月3日(金)~6月23日(日)開催。会場は21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3。
© ISSEY MIYAKE INC.

プリーツという構造の単位に着目して、視点を提案。

 今回、ディレクションを担当した「Focus on STRETCH PLEATS」展は、先ほど話した新社会人時代から通っている21_21 DESIGN SIGHTの、ギャラリー3で開催しています。展覧会のモチーフである、me ISSEY MIYAKEの《STRETCH PLEATS》について、一番詳しいのは当然ながら長く商品をつくってきたブランドチームの方々です。その上で、今までとは異なる新しい視点で掘り下げたいということで、外部のクリエイターである僕に声をかけていただきました。僕からしたら、彼らはプロフェッショナル集団です。共同という形であれ、ファッションに関しては素人の僕にどんなことができるだろうと思いましたが、日頃からデザインの仕事を通していろんなものを観察したり、何かを見いだすようなことをしているので、それと同じ目線で《STRETCH PLEATS》を細かく見ていきました。そこで発見したのがプリーツ構造の「単位」です。

 展示の内容は、完成された物事を単に見せるのではなく、服を入り口にしながら、ものの見方や観察の方法など「視点の提案」を意識しています。これは僕が大事に思うことでもあって、ものをつくってできあがったら終わりではなく、自然と次につながっていく流れにしたかった。できあがったものが起点となって、見た人の想像力が刺激され、その人が次に何かやるときのエネルギーになっていく。ある種の力の循環というか、脈々とした流れの中にものづくりが存在することこそ、意味があると思っています。この展覧会も《STRETCH PLEATS》を起点に「次につながるきっかけをつくりたい」という思いで構成をしました。

 その点、21_21 DESIGN SIGHTは、海外から観光で来ている方々もいますが、若いデザイナーや学生など、かつての僕のようにデザインで何かしら面白いことをしたいと思っている人たちが多く足を運ぶ場所でもありますよね。そんな志を持った若い人たちと、展示を通して視点を共有したいという思いは強いかもしれません。

21_21 DESIGN SIGHT

21_21 DESIGN SIGHT

ミッドタウン・ガーデンにあるデザインの展示施設。デザインへの理解と関心を育てる場として、定期的に展覧会などを行っている。地上1階地下1階の低層建築で、地上階にはギャラリー3とショップ、地下階にはギャラリー1&2がある。施設のほとんどのボリュームが地下に埋まっているため、中に入ると外観からは思いもよらない空間が広がっている。設計を手がけた建築家の安藤忠雄氏は、21_21 DESIGN SIGHT創立者であるデザイナーの三宅一生氏の服づくりのコンセプト「一枚の布」からイメージを得て、「一枚の鉄板」を折り曲げたような屋根を設計した。「Focus on STRETCH PLEATS」展が行われている21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3は、21_21 DESIGN SIGHTの開館10周年を記念して2017年3月にオープン。ものづくりの大きな拠点の1つである国内外の企業をはじめ、教育・研究・文化機関との連携プログラムを展開する、デザインのプレゼンテーションスペースとして活用されている。
photo:Masaya Yoshimura

21_21 DESIGN SIGHT名称とシンボル

21_21 DESIGN SIGHT/名称とシンボル

21_21 DESIGN SIGHTという名称は、英語で優れた視力を表す「20/20 Vision(Sight)」の、さらにその先を見通す場でありたいという思いからつけられた。SIGHTはデザインの「視力」でもあり、ものごとの見方、見ることの大切さを表す。ロゴの21と21の間は人間の目の幅になっていて、21_21 DESIGN SIGHTがデザインの「視点」であり、ものごとを真摯に見つめることの重要性を表現している。

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外側の世界はポテンシャルに満ちている。

 《STRETCH PLEATS》の構造はシンプルで、「プリーツ」という1つの単位が連続することによってつくられています。このように物事を単位ベースで見直すとさまざまな発見があります。「Focus on STRETCH PLEATS」展では縦横方向の伸縮の動きを模型化していますが、1着の服にはいくつもの要素があり、今回のように動きの構造という目線で見るだけでも無数のパターンが存在します。その結果、《STRETCH PLEATS》のような自由な変形が起こるので、そういう見方に魅力を感じますね。

