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INTERVIEW
15
長坂常 × 尾原史和建築家 × アートディレクター Jo Nagasaka × Fumikazu Ohara / Architect × Art Director
Jo Nagasaka × Fumikazu Ohara / Architect × Art Director

あなたは六本木をどうデザイン&アートの街にしますか?

特区をつくって不動産のルールを変える。(長坂) アートを理解する教育や仕組みづくりから考える。(尾原)

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update_2012.11.07 photo_taro hirano / text_tami okano / edit_rhino

場を作ることを目的とし活動するデザインチーム、スキーマ建築計画を主宰する建築家の長坂常さんと、「R25」や「TRANSIT」など、数多くの雑誌や本の装丁を手掛けるアートディレクターの尾原史和さん。普段から交流のあるふたりのやりとりは、ざっくばらんに直球で、「デザイン」と「アート」は別ものだ、という指摘から、アートの受け手側の「考える力」の重要性にも話しは及びます。そしてふたりが行き着いた、具体案とは?

六本木との関わり。

尾原史和僕は毎年秋に行われる「DESIGNTIDE TOKYO」のディレクターを5年ほどやっていて、メイン会場が〈東京ミッドタウン・ホール〉なのでその時期にはベッタリ、ミッドタウンにいます。でも、六本木に個人的に来るということはなくて、ミッドタウンができる前も仕事の打ち合わせで時々来ていたことがある、くらいですね。

DESIGN TIDE TOKYO

DESIGNTIDE TOKYO

尾原さんが携わる DESIGNTIDE TOKYOは、招待作家による作品発表や実際のプロダクトを手にとって、デザイナー本人から購入できたりと、デザインの旬を知ることのできるイベント。今年も、東京ミッドタウン・ホールで行われた。
会期:2012 年10月31日(水)〜11月4日(日)


photo: DAICI ANO

 東京に出てきたのが22歳のときで、六本木のことはほとんど知らなかったし、渋谷にあった務め先のデザイン事務所に缶詰状態だったから、回りのことは何のことやら分からず(笑)。六本木の印象は、何となく国際的というか、世界各国の人がいる空港のラウンジみたい街、でした。

長坂 常僕はミッドタウンができる前のほうが六本木に来てましたね。すぐ近くに建築家の磯崎新さんの事務所があるのですが、学生時代に2年ほどアルバイトをしていました。なので、この辺はよく来ていたし、バイト帰りには六本木通りの「WAVE」によく行ってたなあ。

ハタチくらいだったので、六本木は大人の街というイメージで、交差点の近くの花屋さんの配達がどこに届けに行くのか、ある日興味を持って一晩くっついて見て回ったことがあるんです。いろんなところに届けに行くのがわかって、大人ってすごいなあって思った経験もあります(笑)。

尾原いろんなところ、ね。

長坂バブルが弾けた後で、六本木の繁華街としてのピークは完全に終わっていたし再開発の最中。「WAVE」の背景が何もない時期があって、それは猛烈に寂しい風景だったなあ。ミッドタウンが建って、だいぶ変わったという感じはしますね。

尾原今は〈六本木ヒルズ〉とか人が集まるポイントがけっこうあるからね。ヒルズもミッドタウンもなかった頃は、フラットな感じだったよね。

「デザイン」と「アート」を一緒にしない方がいい。

長坂それで、今回は六本木を「デザインとアートの街」にするにはどうしたらいいかという話しですが......「デザイン」と「アート」って相容れない、違うジャンルではないかと。まず思うのは、それを一緒にしないでほしい。

尾原あ、それ僕も思います。「デザイン」と「アート」は別ものです。でも、言い出すと面倒くさいというか、ここでは一緒にしたほうがいいんですかね?

長坂いやいや、ダメダメ。まずもって、限定できない、あいまいな象徴としてデザインとアートを利用するような考え方があるとしたら、それが問題だと思うんです。僕の事務所はアートギャラリーと建物をシェアしているのでよく分かるのですが、作り手のタイプで見ても、明らかにデザインの人種とアートの人種は違います。よく言われるアーティスティックなデザインなんて領域も僕は存在しないと思います。

 デザインはあくまでもビジネスとどう関わっていくか、商業にどう寄与していくかが社会的な役割のひとつだったりするので、六本木と相性がいいのも分かりますが、アートと六本木というのは...... どう関係があるのか。アートの街になるというときに、何が目標なのか、僕には正直よく分からない。

 東京ミッドタウンの中にも六本木ヒルズの中にも美術館があるから? アートが置いてあればアートの街になるなら、お金があればできるんだろうけど、アートの当事者であるアーティストたちが参加していないと何も始まらないし、本当の意味でのアートへの理解も生まれない。何のための「アートの街」なのか、アーティストたちがここで活動をしていくためには、何を目指すのかをもっと限定して言葉にできないと、コトは前に進まないんじゃないかと思うんです。

