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INTERVIEW
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佐藤可士和アートディレクター Kashiwa Sato / Art Director
Kashiwa Sato / Art Director

あなたは六本木をどうデザイン&アートの街にしますか?

インパクトのある巨大なアートでアートやデザインが嫌いな人からも関心を集める。

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update_2012.10.03 photo_taro hirano / text_tami okano / edit_rhino

企業をはじめ幼稚園のブランディングや、病院のプロデュースまでを手掛けるアートディレクターの佐藤可士和さん。話しを伺ったのは今年5周年を迎えた〈国立新美術館〉で、ロゴマークやサイン計画を手掛けたのも佐藤さんだ。著書には、超整理術、デザインペディア、クリエイティブシンキングといった言葉が並び、問題をロジカルに解決していく佐藤可士和流「デザインの考え方」は幅広い分野から頼りにされるところ。では、佐藤さん、六本木をアートとデザインの街にするには、どうしたらいいでしょう?

まずはインパクトから考える。

 僕はブランディングやコミュニケーションの仕事をしているので、いつも「インパクト」について考えているんです。六本木をデザインとアートの街にしていくのだとしたら、分かりやすくて「インパクトがあること」をいかに起こすか、ということをまず考えた方がいいと思うんですね。

 たとえば〈六本木ヒルズ〉や〈東京ミッドタウン〉のような大きな施設の建物をそのままアートにする。現代アートの作家でクリスト&ジャンヌ=クロードという人たちがいるのですが、彼らはパリのポン=ヌフ橋やベルリンの帝国議会議事堂といった大きな建造物をまるごと布で「梱包」してしまう。その作品を世界中からたくさんの人が見に行くんですね。建物をまるごと扱うようなスケールでも、他にもっと、いろいろとアイディアはあると思うんですけど、とにかく大きいもの、バカデカイって言ったほうが伝わりそうなくらい巨大なものがいい。

クリスト&ジャンヌ=クロード

クリスト&ジャンヌ=クロード

夫婦で活動をしている美術家。過去にはドイツの国会議事堂を布で包んだこともある。写真は1968年、2,430平方メートルの布地をスイスのベルン市美術館を包んだ作品。2009年11月18日惜しくもこの世を去ったジャンヌ=クロードを追悼するため、21_21 DESIGN SIGHTで特別展「クリストとジャンヌ=クロード」展が開催されたのは記憶に新しい。

空から見ても分かるスケール。

 現実的に可能なのかは置いておいて、〈国立新美術館〉の建物に巨大な人物が腰掛けているとか、〈六本木ヒルズ森タワー〉に大きな何かが掴まっているとか。遠くから見ても分かるものがいいと思う。上空から見たら怪獣か何かが街にいるみたい! っていうだけでもインパクトありますよね。そこに現れるものが安っぽい偽物ではなく、作品としてのクオリティも高いものだったら面白いんじゃないかな。

 人間って巨大なものに惹かれるところがありますよね。お台場に等身大のガンダムがあると、たくさんの人が見に行く。〈スカイツリー〉だって巨大なオブジェとして見に行っているとも言える。そういう分かりやすいインパクトによって、お台場に興味がなかった人の目もお台場に向かせることができたり、スカイツリーの周りの街も話題になったりする。つまり「関心のない人たちに関心を持ってもらう」ためには、インパクトが必要だということでしょう。

関心が集まらないと何も始まらない。

 やっぱり関心が集まらないと、盛り上がらないですよ。ブランディングや広告の仕事をしている実感から言っても、何らかの形で注目されないと、何も"コト"が起きない。そして、その「関心を集める」ということは、簡単なことではない。大事なのは「業界の外側」に向かっていくこと。ファッションから自動車、食品など、さまざまな分野で仕事をさせていただいていますが、それぞれの業界の外側に飛び出すようなインパクトがなければ決してニュースにはなりません。

 ですから六本木をアートやデザインの街にしたいのなら「アート界やデザイン界」を飛び出して一般的な社会事象として魅力的に見えるようなことじゃないとダメだと思います。アート=分からないもの、デザイン=表面的なもの、という誤解もまだまだ少なくないでしょうし、たぶん、アートやデザインなんて嫌いだっていう人だって多いと思うんです。それは業界の内側に向かってしか発信してこなかったからかもしれない。六本木という場所で、もっと多くの人とアートやデザインで盛り上がろうと考えるなら、「アートなんて嫌いだ」っていう人にこそ面白いと思ってもらえるようなことをやらなければならないですよね。

