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INTERVIEW
07
中山ダイスケ × 古田秘馬アートディレクター × プロジェクトデザイナー Daisuke Nakayama × Hima Furuta / Art Director × Project Designer
Daisuke Nakayama × Hima Furuta / Art Director × Project Designer

あなたは六本木をどうデザイン&アートの街にしますか?

若い人がもっと自由に住める街にしたい(中山) 人が人と出会える街の魅力を大切にしたい(古田)

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update_2012.07.18 photo_taro hirano / text_tami okano / edit_rhino

現代美術作家として世界的な評価を得る傍ら、商業空間などのアートディレクターとしても活躍する中山ダイスケさん。その中山さんが、六本木について考えるならぜひ、と対談相手に選んだのが六本木生まれの六本木育ち、今もこの地にある実家を活用して活動するプロジェクトデザイナー、古田秘馬さんでした。実家の一部を改装し、農業実験レストラン「六本木農園」を始めた古田さんは、まさに、次世代の六本木を担うキーパーソンのひとり。対談は、普段から中山さんも通っているというその「六本木農園」にて行われました。

六本木はカオスのような現代版・出島。

古田ここはアートとデザインの街です、って、その街が自ら言うことじゃなくて、周りから言われる話だろうと思うんですよね。だって「僕、イケメンです」って、自分で言わないでしょ。周りから「あの人、イケメンだよね」って言われてそういう立ち位置になったりするわけで。僕はアートもデザインも好きだし、六本木住民としては格好のいい街にしたいという気持ちはもちろんあるけど、街のイメージを上から載っけるのは、違うと思うんですよね。

 それって、ある地方自治体に行って「ここは栗が有名だから栗の町にしよう」と、いきなり決めちゃう感じに似ていて、住んでいる側からすると、誰のために「アートとデザインの街」にするのか。来る人のためなのか、住んでいる人のためなのか、それとも、将来ここで仕事をする人のためなのか、いろんな角度での考え方があると思うんですね。

中山アートとデザインというのは今、街のつくり方の教科書のようになってしまっていて、むしろ特徴を失っていますよね。分かりずらいものをアートに喩えると、何となく面白いイベントになるし、ちょっと変わった人をアーティストと呼んでしまえば、何となく面白い人が集まっている的な。

 でも六本木って、もともと面白いことも変わっているものも既に地盤としてあるような気がするんですね。外国の人がいっぱいいて、飲み屋街には多様な「俗」がちゃんとあって、混沌としているから、そのエナジー自体がむしろ、アートかもしれない。

古田そうですね。やっぱり六本木は多様性のある街だと思うんですよね。何でもありみたいな。だから僕は、六本木は「現代版・出島」だと思っているんです。江戸時代の、出島だった頃の長崎ってきっとカオスだったし、海外からいろんな人たちも来ていたし、坂本龍馬のような若者も皆そこで刺激を受けた。いろんなものがあって、いろんな人たちが住んでいて、そこに大人のユーモアや遊びがある。そういう意味では、長崎は当時の「デザインとアートの街」かもしれない。

中山「出島」って表現はうまいね。だったら六本木はいっそもっと国際化しちゃうというのもありだよね。夜遊びたい海外からの観光客だけではなく、外資系の企業の人たちや海外からの留学生が普通に住んでくれたらいいのかもしれない。

住んでいる人から沸き起こるエネルギー。

中山六本木が「デザインとアートの街」であるという要素はもう既に揃っていると思うんです。昔は「WAVE」もあったし「AXIS」もあって、ヒルズができて、ミッドタウンができて、「森美術館」も「21_21 DESIGN SIGHT」も、「サントリー美術館」も「国立新美術館」もある。街の面積に対するアート関係の施設の面積でいえば、たぶん国内でも上位でしょうし、外からはもうとっくに、デザインとアートの街と見られているはずなんです。

国立新美術館

国立新美術館

2007年に「森の中の美術館」を建築のコンセプトに開館した、国内最大級の美術館。設計は黒川紀章氏が行い、ロゴデザインは佐藤可士和氏によるもの。館内にはミュージアムショップ「スーベニアフロムトーキョー」や、3つのカフェに1つのレストランもある。
東京都港区六本木7-22-2

でも、来ているのはほとんど外の人。街の人が外からのお客さんを受け入れることばかり考えると、商売としてここにいることになってしまう。本当に面白いのは、住んでいる人から湧き起こってくるエネルギー。六本木の住民がよく行く近所の公園がミッドタウンの芝生広場だった最高だし、いつも絵を見に行く場所が「国立新美術館」だったらいいよね。

古田もっと六本木が日常になって欲しい。六本木全体がひとつの美術館みたいに捉えられてしまうと、非日常の場としてアートを観て、デザインを学んで帰るだけになってしまう。今、非日常の豪華さよりも、日常の充実のほうが価値がある時代ですよね。「リア充」なんて言葉もあるけど、3.11以降は特に、本当の意味で皆がそれを求めている。

