TOTOギャラリー・間では、11月29日(日)まで「ラウムラボア・ベルリン展:Water Works - in the Flow of Making」を開催中です。四半世紀にわたるコレクティブの「水」のプロジェクトと、東京での新たな試みを体感できる展覧会です。

1999年結成のラウムラボア・ベルリンは、建築家やアーティスト、パフォーマーら9名からなるコレクティブです。ベルリンの旧テンペルホーフ空港跡地にある雨水貯留池を学びの場へと変えた《フローティング・ユニバーシティ》で、2021年にヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞を受賞しました。今回は、フランチェスコ・アプッツォ氏、ベンヤミン・フェルスター=バルデニウス氏、アクセル・ティム氏の3名が来日しました。

3階会場の大作ドローイングは、ドイツで作品集を印刷した際に出たアルミ製の刷版(さっぱん)を再利用し、南蛮屏風に着想を得て描かれました。右から左へと視線を移すと、東京の街並みから《フローティング・ユニバーシティ》までが時空を超えてつながり、上部の雲を通してひとつの世界へまとまっていきます。水をめぐる環境への問いもにじむ一枚です。

本展に先立ち、芝浦工業大学建築学部の学生40名と豊洲でワークショップを実施しました。敷地を地盤ではなく水面と捉え、彼らが日本で出会った竹などでバージ船の上に「アメンボ丸」を制作。運河へ繰り出すパフォーマンスを行いました。

壁面には、その写真とともに行政への許可申請書も並びます。地味に見える手続きも、現実の都市を動かす建築的プロセスだというわけです。

中庭の体験型装置では、水の循環を体感できます。益子の粘土で自由に造形したあと、手を洗うと、泥で濁った水が3段の水槽を伝って流れ落ち、泥が沈むにつれて澄んでいきます。きれいになった水はポンプで手洗い用に戻され、循環し続けます。

4階では、過去のプロジェクトを、写真や映像で詳しく紹介しています。展示パネル支える構造体は竹製。割り箸を活用した独自のジョイントは、現場で手を動かす試行錯誤から生まれました。

青いプラスチック製の物流コンテナは、豊洲市場の仲卸業者で使われなくなったものを再利用しています。サステナビリティを掲げつつプラスチックに頼る現代社会の矛盾を、あえて隠さず提示する狙いです。

壁面の写真には、人物を排除しがちな一般的な建築写真と異なり、多くの人々や鳥などの動物が写ります。重視するのは建物の形ではなく、人々がどう活動し空間を生きているか、そして土地の生態系まで含めた営みです。

完成した建築を鑑賞するだけにとどまらず、都市や社会のあり方を身体的かつ能動的に問い直す本展。水という身近な存在から立ち上がるユーモアと熱量に満ちた空間は、あらゆる世代に新しい視点を与えてくれます。常識を心地よく解きほぐす実験的な建築実践の世界へ、足を運んでみてはいかがでしょうか。
編集部 齊藤
「ラウムラボア・ベルリン展:Water Works - in the Flow of Making」
会期:2026年9月10日(木)~11月29日(日)
開館時間:11:00~18:00
休館日:月曜日・祝日
入場料:無料
会場:TOTOギャラリー・間
主催:TOTOギャラリー・間
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://info.jp.toto.com/gallerma/ex260910/top/index.htm
