サントリー美術館では、11⽉8⽇(⽇)まで「逸翁美術館コレクション 蕪村・呉春と茶の湯の名品」が開催中です。阪急東宝グループ(現・阪急阪神東宝グループ)の創業者として知られる実業家・⼩林⼀三の雅号「逸翁」を冠して設⽴された逸翁美術館から選りすぐりの名品が⼀堂に会し、逸翁の多⽅⾯での業績と進取の気⾵に富む⼈間性を反映しています。
逸翁が収集したコレクションには重要⽂化財も少なくありませんが、その⼀つが《豊⾂秀吉画像》。没後に神格化され多数制作された「豊国⼤明神画像」の元となった貴重な画稿で、皆が知る秀吉像のオリジナルと⾔える作品です。なお、逸翁が本作を購⼊したのは、この秀吉像が⾃⾝と似ていたからなんだとか。

俳諧を趣味とした逸翁のコレクションの中核を成すのが、与謝蕪村とその弟⼦であった呉春(松村⽉溪)の作品群。特に⾒逃せないのが、蕪村が敬愛してやまない松尾芭蕉の紀⾏⽂『おくのほそ道』を絵⼊りで写した俳画の集⼤成と⾔うべき代表的作品《奥の細道画巻》です。こちらの重要⽂化財を、今回は会期中巻替えをしながら全巻ご覧いただける貴重な機会となります。「旅⽴ち」から「平泉」までを収めた上巻は、10⽉12⽇(⽉)まで展⽰中です。

そして呉春が描いた重要文化財《⽩梅図屛⾵》は逸翁美術館を代表する屈指の名品。周囲を暗くした上でライティングも調整し、夜の情景を暗⽰するかのように藍⾊に染められた特殊な背景に、⽩い花を咲かせた梅の枝が闇から浮かび上がるような様がじっくりと味わえるよう⼯夫された展⽰⽅法も素晴らしいです。

旧来の伝統にとらわれることなく茶会を楽しんだ逸翁は、多種多様な茶道具を所有していました。その中でも有名な品の⼀つが、逸翁が⾃ら銘を付けた茶碗《五彩蓮華⽂呼継茶碗 逸翁銘「家光公」》。割れてしまった元時代の⾚絵が描かれた茶碗を呼継の⼿法で再⽣させたもので、巧みな修復技術に感⼼した逸翁が、江⼾幕府をうまく継いだ三代⽬将軍にかけて名付けました。

逸翁が⽀援した作家の⼀⼈、三砂良哉の作品も多数展⽰されています。《⿊地歌劇雛祭楽譜蒔絵棗 逸翁好》は、⿊漆塗の棗の蓋と⾝の合わせの部分に⾦平蒔絵で逸翁⾃作の歌劇「雛祭」の楽譜を描いたもので、逸翁が創設した宝塚歌劇の⼆⼗周年記念茶会で⽤いるために逸翁が良哉に作らせた独創的な茶道具です。

逸翁の⾮凡な感性と強い理念、遊び⼼は、彼の書からも感じ取ることができるでしょう。⼒強い⽂字が印象的な《藝⼜藝》は、⽇本舞踊家の花柳禄寿に贈った扁額で、芸の道に終わりはなく、⽣涯学び続けるのだという彼の教えに触れることができます。その横にある、逸翁の豊かな発想⼒とネーミングセンスが⽣んだ「むちゃくちゃ」「これ、なんちゅう字や」と読ませる《夢嫡茶》と《是楠忠辞乎》も必⾒です。

編集部 梅田
「逸翁美術館コレクション 蕪村・呉春と茶の湯の名品」
会期:2026年9⽉16⽇(⽔)〜11⽉8⽇(⽇)
※作品保護のため、会期中展示替を行います
会場:サントリー美術館
休館日:火曜日(11月3日は18:00まで開館)
開館時間:10:00~18:00(金曜日は10:00~20:00)
※10⽉31⽇(⼟)は六本⽊アートナイトのため 21:00 まで開館
※11⽉7⽇(⼟)は20:00まで開館
※いずれも⼊館は閉館の30分前まで
主催:サントリー美術館
協賛:三井不動産、⿅島建設、⽵中⼯務店、サントリーホールディングス
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2026_3/index.html