 仕事で地方の離島に行くと、漁師のおじさんたちのほうが格好いいな、と思うことがあって、それは単に懐かしいとか、田舎がいいとかじゃなくて、ちゃんと「彼らの生活の中にデザインが組み込まれている」格好よさだと思うんですね。六本木には建物は沢山あるけれど、そこに生活があるのか、その生活にちゃんと周りの環境が組み込まれているのかというと、ギャップがまだまだあるなという気がします。

中山ダイスケ×古田秘馬

何が建とうがビクともしない強さ。

中山ここ「六本木農園」も、実際に住んでいる人がやっているから面白いんだよね。秘馬君自身が、緑が見たい、美味しくてきちんとしたものが食べたいということで始まったものが、外から見て特別なものになっている。だから、街おこしというよりも、それぞれが自分おこしをしていったら、面白い街になっていくのかもしれない。

古田六本木は今、過疎化しているんです。ビルが増えて人口統計的には増えているけど、商店街の人も長く住んでいる地元の人はほとんどいないですからね。若い時にここで稼いで税金は納めるけど、老後にはいなくなるから福祉の税金を一番使わないのも港区、という状況。人と人が繋がって、六本木に長く住みながら面白いことをするプレイヤーがもっと増えないとね。

中山僕が街として好きなのは6年住んだニューヨークで、その中でもチャイナタウンとかトライベッカのあたりの外れた感じが好きなんですけど、そういう意味では、日本では麻布十番が好きです。何が建ってもびくともしない、あの下町感。いまだに十番祭りとかやってて、十番みたいな強さが六本木にもあるといいのかな。こちとら何年商店街やっていると思っているんだ、という。

古田人の顔が見える街だからいいんですよ。十番は僕らの買い物の場です。

中山秘馬君からすると、六本木に含まれるんだ、十番は。

古田うん、六本木。僕らの商店街といったら麻布十番ですよ。おもちゃだったら、シミズ屋の清水のおじちゃんのところに行っていたし、小学校の運動会でクラス対抗に勝つと、出るのは必ず浪花家総本店のたい焼きだった。しょっちゅう行っていた釣り堀のおじちゃんが今は六本木ヒルズ自治会の会長をやってます。

浪花家総本店

浪花家総本店

表面は香ばしく焦げた薄い皮がパリッとした食感を生み、ほどよい甘さの小豆が大人気の老舗たい焼き店。店内には飲食スペースもあり、夏の暑い日に冷房がない店内で食すかき氷や氷ラムネは格別です。
東京都港区麻布十番1-8-14

都市生活の工夫が随所に見られる街。

中山六本木は都会としては飽和状態でもあると思うので、その狭いエリアに昔から住んでいる人たちの工夫とか、地域の人たちが集まって自発的にお祭り的なバザーが始まるとか、そういう「都市生活の工夫」みたいなことが随所に見られると、「街の住み方をデザインしている」ということになるので、ほんとうの意味でのデザインの街と言えるんじゃないでしょうか。

 あと、さっきの「出島」で思い出したんだけど、僕は街にゲートをつくって欲しいんです。六本木だと思って歩いていたら知らない間に青山になっちゃう、っていうのが嫌で、中華街のようにゲートをつくって欲しい。

古田六本木の西門、東門みたいな?

中山そうそう。小さく囲って、その中のルールを決めていくというのが意外といいのかなと。そうすると、ゲートの内側と外側で街の色を変えていけるんじゃないかと思うんですね。「ああ、ここから六本木だ」って芋洗坂を上がっていくときにするんですけど、あのワクワク感が好きだから、芋洗坂の入り口に六本木の門をつけてくれたら楽しいのに。空に向かっていろんな建物が建ったけれど、そんなに上ばかり人は見上げないわけで、地面の目線で街に表情つけていくことも大事だと思います。

中山ダイスケ×古田秘馬

六本木は住みやすい街。人と人が繋がることが大事。

古田ここに住む者として言うと、六本木は相当住みやすい街だと思いますよ。公園もたくさんあるし、食べ物いっぱいあるし、とにかく、どこに出るのも便利。静かな場所がいいって思うんだったら、旅に出ればいい。オンとオフのどちらも持つという意味では、六本木はオンでいるにはすごくいい場所かなと思いますね。

 だからやっぱり、もっと若い人が住める街になって欲しいかな。ダイスケさん、ニューヨークに住んでいたでしょう? 僕もニューヨークにいて、ニューヨークも地価が高いところにはお金持ちがいっぱいいるんだけど、同時に若い子たちも住める場所もあって、そのふたつが共存できているのが面白い。

中山そうなんだよね。たとえばビルを開発する時には、必ず同じ分量の学生が住める小さいアパートも建てる、っていう決まりにするのはどう? シェアハウスとか今までとは違う住み方もあるし、学生時代に街の真ん中に住むことの良さってあると思うんです。今は田舎の子が田舎にいるまんまでよくて、外の世界を見ようとしない傾向がある。

古田実際に田舎は豊かだからね。インフラはほとんど整備されているし、買いたいものは何でもネットで買えるし。都市が物質的な魅力をどんどん高めたところで、もうそれが価値にはならない。それよりも偶然性があったりだとか、いつもは出会わない人に出会えるってことの方が重要でしょう。

