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INTERVIEW
132
山峰潤也キュレーター Junya Yamamine / Curator
Junya Yamamine / Curator

再開発で生まれた廃墟をスクワットする【後編】

「良質なカオス」で人と人が出会う。

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update_2021.12.15 photo_yoshikuni nakagawa / text_koh degawa

東京都写真美術館、金沢21世紀美術館、水戸芸術館現代美術センターでのキュレーター経験を経て、「ANB Tokyo」を運営する一般財団法人東京アートアクセラレーションの共同代表に就任し、展覧会を企画・運営している山峰潤也さん。森アーツセンターギャラリーで開催された展覧会『KAWS TOKYO FIRST』では、日本側監修を務めました。「ANB Tokyo」では、キュレーターのファシリテーションによってアーティストが共鳴し合う形の展覧会を行うなど、新たな出会いから「既存のものとは違う何かが起こる場所」を提案しています。そういう場が、都市に何をもたらすのか。山峰さんに聞きました。

前編はこちら

アートを起点に変化する都市のダイナミズムと有機的なカオス。

 僕の好きな場所のひとつに、ロンドンの「Tate Modern」があります。テムズ川沿いにある国立の近現代美術館で、火力発電所が美術館として生まれ変わった場所です。ここが好きな理由は、美術館につくり直したことで街のカラーが変わっていったこと。廃墟化した火力発電所の周辺は治安の悪い街だったのが、美術館ができたことで街そのものが変わっていった好例です。美術館がひとつできたことで、地域のイメージが更新されて、その後は自然発生的にジェントリフィケーションが起きる。日本における美術館と都市の関係の成功例としては金沢21世紀美術館が挙げられますね。

Tate Modern

Tate Modern

イギリス・ロンドンのテムズ川畔、サウス・バンク地区にある国立の近現代美術館。テート・ブリテンなどとともに、国立美術館ネットワーク「テート」の一部をなしている。バンクサイド発電所だった建物を改築しオープンして以来、地元の人々や観光客に非常に人気のあるスポットとなっている。

 別の例で、現在は「MoMA」の別館となっている「PS1」という場所があります。1971年にアラナ・ハイスが「芸術と都市資源のためのインスティチュート」という組織をつくり、廃校を使って「PS1 現代美術センター」を発足したのが起源です。その後、治安の悪かったニューヨークでアーティストがイニシアティブをとるユニークな文化スペースとなっていきました。この例が教えてくれるのは、何が起こるか分からない場所=良質なカオスを、コミュニティの一員として社会が"抱えて"おくことは見えづらいけれど意味があるということ。長期経済の視点が街づくりに持ち込まれ、新しい価値の効果測定ができるようになると、デベロッパーもちゃんと投資することができるようになる。

新陳代謝する都市の隙間を占拠する。

 六本木は、再開発でたくさん廃墟が出てきていますよね。あの廃墟をスクワット(=空き家等を無断で占拠すること)できたら面白い。再開発という街が新陳代謝する時に、廃墟を使ってできることがあると思うんです。「ANB Tokyo」を通して熱量が高まっている人たちが出てきているし、僕自身も美術館で働いていた時よりも視点に広がりが出てきたので、六本木の街中でスクワットをやってみたい。

 廃墟は、都市における隙間のようなものです。そういう隙間があると、使う人たちが出てきて、そしてそれを許容するカルチャーがあることが都市にとって重要なんです。隙間のような場所に、少しのルールがあり、それにのっとれば何かができる。そこで何が起こるかはわからないし、場所とともにいつかは消えていってしまうけれど、その街にいた人の記憶にはきっと残るはずです。

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当たるも発見、当たらぬも発見。都市には寛容さが求められる。

 都市の寛容さと言っても、スクワットをしてもいいですよ、と許可を与えてそこで起きることに何かを期待するのは違うと思います。当たるも発見、当たらぬも発見、という寛容さを持っているからこそ出てくるセレンディピティを楽しむ、くらいのスタンスがちょうどいいのではないでしょうか。

 いい事例に、千葉県松戸の「まちづクリエイティブ」という会社が起こした民間の街づくり活動があります。空き家問題が深刻な松戸で、その家をアーティストに転貸借して街づくりを図るというもので、「MAD City」と名付けて様々な改装可能な物件を紹介しています。この例の良かったところは、原状復旧の必要がないことなんです。うまいですよね。そうすると、アーティストは好き勝手やる。好き勝手だけど、アーティストもそこに住むわけなので生活しやすい環境にはなる。そういう遊ばせておく力が、場を提供する側には求められるのです。

 何が起こるかわからない場所や出来事に過度に期待しすぎず、自由にさせておく。これが「良質なカオスを社会が抱えておく」ことの秘訣なんだと思います。

まちづクリエイティブ / MAD City

まちづクリエイティブ / MAD City

千葉県松戸市を中心にサービス提供を行う、自立的な地域活性をデザインするまちづくりの会社。ターゲット地域を絞り込み、小さな範囲で歴史文脈に根差したエリアブランディングを構築することから始まる、総合的なエリアマネジメントを提供している。「MAD City」は、空き家の活用とクリエイティブ活動を結びつけ、クリエイターの活動支援を行うプロジェクト。
http://www.machizu-creative.com/

撮影場所:ANB TOKYO『Encounters in Parallel』(開催中〜2021年12月26日)

取材を終えて......
海を埋め立て、急激に再開発が進んだ街で働いていたことがある私。整然とした街並みを眺めては、「整ってるんだけど、なんか足りないんだよな」ともやもやしていた記憶があります。取材で「何が起こるかわからない場所」というキーワードを聞いて、「それだ!」と思いました。予測不可能で、めまぐるしく変化する熱量を持った都市の隙間。そういう「あそび」の部分があるから、都市を自分の居場所だと思えるのかもしれません。六本木の廃墟でスクワットが始まったら真っ先に取材に行きたい!(text_Koh Degawa)

前編はこちら

山峰潤也

山峰潤也 / Curator
山峰潤也 / Curator

キュレーター/一般財団法人東京アートアクセラレーション共同代表
1983年生まれ。東京都写真美術館、金沢21世紀美術館、水戸芸術館現代美術センターにて、キュレーターとして勤務したのち東京アートアクセラレーション共同代表として、ANB Tokyoの企画運営に携わる。主な展覧会に、「ハロー・ワールド ポスト・ヒューマン時代に向けて」、「霧の抵抗 中谷芙二子」(ここまで水戸芸術館)、「恵比寿映像祭(第4回-7回)」(東京都写真美術館)や「The world began without the human race and it will end without it.」(国立台湾美術館)など。その他、ポーランドや韓国、スロベニアなどの展覧会などにゲストキュレーターとして参加。また「KAWS TOKYO FIRST」日本側監修(フジテレビ)、テレビ朝日のアート番組「アルスくんとテクネちゃん」監修などを務め、文化庁のアートプラットフォーム事業や文化経済戦略推進事業に携わるなど、シンポジウムの企画、編集、執筆、講演、審査委員など幅広く活動。最近では、文化やアートに関わる事業のコンサルや地域創生などに関心を持って活動。2015年度文科省学芸員等在外派遣研修員、学習院女子大学/東京工芸大学非常勤講師。

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