 普段、デザインの仕事をしていて思うのは、自分の外側の世界が面白いということ。自分から生まれてくる表現はある程度予想ができてしまうのでそれほど惹かれないですが、外側の世界はポテンシャルが溢れていると日々感じています。世界をどうやって見るのか、その視点を提示することがデザインでもある。ただ、別にそれは僕の作品ではないというか、世界が面白いからこそ成立しているという気持ちですね。

 今回、展示室の一番奥の空間は木のつくりにして、実験室のようなイメージにしました。構造をプリーツの単位から見て発展させていますが、最終的にはまったく違うものにたどり着く感じがいいなと思って。ここにはライブカメラがあって、その場にいる人たちとともに実験でできた模型がコマ撮りアニメーションのように映し出されます。アニメーションは映像の中で起こっている実体のないものと思われがちですが、目の前に存在する物体でつくられている。その不可解さや詳細に観察したくなる仕掛けが、次の創作へのスタートになればという思いを込めています。

虫取りを通して培った、探すこと、見つけること。

 幼少期から虫が好きで、友だちがいなかったわけではないですが(笑)、中学生くらいまでずっと虫を捕まえて遊んでいました。虫に夢中になった理由はいくつかあるのですが、まず「探して捕まえる」という行為が楽しかった。虫によって生息している環境は当然異なるので、それぞれの虫がどういう場所にいるかを図鑑などで調べて、1日中探しているような子どもでしたね。見つかるまで探し続けるので大抵捕まえられるんですけど、そういうことを繰り返していると探す力が鍛えられてくるんです。この辺りにいるだろうという当たりを付けて、葉っぱが動く音や水面の揺れで気配を感じようとする。そのとき駆使していた感覚は、仕事でアイデアを考えるときとかなり近くて、虫取りの経験が今に生かされている気がします。

 もう1つは「見る」楽しさです。虫の形にはそれほど興味がなかったですが、どういうふうに過ごしているのか営みを観察するのが好きでした。例えば人間が「そろそろ餌を食べたい頃かな」と思って餌をあげたとしても、こちらの思惑など一切関係なく虫は虫の都合で動いているので餌に反応しなかったりする。自分の想像や理解が及ばないようなまったく別の原理で動いている存在を見る楽しさを、そこで得ていたのだと思います。そして、「動きそのもの」がやっぱり面白い。外骨格の生き物って、どことなくロボットの動きにも似ていて、その行動にルールらしきものがあるんですよ。よく知られるところだと、てんとう虫は高いほうに上っていくみたいなことですけど、ずっと観察してルールを見つけるのも楽しみの1つでした。

 小さい子どもは、ものを触ることで世界を感じますよね。それってつまり「手で見る」ことであり、成長とともに手遊びや工作などを通して、そこに潜んでいる仕組みや、概念的な部分を感じられるようになってくる。さらに大人になるにつれ、物体としての構造だけでなく、情報的な構造、アイデア的な構造など、「つくる」ことによって「見る」もどんどん深まって広がってきた気がします。

 虫の形には興味がないのですが、動きにはすごく興味があります。直感的というか生理的というか、生物的な反応と何かしら関わっているような気がずっとしています。モダンデザイン以降は基本的に文化や経済、社会との関係性の中にデザインがあると思うんです。ただ、僕たち人間は文化や経済を築いているけれども、基本的には動物じゃないですか。だから、社会との関わりというデザインの形がある一方で、「面白い」「心地よい」「動物がサッと動いているのを見て驚いた」といった生き物としてのより本能的な部分からくるデザインもあると思っていて、「動き」というのはそういったところと特殊な関わりを持っていると思っています。

撮影場所:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3「Focus on STRETCH PLEATS」展(開催中〜2024年6月23日)

後編はこちら

岡崎智弘

岡崎智弘 / グラフィックデザイナー/デザイナー
岡崎智弘 / グラフィックデザイナー/デザイナー

1981年神奈川県生まれ。2003年東京造形大学デザイン学科視覚伝達専攻を卒業。広告代理店、デザイン事務所勤務を経て、2011年9月よりデザインスタジオSWIMMINGを設立し活動。グラフィックデザインの姿勢を基軸に、印刷物/ 映像/ 展覧会など視覚伝達を中心とした領域を柔軟につなぎながら、仕事の規模を問わず、文化と経済の両輪でデザインの活動に取り組んでいる。デザインの仕事は、自分が知らない世界や事象と向き合う機会となることや、人や社会とつながる行為となること、また世界の捉え方や構造を発見し関与することができるものであり、その可能性に大きな魅力を感じている。
https://www.swimmingdesign.com/

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