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INTERVIEW
142
吉本英樹 × 武井祥平デザインエンジニア × エンジニア Hideki Yoshimoto × Shohei Takei / Design Engineer × Engineer
Hideki Yoshimoto × Shohei Takei / Design Engineer × Engineer

『エンジニアリング視点で、バナキュラー(=土着的)な六本木を発見する』【前編】

街に「誇り」をもたらすものづくりを。(武井)
長い時間軸のなかで繰り返す「リズム」を捉えてみる。(吉本)

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update_2022.12.07 photo_yoshikuni nakagawa / text_ikuko hyodo

東京オリンピック・パラリンピック聖火台の機構設計を担当した、nomenaの武井祥平さんと、ロンドンと東京を拠点に活動し、仏「エルメス」等の世界のラグジュアリーブランドにデザインを提供する、Tangentの吉本英樹さん。同世代の2人は、エンジニアリングをベースにしながら、デザインやアートの分野で活躍している共通点があります。そして今年のクリスマスシーズンは六本木と名古屋、それぞれの地で手がけたツリーが、街を華やかに演出しています。エンジニアとして幅広い表現に取り組むことの強み、そしてこだわりを多角的に語り合っていただきました。

後編はこちら

カルチャーショックを受けたロンドンの制作環境。

武井祥平実は吉本くんとは学生時代、「i.school」という東大のプログラムでニアミスしているんです。

吉本英樹ちゃんと話すようになったのは、お互いに独立して、ミラノサローネで会うようになってからですよね。

武井2016年に僕が仕事でロンドンに行ったとき、吉本くんのスタジオに遊びに行ってしこたま飲んで、終電を逃して泊まったこともありました(笑)。

吉本スタジオの庭にテーブルを出して、飲みましたね。

武井そのときの経験がカルチャーショックだったんです。吉本くんは大きなスタジオを持っていて、そこではいくつかのプロジェクトが同時進行していた。RCA(ロイヤル・カレッジ・オブ・アート)からのインターンも何人かいて、すごく活発なスタジオという印象を受けました。あのスタジオは、もともと修道院の宿舎だったんですよね?

Tangent スタジオ

Tangent スタジオ

修道女の宿舎として使用されていた30部屋ほどある建物を、スタジオとして利用。

吉本そうなんです。ロンドンの中心から離れたところにあるレンガ造りの大きな建物を、スタジオとして使わせてもらっていました。

武井僕も頑張らねばといい影響を受けて、その後、東京で広めのスタジオに引っ越しました。吉本くんのおかげです。

nomena スタジオ

nomena スタジオ

東京・浅草にあるオフィス、ギャラリー等の機能を備えたスタジオ。空間の設計はDOMINO ARCHITECTSが担当。

吉本武井さんは多くの人から信頼を得て、スケールの大きいものをたくさんつくっていますよね。ビジョンがしっかりあって、職人という感じがするし、それでいてクリエイティブ。いろんなことを実現させるには、たしかに広いスペースが必要かもしれない。

街を彩るクリスマスツリーに込めた思い。

吉本僕は去年、六本木ヒルズのウェストウォークに飾るクリスマスツリー《BON-BON BLOSSOM》の制作を担当しました。コロナ禍で売れなくなり、廃棄される予定だった花をドライフラワーにしてツリーをつくったのですが、今年は名古屋にあるミッドランドスクエアでジャングルジムのツリーを制作しています。クリスマスツリーは数週間、街をハッピーに演出してくれますが、12月26日の0時を回ると一気に解体されて、ゴミ箱行きとなります。そこから街はお正月ムードに一変する。SDGsやサステナブルがこれほど声高に叫ばれているのに、矛盾していますよね。今回のツリーはクリスマスが終わったら、名古屋市内の3カ所の保育園に、本物のジャングルジムとして寄贈されることになっています。仮にそれぞれの場所で数十年残り続けて、「このジャングルジムは、実は2022年のクリスマスにね......」と話題にのぼるようなことがあったらいいなと思って。ツリーには照明のオーナメントが100個ついているのですが、それらは解体時に回収して、お客様に抽選でプレゼントすることになっています。