尾原そうだね。アートを見る側の人が集まってくる街なのか、アートに携わる人たちが集まるビレッジになるのかで全然違うもんね。

長坂アート活動をしている面白い人たちが集まるとなると、いまの日本では多くのアーティストが二足のわらじで生活を成り立たせているような状況なので家賃の高いところには住めない。もちろん成功している人は別でしょうけど、これから社会をつくっていくようなアーティストはまず無理なのでは。それに、この街に創作活動するような場所があるかというと、難しいんじゃないかな。それなりにスペースが必要だったりするし、何か突飛なことをしてはイケナイような、硬い印象がありますよね。そういう場所にアーティストが好き好んで来るとはなかなか思えない。

尾原六本木は便利なわけですよね。創作をする場の環境として、これだけ便利で、これだけ多くの人がいる場所であるべきかっていうのは、ひとつ大きなハードルかもしれない。この街にいる時点で、人に干渉されることになるじゃないですか。何かしら人の表情を見て暮らさなければならなくなっちゃう。そういう状況で自分の表現なり何かを考える時間を確保できるかというと、僕だったら難しい。もし僕がアーティストだったらね。だって本当は、できるだけ人と関わりたくない、って思っているタイプの人間なんですから......

長坂常×尾原史和

経済とアーティストをどう絡めていくか。

長坂それでも六本木をアートの街にしたいというなら、六本木の「経済」とアーティストをどう絡めるかをまず考えるべきだと思う。アーティストにとっての「経済」って、創作をする時間をどれだけ日常と切り分けて確保するかということも大事だし、もうひとつは、いかにしてコレクターに買ってもらうか。そういう生きていくための糧みたいなことを、六本木でどうしたら生み出せるのかが重要ではないでしょうか。

 たとえばオランダには、行政のイニシアティブで建設される公共施設の場合、その建設費に対してのある一定の金額がアートに使われないといけない、というルールがあるんですね。およそ1億円〜7億円の建物ならコストの2%、7億円〜10億円なら1%といった具合に細かく決められています。このルールは1951年に施行され、長い歴史を持っていて、オランダにアーティストが集まりやすい環境が生まれた背景のひとつでもあります。

 そういう具体的な仕組みづくりをしないと、アートと関係なく回っている所にアートを取り込むというのは難しい気がする。オランダ以外だと、ドイツも文化政策への予算が大きく、文化への理解の先進国として知られていますし、文化政策の仕組みが優れているイギリスからも学ぶことがあるかもしれません。

尾原やっぱり実質が伴っていないと、アートの街という印象がつくだけで本質的には変わらない。法律に代表されるようなルールづくりでも何でも、一つの軸を決めることによって積み上げていかないと、街全体は変化しにくい。

アートを理解する力を養う教育と環境づくり。

尾原今の日本では、美術館の中に飾られていればアートっていうのが成立しているじゃない。一般的には。でもその作品をどういうふうに考えてつくったか、というのがアートの一番重要なところで、見る側の「考える力」が必要になってくる。その力を持たずに、美術館に行って、作品を見て回って、ああよかったね、って言うだけでは何も残らないですよ。絵画は知識があればある程度分かるのかもしれないけれど、結局、その「考える力」がないから、コンテンポラリーアートになった瞬間にさっぱり理解できなくなってしまう。

 ロンドンにある「テートモダン」は20世紀以降の近現代美術作品を集めた世界有数の現代美術館ですが、入場料が無料で、子どもたちが中で模写をしていたりする。それだけでも美術館としての役割が全然違うし、突然作品がポンとあって好きとか嫌いとか言うのではなく、ちゃんと歴史に沿った展示をしていて、見る人がその文脈と共に作品の意味を考えられるようになっている。そういう、ある意味教育的なところから変えていかないと。

テートモダン

テートモダン

イギリス・ロンドンのサウス・バンク地区にある国立の美術館。もともと発電所だった建物は7階建で、大小様々な展示室がある。


Tate Modern lit up at night, 2000

長坂受け手側もどういう必要性でアートが存在するかっていうのを考えないとね。ヨーロッパの人たちを見ているとその理解力が高いなって感じるのは、やっぱりベースとなる環境づくりや教育から来ているんじゃないかな。

 先ほどのオランダの例を見ても、50年代からデザインを支援する文化政策をとってきた結果、数十年経ってやっと世界のアートシーンをリードする状況ができたわけで、理解力の基礎体力をつけていくためには、時間をかけて方法論を見つけていかない限りはそんな簡単には変わらない。作り手だけが立派でも仕方なくて、受け手側もそこにお金を払う側も変わっていかなければならないのだから。

長坂常×尾原史和

クリエイターが住みたくなる街。

長坂建築家として都市を見たときに、いい街だなと思ったのはキューバのハバナですね。そこに住んでいる人たちの表情がとても豊かなんです。どの家も一定に貧しいのですが、貧しくても卑しくない。分かりやすく言うと、『ALWAYS三丁目の夕日』の世界がリアルにあるんですよ。路地と家が繋がっていて、子どもたちが外でワイワイ集まって遊んでいるし、家なんてほとんどオープンなんだけど、物が盗まれることもない。ごく普通の人たちが古いアールデコの建物に住んでいたりもする。その街の有り様がとてもいいなと思いました。