佐藤可士和

コンテンポラリーアートの面白さ。

 ひとことでアートと言っても一括りにはできなくて、僕が好きなのはコンテンポラリーアートです。その面白さは「ロールプレイングゲーム」みたいなものでしょうか。ロールプレイングゲームは、ある「大きな物語」を辿ってこそ楽しめるゲームですが、コンテンポラリーアートも作品単体の魅力だけではなく、背後にある時代や歴史も含め、たくさんの作家が積み重ねてきた「コンテンポラリーアートのコントラスト」をある程度分かってこそ楽しめるものだと思います。

 「現代美術」という大きな文脈の流れの中で、それぞれの作家がまた新しい文脈を提示する。たとえば、アンディ・ウォーホルや彼の作品がなぜ生まれたのかを知っていると、ジェフ・クーンズやダミアン・ハースト、村上隆の作品もより深く楽しめる。コンテンポラリーアートに関心を持つということは、そこに存在するルールを知り、自らもそこに参加しているような面白さがあります。

舞台となるマーケットを広げる。

 コンテンポラリーアートというロールプレイングゲームの舞台は、ニューヨークです。アートに強い都市は他にもありますが、コンテンポラリーアートに限って言えば、中心は明らかにニューヨークですね。もし六本木がその舞台の中心になりたいと思っても、難しいでしょうね......。それはエリアの問題だけではないんです。ギャラリーがいくらあっても成り立たないし、作家がいるだけでもキュレターがいるだけでも解決にはならない。それらすべてに加え、コレクターがいないとダメですよね。

 ニューヨークにはコンテンポラリーアートがビジネスとして回る仕組みやマーケットがはっきりある。日本にマーケットがないとはもちろん言いませんが、小さいですよね。その意味でも、先ほど言った「インパクトで関心を集める」ということが大切になってきます。関心が集まらないとマーケットも広がりようがないのです。

 ビジネスの軸でだけ語る気はありませんが、やっぱり人も物もお金も集まらないとクオリティも上がらず面白くならないのです。たとえば〈国立新美術館〉の上に座っている巨大なアートが実現したとして、それを見た企業や人がスポンサーになると手をあげて、また新たな試みが六本木で始まる、というような連鎖反応が起きたらいいですよね。

ガンダムフロント東京の機動戦士ガンダム

ガンダムフロント東京の機動戦士ガンダム

2009年、お台場の潮風公園に登場し、大きな反響を生んだ実物大ガンダムの立像。現在は「ダイバーシティ東京 プラザ」にて見ることができる。(2012年10月3日現在)

企画よりも純粋な「掴み」が出発点。

 先ほど「バカデカイくらい巨大なもの」と言いましたが、関心を持ってもらうためのインパクトって、そういった身も蓋もないようなものから僕は探していきますね。大きなものだけじゃなくて、極端に小さなもの、ものすごい派手だったり、ものすごい整然としていたり。難しいことをいろいろと理解しなくてもパっと目に入ってくるくらいシンプルなものでないと強いコミュニケーションは生まれない。いわば「掴み」ですよね。その掴みができればベースの80点くらい採れて、あとは細心の注意を払ってディティールを完成させていく。そのバランスが大切だと思っています。

 それは「企画が面白い」というのとも違います。企画以前のコンセプトが最も重要。コンセプトとは、何をするのかという大きな目的であり、狙いであり、そのプロジェクトにおけるキーワードでもある。ですから最初の「純粋な掴み」がコンセプトそのものになっていることもあります。

佐藤可士和

何度行っても発見のある街。

 僕は東京生まれの東京育ちなので、東京という都市には思い入れも愛着もあります。東京には六本木があって青山があって銀座、新宿があって......、それぞれの街ごとに顔が違う。それがとても面白いと思うんです。ちょっと離れると違う顔があるという街には、また行きたくなります。ニューヨークも表面的にはあんなに小さいのに、ダウンタウンとアップタウンでは全然雰囲気が違い、何回行っても発見があります。

 世界の都市の中でニューヨークが好きとか言ってしまうと、話しとしてはつまらないのですが(笑)、でもやっぱり面白いですよね。情報も豊富だし、どんどん変わる。東京もそうですが、1年後にまた行っても新しく見るものがあって、絶えず新しい何かが起きている。