 結局は人なんですよね。人と人が繋がる、繋ぐ。そこからしか何も始まらないので、アート作品を作家がつくるとか、デザインで格好いい街にするとかの前に、「人がどう出会う場所なのか」というのが六本木を考えるときにも一番大きなテーマになると思います。

六本木農園

六本木農園

ここ「六本木農園」は、日々産地から届けられる新鮮な食材を中心とした、農業の魅力が伝わるメニューが豊富の"農業実験"レストラン。農業のすばらしさを様々な方法で伝えてくれる、一風変わった場所なのです。
東京都港区六本木6-6-15

もっと分けて考えよう。ちゃんと細かくして届けよう。

中山若い人が住める街っていう話しに戻るんだけど、僕が六本木で何をする?っていう問いに答えるとすると、学生アパートをつくってみたい、というのが結論かなと、話しをしていて今思いました。ここに住んで、地方の大学に通うみたいなスタイルを可能にする場所。たとえば六本木から八王子の美大に通って、また帰ってくるという。

古田僕そうでしたよ。高校時代にサッカーやってて、毎日六本木からベルマーレのある平塚まで行って、終電でまた六本木に帰ってくるという。

中山あ、サッカー......、Jリーグのチームつくる? 六本木で。東京のど真ん中にみんなが応援するクラブチームがあっても面白いかもね。FC東京があるけど。

 東京って、「東京○○」って言ってこの広いエリアを全部カバーするのはズルイという気がする。野球でも「東京ジャイアンツ」って言っちゃうと、一緒くたにされちゃう感じがあって、正確には「文京区ジャイアンツ」だよね、みたいな(笑)。

古田分けたいよね。分けたい。これは普段から思っていることなんですけど、これからは統合と細分化、その両方が進むと思うんですね。今までバラバラだったものが統合されていくし、今まで1つだと言われているものが、どんどん細分化されていく。

 たとえば学びの場では、今まで「数学」と「国語」と分かれていたけれど、「数国語」みたいに、ひとつになったものが出来てくるだろうし、「東北」とひと括りに言われていた場所も、それぞれのアイデンティティーをもっとはっきりさせて細かく分けて見ていく、みたいなことが起きてくる。

中山そうですね。僕もいろんな局面でそう感じることが多いですね。最近「もっと分けて考えよう」とよく会議で言っています。大きく捉えすぎて届かないプロジェクトが多いので、しつこいぐらい細かくしていって、ちゃんと届けるというのが大事だな、と。

古田今までは効率優先で全部まとまっているほうが良いという考えだったけれど、今はスーパーマーケットじゃなくて、魚屋で魚買うとか、肉屋でおじちゃんから美味しい肉を買うほうがいい。効率が良くなる=人のモチベーションが上がる、ではない。便利になればなるほど、矛盾を起こしていく。農業だって、昔は東京にだって畑がいっぱいあったのをどんどんビルにしていった結果、「六本木農園」が特別になったりしている。

 バランスなんだと思います。僕はここに住む者として単純に、六本木に足りないものは何だろう? と考えたときに、庭だとか緑だよな、農業だよな、と。バランスをとっているだけの話なんです。都市だから一切自然の実りもなく、全部機能だけでいいというわけではないですから。

取材を終えて......
UEFA Euro 2012の決勝戦があった取材当日の朝に行われた今回の取材。お二人とも、眠そうな眼をこすりながら、六本木の未来を変えるアイデアを考えてくださったのが印象的でした。古田さんが話す「六本木は過疎化している」というお話は、スタッフ一同ビックリです。(edit_rhino)

中山ダイスケ

中山ダイスケ / アートディレクター
中山ダイスケ / アートディレクター

1968年生まれ。武蔵野美術大学中退後、武器をモチーフにした過激なインスタレーション、手法にとらわれない斬新な表現力が国内外からの注目を集める。97年より6年間 NYに滞在、98年台北(台湾)、2000年光州(韓国)、リヨン(フランス)ビエンナーレ日本代表作家に選出される。舞台美術デザイン、店舗のアートディレクション、コンセプト考案など、近年は様々なジャンルとのコラボレーションも手掛ける。02年より東京で活動。東北芸術工科大学情報デザイン学科教授。ダイコン(dnSTUDIO)代表。

古田秘馬

古田秘馬 / プロジェクトデザイナー
古田秘馬 / プロジェクトデザイナー

東京都生まれ。慶応大学中退。1999年に様々なジャンルの若手を描いたノンフィクション作品「若き挑戦者たち」を出版。その後、雑誌ポカラのプロデューサーを務める。 2000年と米、NYにてコンサルティング会社を設立。02年より東京に拠点を戻す。現在は、山梨県・八ヶ岳南麓の『日本一の朝プロジェクト』、東京・丸の内の『朝EXPO in Marunouchi』、北海道での地域映画プロジェクト、歌舞伎のブランディングなど、数多くの地域のプロデュース・企業ブランディングなどを手がける。

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