ジャングルジムツリー

ジャングルジムツリー

大小さまざまな立方体フレームを積み重ねた、名古屋ミッドランドスクエアのクリスマスツリー。フレーム部分は、愛知県の体育器具・遊具メーカー「TISWELL」に制作を依頼。解体後、子どもたちの遊具として実際に使えるよう、安全性も確保している。2022年12月25日まで展示。

武井僕は、nendoさんがデザインした東京ミッドタウンのクリスマス館内装飾《Glitter in the air》のクリスマスツリーのエンジニアリングを手伝っています。それと、吉本くんが去年担当した六本木ヒルズ・ウェストウォークのツリーを、今年はWOWさんが手がけているのですが、そのエンジニアリングにも携わっています。なので光栄なことに、六本木エリアのクリスマスツリーを裏側で支える存在になっています(笑)。といっても、クリスマスツリー制作に関わるのは今年が初めてで、とても新鮮な体験でした。吉本くんが言ってくれたみたいに、エンジニアリングという職人的な関わり方なので、まず安全につくることに注力しました。また、普段から、自分たちが関わる作品に「力み」が感じられるものにならないようにも意識しています。表現が際立って見えるのが理想というか、軽々と品の良いことをやっている印象になればいいなと思っているんです。

Glitter in the airのクリスマスツリー

Glitter in the airのクリスマスツリー

東京ミッドタウン・ガレリアB1にて飾られるnendoによるクリスマスツリー。高さ7.5mの円錐形のツリーとなっており、約400台のファンによって生み出される風により、光のパーツがキラキラと輝く。風は複数のパターンで吹き、螺旋状に上昇したり、波紋のように広がったりとさまざまな表情を見せることで、クリスマスの高揚感を演出。

Reflective tree

Reflective tree

2022年、六本木ヒルズ・ウェストウォークに飾られるクリスマスツリー。WOWがデザインを担当。光の反射と拡散を用いて、冬の美しい煌めきを演出。

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人が行き交う場所に作品を展示する価値と責任。

吉本クリスマスツリーを設置するのは、いろんな人が行き来する、パブリックな場所です。もしかしたら、なかにはコロナ禍で家族を亡くした人もいるかもしれない。ユニークで新しい表現を模索することは、自分に課せられたミッションとして当然ありますが、同時にメッセージやコンセプトでは、社会の流れに寄り添うことを大事にしたいと思っています。

武井展示する場所を問わず、エンジニアの立場として思うのは、社会に対してマイナスになるようなものはつくりたくない、ということです。工学系を専攻すると、「技術者倫理」といってエンジニアたるものは何を考えて、倫理的に技術をどう発展させていくべきかを学びます。そんなふうにテクノロジーの発展が社会にとってマイナスになっていないか、という意識を常に持って仕事をしていますね。特にAIやロボティクスの分野が加速度的に発展しているので、人間の存在意義をしっかり考えないと、本当に目的を見失いかねない状況だと思います。

街に置かれる作品として目指しているのは、その街の「誇り」になること。僕は表現に関わるものづくりを通して、人の思い出に残るモニュメント的なものを主に手がけているのですが、即座に役に立つようなものはそれほど多くない。それでも、誇りを持ってもらうことはできると思うんです。例えばフランク・ゲーリーが設計したビルバオ・グッゲンハイム美術館は、計画時には、景観を壊すとか、お金の無駄だとか反対が多かったそうです。だけど、完成して多くの人が訪れ、ポストモダンの重要な建築になることで、捉えられ方も変わった。文化的な意味を持つ作品は、効果が直接目に見えにくかったりしますが、やっぱりそこに住む人たちや訪れる人たちに、喜ばれるものを生み出したいという気持ちが常にあります。

ビルバオ・グッゲンハイム美術館

ビルバオ・グッゲンハイム美術館

スペイン北部、バスク地方の都市ビルバオに、モダンアートの発信地として1997年に開館。アメリカの建築家フランク・ゲーリーが設計を担当。最も重要な現代建築のひとつといわれている。

