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INTERVIEW
130
豊田啓介東京大学生産技術研究所特任教授 / 建築家 Keisuke Toyoda / Project Professor at Institute of Industrial Science, The University of Tokyo / Architect
Keisuke Toyoda / Project Professor at Institute of Industrial Science, The University of Tokyo / Architect

「六本木コモングラウンド研究所」をつくる【後編】

リアルとデジタルの間の多彩なグラデーションを楽しむ。

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update_2021.10.20 photo_tada / text_tami okano

デザインとデジタル技術を掛け合わせた「コンピューテーショナル・デザイン」の旗手として知られる、東京大学生産技術研究所特任教授で建築家の豊田啓介さん。「リアルなモノと情報(デジタル)がシームレスにつながるのが、未来の建築や都市である」と語り、そのための共有基盤を、豊田さんは「コモングラウンド」と呼びます。コモングラウンドの出現で、私たちの暮らしの何が変わるのか。豊田さんが考える“少し先”の未来と、六本木だからこそできること、聞きました。

前編はこちら

必要なのは、新しい契約や権利のデザイン。

 リアルなモノと情報(デジタル)がシームレスにつながる環境づくり、ということでは、「スマートシティ」と呼ばれている取り組みや、現実の世界をデジタル空間上に再現する「デジタルツイン」があります。

 実際に僕も、いくつかのデベロッパーとスタディをしているのですが、たとえば、その「デジタルツイン」を使って、バーチャルな六本木をつくりたい、と単純に言ってはみるものの、街の個々の権利はどうなっていて、維持管理は誰がやって、どこがどう運営をしていくのか。その答えを明確にもっているところは、まだありません。

 結局、問題になるのは、技術よりも契約とか権利なんです。一般的には、まず最初に行政が、とか、法律が未整備で、ということになるんですけど、法律って大抵、すごくフレキシブルにできていて、考え方や通し方をなんとかすれば、なんとかできてしまう。むしろ、なんともならないのは、民間と民間の契約や権利関係で、だいだい昔の囲い込み型の考え方でできているので、せっかくの新しい中間領域なのに、今のままやると、企画がダメになる方向にしか進まない。つまり、バーチャルな街をデザインするためには、新しい契約や権利の在り方をデザインしていかなければならない。

 ほかにも、街に関わる地権者や事業者の人にヒアリングしながらじゃないとできないことがたくさんあるので、大阪では、大阪商工会議所に音頭を取ってもらい、異業種が集まり、バーチャルな街の可能性を探る「コモングラウンド・リビングラボ」を立ち上げました。これ、六本木でもやれたら、めちゃくちゃ面白くなると思います。

コモングラウンド・リビングラボ

コモングラウンド・リビングラボ

2020年、自律走行やAR/VRといったスマート・シティ向けのサービスやプロダクトの実装実験を行う場として、「コモングラウンド・リビングラボ」が大阪・天満にオープン。シェアオフィスとセンサー等を備えた共同実験場を備え、様々な企業が連携しながら日々実験・研究を行う。
https://www.cgll.osaka/

六本木はコモングラウンドのプラットフォームづくりに向いている。

 六本木がすごくユニークだと感じるのは、森ビルや三井不動産といったパワープレイヤーが真ん中にいるということ。それと同時に、ごちゃごちゃとした、表も裏も入り交じった世界もあるということ。その幅の広さです。

 モノと情報をシームレスに結ぶ共有基盤、コモングラウンドみたいなものを最初に実装するには、ヒルズやミッドタウンのような、一度完全に整理された場所が一番やりやすいと思います。でも、コモングラウンド・プラットフォームをミッドタウンで一度つくれば、その中でのサービスは、ミッドタウン内に留まる必要はなく、周辺の雑居ビルやオフィスビルの人も、AR(拡張現実)の会議サービスは受けられる、とか、逆にミッドタウン内の人も周辺の店からランチのデリバリーが受けられるとか、さまざまなメリットがシェアできます。

 最初にコアができると、私も、私もって、周辺のみんなが、より選択肢のある形で加わることができるので、真ん中に大手デベロッパーの存在がある六本木は、コモングラウンドのプラットフォームづくりに、すごい向いていると思います。しかも、今までのようなリアルな再開発の予算に比べれば、バーチャルな街のプラットフォームづくりにかかる予算は、その100分の1、いや、1,000分の1で済む。せっかく向いているんだから、やらないなんて、もったいない。

 ということで、僕の提案としては、「六本木コモングラウンド研究所」をつくり、六本木のさまざまな業種や業態の方に集まってもらい、デジタルツインの権利とか、運営の在り方をみんなで議論しながら、10年後に実装することを仮の目標として動かしてみる......ってどうでしょう。それに森ビルも三井不動産も新国立美術館も入ってくる、といったことがやれたら、相当、面白い。

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未来を描くための、六本木コモングラウンド研究所。

 これからの企業ですごく大事なのは、R&D(研究開発)機能だと思っていて、行政もR&Dを持たなければならないと思っているのですが、デベロッパーも技術的な開発を行うリサーチャーを集めたガチな研究所を持ったほうがいい。森ビルは「世界の都市力ランキング」を発表するような都市戦略研究所をもっていて、経済動向に対するリサーチ機能はあると思うんですけど、バーチャルな都市のプラットフォームを本気でプログラムとしてつくる研究開発機構がないと、おそらく、これからの未来の絵は描けないと思うんです。