 クリエイティブということで考えると、やっぱりオランダのアムステルダムはいいですよね。設計事務所のMVRDVやドローグ・デザインが携わって生まれた「ロイド・ホテル」に1週間泊まっていると、そこにアーティストやデザイナーが集まっていて、いろんな人と知り合える。アムステルダムで何かやろうとするときにも、その人脈でワっとやれる。その感じがものを作る上でいい環境だなあと思います。

ロイド・ホテル

ロイド・ホテル

オランダ、アムステルダム東湾地区に建つロイドホテルは、119ある客室が、すべて異なるインテリアで作られていて、観光客に人気のスポット。

尾原僕が一番好きな街はヘルシンキかな。そこで何かがしたいというわけではなくて、きっと精神的に楽だろうなっていう。そんなに干渉もしてこないし、民度は高くて優しいし、そういう人たちとだったら一緒にいたいなあ、と。街の規模も小さくて気持ちいい。

 あと、ベルギーのアントワープはすごくバランスがいい気がしていて、住みたい街のひとつですね。アントワープも過剰にがんばらなくてもいい感じがする。ロンドンだとすごく踏ん張っていないといけないけど、アントワープだとのんびりしているけど意識は高い、みたいな。

 ちょっと話しがズレますが、僕は今、北海道に家をひとつ借りようと思っているんです。出身は高知県なんですけど、寒いところが好きなんですよね。温かいと何もしたくなくなっちゃう。ちょっとピンと肌が張りつめる感じとか、好きなんですよねえ。

長坂俺は寒いところ、ダメなんだよね......

尾原でも確実に平均気温は上がっているからね。地球上の。南のほうから熱帯化していくわけで、北のほうがこれからは絶対いいと思うんだけど。僕は北海道に首都も移転するんじゃないかと思ってるんですよね。

まとまりやすい規模。六本木特区!

長坂北海道に首都移転!? まあ、それはさておき、いまクリエイティブな活動を街単位でやろうとしたときに、地方の方がやりやすくなっているんじゃないかという気はします。何かについて話そう、というときに、東京だと人が多すぎて、右にも左にも行けない。でも大阪とか九州とか見ていると、コミュニティが小さいので、意志がまとまりやすい。問題意識をちゃんと提示しやすい。

尾原六本木も規模としては大きすぎるというか、他の街とも地続きで全て繋がっている状態だから捉えにくくなっているんですけど、いっそ、鎖国というか、閉じてみたらいいんじゃないですか? 六本木という街を。

長坂特区だと面白くなるんじゃないかな。

尾原いいですね!特区。

長坂で、六本木特区は何をするかというと、たとえば不動産の「現状復帰」というルールを書き換えるというだけでも非常にクリエイティブな街になると思いますよ。

尾原現状復帰しないでいい特区。

長坂DIYをちゃんとさせるというのを、どうしたらルールとして組めるか。それを六本木のある地域に限定してやるだけでも随分変わると思います。リスクも当然増えますけど、アーティストたちも絶対集まってくるし、集まってきた人たちがどういう活動をするかによって、この街の影響力も強くなってくる。ある程度お金のある人たちがそういう特区を組んで不動産のルールを変えてみるというのは、ものすごく社会的な意味があると思います。

 建築基準法は厳しいけれど、不動産のルールは変えていける可能性があるし、それが変わることによって明らかに生活が変わり、街が変わる。

尾原そうですね。特区にすることで、けっこういろんなことができそうですね。やり方によっては地域の通貨制度とかつくって、税金も免れることができるかもしれない。アーティストのクリエイティブ免税みたいな。

長坂税金にも切り込みますか。それは考えなかったなあ。でもやっぱり、今のルールに辟易としている人は多くて、そこが変わるなら、僕も六本木に引っ越したいです。

取材を終えて......
普段から仲が良いというお二人は、肩を並べるポージングに終止照れながらも、会話を楽しみながら撮影に協力してくださいました。撮影後のインタビューでは、"アート"と"デザイン"の違い、それぞれが持つ可能性について熱心に語ってくださり、過去15回のインタビューで最長の、3時間にわたるロングインタビューとなりました。 (edit_rhino)

長坂常

長坂常 / 建築家
長坂常 / 建築家

1998年東京藝術大学美術学部建築学科卒業。同年、スキーマ建築計画開設し、その後、2007年事務所を上目黒に移転し、ギャラリーとショップなどを共有するコラボレーションオフィス「HAPPA」を設立。

http://www.schemata.jp

尾原史和

尾原史和 / アートディレクター
尾原史和 / アートディレクター

スープ・デザイン代表。1975年高知生まれ。スープ・デザインでは雑誌や書籍、展覧会などのデザインなどを中心に活動。新たにマルチプル・レーベルとして 「PLANCTON」を設立し、写真集の出版や靴などジャンルにとらわれず制作をしている。著書に『デザインの手がかり』(誠文堂新光社)、『逆行』(ミシマ社)がある。DESIGNTIDE TOKYOのディレクターとしても参加している。

http://www.soupdesign.co.jp/
http://www.plancton.co.jp/

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