クリエイター目線からテクノロジーを捉える。

吉本Tangentは2015年に創業して、エンジニアリングとデザインの両方を行き来するような活動を標榜してきました。ただし最初の5年くらいは、テクノロジーとはいいつつ、最先端のテクノロジーを使っているわけでもなく、どちらかというと表現が前面にあって、裏でプログラミングが少し走っていたり、センサーがついていたり、というスタイルが多い状況だったんです。

武井nomenaもそこは一緒ですね。テクノロジーって言葉をそのまま捉えると、最先端だったり、社会を変えたりするようなニュアンスが生まれがちですけど、僕らが扱うものの多くは、むしろ"枯れた"技術。身近にあるものを組み合わせて、今まで見たことのないようなものをつくれないかと画策しています。最先端のテクノロジーにも興味はありますが、そういったものを使うとどうしてもドヤ感というか、力みが出がちなので。その辺りは僕らの技術の関わり方のひとつの特徴というか、ほかのエンジニアとちょっと違うところなのかなと思ったりはします。

吉本僕の場合は、ここ2、3年で潮目が少し変わってきていて。教える側としてロンドンから拠点を東京に移し、東大に戻ってきたことも無関係ではないのですが、ドローンやAIのシステム開発を進めるなど、大学の研究レベルのテックに携わる機会が増えてきました。そういった技術をデザイナー、あるいはアーティストの目線で捉えたとき、科学者やエンジニアでは発想し得なかったアイデアを出せたりするんですよね。それをうまく育てられれば、これまでなかったような需要が生み出せるかもしれない。このタイミングになって、ようやくテクノロジーとデザインの両方をやっているのだと、自信を持っていえるようになったし、それ自体の面白さを感じています。技術をクリエイター目線で違うベクトルから見ることが自分の役割なのかな、と思えるところまでになってきました。効率の良さを目指さなくても、こっちのほうがグッと来るし、気持ちいいよねっていう感覚を大事にしています。

撮影場所:六本木 蔦屋書店

後編はこちら

吉本英樹

吉本英樹 / デザインエンジニア
吉本英樹 / デザインエンジニア

1985年和歌山県生まれ。2010年東京大学大学院修士課程修了(航空宇宙工学専攻)。同年に渡英し、2016年英ロイヤル・カレッジ・オブ・アート博士課程修了(Innovation Design Engineering専攻)。2015年にデザインエンジニアリングスタジオ「Tangent」設立。デザインとテクノロジーを融合させる手法でさまざまな作品を発表し、世界的ラグジュアリーブランドにも多くのデザインを提供。日本人工知能学会全国大会優秀賞、IPA未踏ソフトウェア事業スーパークリエーター認定、Lexus Design Award、Red-dot Design Concept Best of the Best、和歌山県文化奨励賞など、デザインと工学の両分野で受賞多数。2020年、東京大学・先端科学技術研究センター特任准教授に着任し、先端アートデザイン分野を共同設立。ロンドンと東京をベースにさらに活動の幅を広げる。

武井祥平

武井祥平 / エンジニア
武井祥平 / エンジニア

1984年岐阜県生まれ。高専で電気工学、大学で認知心理学を専攻。2012年東京大学大学院情報学環・学際情報学府修士課程修了。同年、「nomena」設立。工学的な視座から前例のない表現の可能性を追求する活動を展開。自身の創作活動の他、気鋭のアーティストやデザイナーとの共同制作、テクニカルディレクションも数多く手がける。 主な仕事に、東京2020聖⽕台主任機構設計者、セイコーとの共同制作による作品シリーズ「時計の捨象」、宇宙航空研究開発機構JAXAとの共同研究「スピン型ソーラーセイル形状制御装置」、 21_21 DESIGN SIGHT「ルール?展」への出品作「四角が行く」 他。主な受賞歴に、文化庁メディア芸術祭アート部門優秀賞(2022)、Penクリエイター・アワード(2021)、DSA日本空間デザイン賞金賞(2017)、東京都現代美術館ブルームバーグ・パヴィリオン・プロジェクト公募展グランプリ(2012)、東京大学総長賞(2012)他。
https://nomena.co.jp/

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