 建築家はあくまで、こんなのができるんじゃない? というイメージやビジョンをつくるまでが仕事です。それをつくるのも大変ですけど、そのビジョンを具体的に落とし込んでいく技術力はない。その先に進むためには、やっぱり、研究開発能力が必要で、もし、「六本木コモングラウンド研究所」ができたら、六本木は世界に先駆けた、それこそ「超最先端」の動きが取れます。

 たとえば、渋谷では、東急不動産の企画で「アーバンビジョナリー」というリサーチや勉強会をはじめています。各所に同様の運動体はいろいろとありますが、技術実装に落とし込むような人員や予算を備えた組織までは、まだどこも持てていない。DX(デジタルトランスフォーメーション)、つまり、ITの浸透が、人々の生活をより良い方向に変化させる可能性を「議論」するだけではなく、そろそろ、それを形として落とし込む組織を持ち、人員を確保して開発能力にまで踏み込まないといけないタイミングではないでしょうか。

202X URBAN VISIONARY

202X URBAN VISIONARY

齋藤精一氏(パノラマティクス)の呼びかけによって生まれたトークセッション。東京の大規模都市開発の中で、東急、森ビル、三菱地所、三井不動産など大手ディベロッパーとクリエイターが、未来の都市像を議論する。

正しさではなく、楽しさから、階段を上がっていく。

 情報環境の社会実装への階段の上り方として、もうひとつ、大事だと思っているのは、イベントやエンターテイメントの分野で、積極的にトライしていく、ということです。コモングラウンドのメリットや必要性をいろいろと言いましたが、正論では事は進まない。正しさだと、他の正しさを持ち込んで、批判する人が必ず出てきます。でも、楽しさって、否定できない。お前楽しんでいるけど、本当は楽しくないはずだ、みたいな話にはならない(笑)。正しさよりは楽しさの方が、物事は動かしやすくて、その楽しさの部分では、完全にゲーム業界が先行しているので、そこがいかに、「実空間があるからこその楽しさ」とつながるかに僕は今、一番可能性を感じています。

 楽しさという点では、ヒルズやミッドタウンのような商業施設が持っている価値のひとつもまた、楽しさ、ですよね。「DESIGN TOUCH」や「六本木アートナイト」のようなイベントもそうです。ちょっと乱暴かもしれませんが、単発のイベントであれば、多少失敗してもダメージは少ないし、予算もイベントの方が、つきやすかったりする......。表向きはイベントなんだけど、実はその裏に、研究者たちも絡んでいて、デジタルツインの実証実験になっている、みたいなことを、繰り返していく必要が僕はあると思っています。

 そういう意味でも、イベントがヒルズの広場でできる、とか、ミッドタウンの庭でできる六本木は、ノウハウを溜めやすい、抜群の立ち位置にいる。国も、ひとつの企業だけが利益を得るのはよろしくない、とか言っていないで、そこにどんどん補助金をつけていけばいい。デジタルツインの実証実験をやるんだったら、年間50億つけるから、国の研究機関も一緒に動けるようにするとか、そのくらいのほうが、社会は変わると思います。

撮影場所:Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2021《unnamed》(開催中~2021年11月3日)

取材を終えて......
携帯アプリで呼んだタクシーの位置情報をリアルタイムで確認し、オンライン会議やリモート取材が日常の一部になっているのに「リアルなモノと情報(デジタル)がシームレスにつながる未来」と言われると、はて、それは、私と関係ありますか? と身構えてしまう。けれど、もう、身構えている場合ではなく、情報環境の整備が一歩も二歩も進んだ先に、どんな社会を目指すのか。どんな価値を見出すのか。「自分事」として考える時代なんだな、と、改めて知る取材でした。豊田さんがコモングラウンドの実証実験の場として、千載一遇のチャンス、と言っていた2025年の大阪・関西万博まで3年ほど。新たな「体験」への入り口は、わりと、すぐ、やってきそうです。(text_tami okano)

前編はこちら

豊田啓介

豊田啓介 / 東京大学生産技術研究所特任教授 / 建築家
豊田啓介 / 東京大学生産技術研究所特任教授 / 建築家

1972年、千葉県出身。1996~2000年、安藤忠雄建築研究所、2002~2006年、SHoP Architects(ニューヨーク)を経て、2007年より東京と台北をベースに建築デザイン事務所 noiz を蔡佳萱と設立、2016年に酒井康介が加わる。2020年、ワルシャワ(ヨーロッパ)事務所設立。2017年、「建築・都市×テック×ビジネス」をテーマにした領域横断型プラットフォーム gluonを金田充弘と設立。コンピューテーショナルデザインを積極的に取り入れた設計・開発・リサーチ・コンサルティング等の活動を、建築やインテリア、都市、ファッションなど、多分野横断型で展開している。2025年大阪・関西国際博覧会 誘致会場計画アドバイザー(2017年~2018年)。建築情報学会副会長(2020年~)。大阪コモングラウンド・リビングラボ(2020年~)。2021年より東京大学生産技術研究所特任教授。

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