2026年10月16日(金)から11月4日(水)までの期間、東京ミッドタウンにて秋のデザインイベント「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026」が開催されています。2回目となる今年のテーマは「みつめる」です。情報が溢れる現代において、じっくりと何かを「みつめる」体験を通じて新たな思考や創造に出会うことを提案しています。
プレス内覧会では、クリエイティブディレクターを務めるグラフィックデザイナーの佐藤卓氏が登壇しました。佐藤氏は「デザインとは"あいだ"をつないでいるもの」と語り、日常の当たり前の中に潜む工夫に気づく面白さを強調。その思想を表現したブルーグリーン基調のシンボルマークには、一部のラインが少しはみ出ているような、一見「間違いかな?」と思わせる小さな遊びが仕掛けられており、来場者が思わずじっくりと「みつめる」視線のきっかけとなるよう意図されていると説明しました。

続いて、「DESIGN LIVE EXHIBITION」のキュレーションを担当したデザインジャーナリストの土田貴宏氏が登壇。近年海外で広まる実験的なコレクティブ・デザインの潮流に触れつつ、「デザイナーが観察やリサーチを通じてみつめたプロセスが作品となり、それが来場者のみつめる対象になります。作品に引き込まれて鑑賞することで、デザイナーの視点を追体験してほしいです」と語りました。

屋外の芝生広場では3組のクリエイターによる作品が展開。片野晃輔氏と西尾耀輔氏による造園家ユニットveigと本多沙映氏は、「身近な植物や庭を本当に見つめているか」という問いかけから発想された《世界のふるまいをみつめる》を出展しています。

登壇した片野氏は、作品を構成する3つのアプローチを紹介。そのうちの「対象を見つめる」は、ベンチに座ると、人工植物と視線が合う仕掛けです。植物の屈光性(光に向かう性質)になぞらえ、人に買われ・愛されたい人工物が人間に愛嬌を振りまいている様子を表現したと説明しました。本多氏は「各作品にはミッドタウンの庭の風景を観察して作った俳句を添えています。人工と自然が混ざり合う景観をニュートラルに観察して楽しんでいただけたら」と呼びかけました。

狩野佑真氏による《ForestBank|Made in TOKYO MIDTOWN》は、建築材に使われない小枝や葉、木の実、土などを水性アクリル樹脂で固めて削り出し、森の豊かさを再現するマテリアル開発プロジェクトです。

狩野氏は「今回はミッドタウンの敷地内で剪定された枝を自ら採取して素材に組み込みました」と語ります。芝生広場は、剪定枝入りのスツールや丸太スツール100本が並ぶエリア、円内に敷き詰められた剪定枝のエリア、1.5トンの巨大丸太のエリアという3つの構成で展開され、木の質感や重みをダイレクトに体感できます。

デザインスタジオTAKT PROJECTの吉泉聡氏が手がける《関係のレッスン - Dialogue with Trees -》は、敷地内の樹木を3Dスキャンし、枝先に白い3Dプリントパーツを設置した作品です。

着想の根底には、山形県の伝統工芸「削りかけ」の手仕事で感じた「素材との対話」があると語る吉泉氏。「作るとは一方的にコントロールすることではなく、対象と向き合い関係性を結び直すことです」と話し、3Dスキャンなどのテクノロジーを自然と深く繋がるためのツールとして使い、樹木との新たな対話の形を提案しています。

さらに、ガレリア館内では以下16組のクリエイターによる多彩な作品が展示されています。
・Akasaki & Vanhuyse《Carré》
・NAO IWAMATSU《FLIGHT》
・カルデイラ エリナ《NAWA コートスタンド》
・金森由晃《情景 -scene (or memory)- danchi #7,#8》
・河内尚子《杉の台》
・HIROAKI KAWANAMI《SLATE CRATE》
・ビューリー薫ジェームス《Ceiling》
・横田純一郎《Toi》
・studio monoya《Matter / Brick》
・高山芳の《Pippin》
・辰野しずか《木に刻まれた時間》
・寺山紀彦《Artificial and dried flowers that were arranged》
・DAISY BALLOON《Weaving Structure》
・畠中美緒《Spirale》
・春江紗綾(tog)《Still Staring》
・横関亮太《Sheet light》

週末の体験型コンテンツ「DESIGN LIVE MUSIC」では、芝生広場にてフリーライブが開催されます。グラフィックデザイナーの川尻竜一氏がDJブースを、山口央氏が演奏ブースのデザインを手がけており、デザイナーを単なる裏方ではなく表現者としてフィーチャーしています。

ミッドタウン・ガーデンには、建築家・永山祐子氏がデザインし、ジャクエツが主催する大型インスタレーション《うみのハンモック》が4年ぶりに凱旋。「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2022」で初公開された本作は、廃棄漁網をアップサイクルして海洋ごみを循環させる取り組みです。各地の巡回と製品化を経て、原点である東京ミッドタウンへと帰ってきました。

同時期開催の「六本木アートナイト2026」とのコラボ作品として、アーティストの柴田まお氏による《Camouflage Prints》も登場。自然界の迷彩構造を取り入れ、「見る」行為そのものを問いかけています。

屋外の開放的な空間から館内まで、多角的なアプローチで「みつめる」きっかけを与えてくれる本イベント。日常の風景を少し違う視点から見つめ直し、デザインの新たな可能性を感じられる心豊かな時間を、ぜひ東京ミッドタウンで体験してみてはいかがでしょうか。
編集部 齊藤
「TOKYO MIDTOWN DESIGN LIVE 2026」
会期:2026年10月16日(金)~11月4日(水)
会場:東京ミッドタウン各所
主催:東京ミッドタウン
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.tokyo-midtown.com/jp/event/designlive/
