21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、特別展「ザ・ペーパーログ:膜と核 ― イッセイ ミヤケによるアンサンブル・スタジオとの協業プロジェクト」を2026年9月13日(日)まで開催しています。イッセイ ミヤケ社の独自の加工技法「製品プリーツ」で生まれる副産物に新たな価値を見いだす企画で、スペインの建築設計事務所「アンサンブル・スタジオ」との協働による作品が日本初公開されています。

2026年4月のミラノデザインウィークでの発表を経て日本に上陸しました。今回の展示にあたっては、展示什器が一新され、作品の配置も質感際立つよう再構成されています。さらに、ミラノの展示には含まれていなかった、本展で新たに追加された作品も鑑賞できます。
ペーパーログとは、プリーツ加工の際に生地を保護する薄い紙をロール状に圧縮したものです。会場には、ロール状に圧縮される前の、実際に衣服を保護していた状態の紙も展示されています。淡い色彩や模様は、加工の際に自然に色移りしたものです。

アンサンブル・スタジオが手掛けた《膜(Shell)》は、ペーパーログから剥がした紙を自由に造形したり、既存のオブジェクトを覆ったりして作られた「記憶をもつオブジェ」です。硬化剤を施すことで紙の襞やシワ、折り目が結晶化されたかのようになっており、かつて衣服を包んでいた素材の形跡を永続的な存在へと定着させています。

一方、イッセイ ミヤケのチームによる《核(Core)》は、スツールや椅子、テーブルといった家具のプロトタイプです。素材に蝋を浸す、糊で固める、あるいは束ねるなどの異なる手法を用いて、ペーパーログが本来持っている強度や吸水性、構造体としての実用的な可能性を実験的に探求しています。

蝋でしっかり固められた作品は、紙とは思えないほど硬質です。対照的に、紙をただ束ねただけの作品は、光が当たると紙がうっすらと透けて美しく、素材ならではの繊細な魅力に満ちています。

会場では、制作プロセスを描いたドキュメンタリー映像が上映されています。モニターの前にはペーパーログで作られた椅子が置かれており、実際に腰掛けて映像を鑑賞できます。作品の機能性や頑丈さを、自らの身体を通して直接体感できる貴重な機会です。

本来は役割を終えて処分されるはずだった副産物に、新たな命を吹き込んだ本展。衣服デザインと建築という異なる分野の協働により生まれた作品群は、日常の物の価値を問い直してくれます。素材が持つ可能性と、そこから紡ぎ出された豊かな造形の宇宙をぜひ会場で体感してみてください。

編集部 齊藤
「ザ・ペーパーログ:膜と核 ― イッセイ ミヤケによるアンサンブル・スタジオとの協業プロジェクト」
会期:2026年8月13日(木)~9月13日(日)
会場:21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3
開館時間:10:00~19:00
休館日:火曜日
料金:無料
主催:株式会社イッセイミヤケ
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.isseymiyake.com/blogs/news/18649