都市におけるソフトの新陳代謝。

 デンマークのコペンハーゲンも好きな都市のひとつなのですが、毎年行こうとは思わないですね。古い建築とモダンな建築が融合している街全体は美しく、すごくセンスを感じます。どこに行っても光がとてもきれいですしね。でもそれは、1年後も変わらない、ある意味完結した魅力だと感じています。もちろんその不変の美しさが街の魅力であり、パリをはじめ多くのヨーロッパの街の美しさの本質でもあります。

 一方ニューヨークは、ミュージカルの演目やギャラリーの展示も変わり、本屋やカフェも刻々と入れ替わっている。ハードではなくソフトの話にはなりますが、行けば、未体験の何かが必ずある。僕にとってまた行きたいと思う街は、そういった新陳代謝のある街なのです。

デザインを世の中がよくなる力に。

 デザインとは問題を解決する手段だと思っています。いろんな企業や業界と仕事をさせていただいていますが課題はそれぞれ違います。だからこそやりがいがりますし、結果が出れば嬉しい。今後は、ひとつの企業のためのデザインとは別に、もう少しパブリックな仕事にも力を注いで行きたいと思っています。デザインやクリエイティブの力を、少しでも世の中がよくなることのために使っていきたいし、社会にもっとダイレクトに関われるといいなと思っています。

 今、「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」の理事をしています。細川護熙先生と横浜国立大学の宮脇昭名誉教授が設立された財団法人で、被災地の沿岸部に、東日本大震災で出た瓦礫を活用して土台をつくり、そこに植樹して300〜400kmにわたる森の防波堤をつくるという壮大なプロジェクトです。僕は活動のアイコンとなるビジュアルやウェブなど、コミュニケーションの部分を主に担当していますが、より多くの人々に関心を持ってほしいと願いながら活動を続けています。

瓦礫を活かす森の長城プロジェクト

瓦礫を活かす森の長城プロジェクト

2012年5月25日に発足。震災瓦礫を単なる「ゴミ」や「廃棄物」ではなく、その土地の方々の生活の形見、大切な思い出の品として捉え、有効な資源として活用するプロジェクト。

スポーツ選手はスポーツは素晴らしいという意識がきっとベースにありますよね。音楽家は音楽の力を信じているでしょうし、スポーツや音楽が素晴らしいということは、みんなの中にもある。それと同じように、僕はクリエイティブの力を信じていて、その力をできるだけ最大化したいと思っています。それがよりパブリックなことであったり、日本の優れたコンテンツをグローバルに発展させることの一端を担うことにつながっていれば、とても嬉しく思うのです。

取材を終えて......
コンテンポラリーアートを愛する佐藤さんが、その中心地であるニューヨークと現在の六本木を比較したりと、とても明確で実現したら楽しいアイデアを伺えました。様々なフィールドで活躍されている佐藤さんの話す、インパクト(つかみ)の重要性も考えさせられました。(edit_rhino)

佐藤可士和

佐藤可士和 / クリエイティブディレクター
佐藤可士和 / クリエイティブディレクター

1965年東京生。
多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。
株式会社博報堂を経て2000年独立。同年「SAMURAI」設立。
ブランド戦略のトータルプロデューサーとして、コンセプトの構築からコミュニケーション計画の設計、ビジュアル開発まで、強力なクリエイティビティによる一気通貫した仕事は、多方面より高い評価を得ている。
グローバル社会に新しい視点を提示する、日本を代表するクリエイター。
主な仕事に国立新美術館、東京都交響楽団のシンボルマークデザイン、ユニクロ、セブン-イレブン、楽天グループ、今治タオルのブランドクリエイティブディレクション、ふじようちえん、カップヌードルミュージアムのトータルプロデュースなど。
近年は武田グローバル本社、日清食品関西工場など大規模な建築プロジェクトにも従事。
文化庁文化交流使(2016年度)として、日本の優れた商品、文化、技術、コンテンツなどを海外に広く発信することにも注力している。
著書に『佐藤可士和の超整理術』(日経ビジネス人文庫)、『聞き上手話し上手 38の可士和談議』(集英社)、『佐藤可士和の打ち合わせ』(ダイヤモンド社)ほか多数。
毎日デザイン賞、東京ADC賞グランプリ、東京TDC賞金賞、朝日広告賞グランプリ、亀倉雄策賞、日本パッケージ大賞金賞、D&AD Awards 2019、全広連日本宣伝賞山名賞ほか多数受賞。
公式サイト: kashiwasato.com

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