「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」国立新美術館 2026年 展示風景
© 2026-Succession Pablo Picasso-BCF (JAPAN)
国立新美術館では、2026年9月21日(月・祝)まで「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」を開催しています。パリ国立ピカソ美術館が所蔵する約80点の作品を、英国人デザイナーのサー・ポール・スミスがレイアウトした、かつてない展覧会です。2023年にパリで行われたパブロ・ピカソ没後50周年記念の特別展をもとにした国際巡回展で、日本での開催は東京のみとなります。
開幕に先駆けて行われたプレス内覧会には、国立新美術館館長の菅谷富夫氏、アーティスティック・ディレクターを務めたスミス氏、パリ国立ピカソ美術館キュレーターのジョアンヌ・スヌレッシュ氏、国立新美術館主任研究員の米田尚輝氏が登壇しました。

ポール・スミス氏は、ピカソの最大の魅力を好奇心だと語ります。「彼が常に新しいアイデアを探求し、異なる視点で物事を見ていたことは、ファッション業界で長く働き続けてきた私の姿勢とも重なります。自転車のサドルを牛の頭に見立てたように、当たり前にあるものを違う角度から捉え直す『水平思考』こそが、本展の鍵を握っています。ぜひ楽しんでください」とメッセージを寄せました。

ピカソは、幼少期から雑誌や小説に直接絵を描き込むことを好んでいました。「『ヴォーグ(流行)』中の芸術家」のセクションでは、そんな彼の遊び心が垣間見えます。1951年の雑誌『ヴォーグ・パリ』では、ウェディングドレス姿の美しい女性の写真の上にピカソ自身が大胆な線を加え、元のイメージを変容させています。

「子ども時代」のセクションでは、彼が生涯にわたって深い関心を寄せ続けた舞台芸術の影響がうかがえます。展示室の壁面は、作品に描かれた服の模様や背景の柄を再現しており、作品の世界観と展示空間全体が見事に調和した楽しい仕掛けとなっています。

「闘牛」のセクションでは、ピカソが愛してやまなかった牛に焦点が当てられています。彼は生涯を通じて闘牛を重要なテーマとし、1930年代には生と死、あるいは性と死が交錯する悲劇的な舞台として闘牛場を描きました。一方で戦後の版画連作では、闘牛の持つ躍動感や祝祭の空気を軽やかに表現しており、闘牛に対するまなざしの変化とその表現の力強さを感じ取ることができます。

戦後の1940年代後半、南仏のヴァロリスに定住したピカソは陶芸の世界に没頭しました。「一点もの」の展示室では、彼が熟練の職人と協働して生み出した数々の作品を紹介しています。絵画や彫刻の境界を飛び越えたこの実験的な陶芸制作は、生命力に満ちた彼の晩年の活動において、きわめて重要な役割を果たしました。

戦後のメディアの発展に伴い、ピカソのイメージは「白髪でボーダーシャツを着た男性」として世界中に定着しました。「ピカソのボーダーシャツ」のセクションでは、展示室の天井一面がボーダーシャツで埋め尽くされています。

彼を世界的な芸術家へと押し上げる契機となったのは、数々の展覧会でした。街中に掲示される展覧会ポスターは、彼のアートを大衆に広く伝える重要なメディアの役割を担っていました。「展覧会のピカソ」のセクションでは、街角の壁にポスターが隙間なく無断で貼られるフライポスティングのような光景が広がります。

スミス氏の大胆な色彩と演出により、ピカソの作品に新たな風が吹き込まれた本展。二人の天賦の才が交差する空間は、私たちに新鮮な視点を与えてくれます。ピカソの初期から晩年までの作品群を緩やかな時系列でたどれる貴重な機会でもあるため、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
編集部 齊藤
「ピカソ meets ポール・スミス 遊び心の冒険へ」
会期:2026年6月10日(水)~9月21日(月・祝)
休館日:毎週火曜日
会場:国立新美術館 企画展示室2E
開館時間:10:00~18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)
※入場は閉館の30分前まで
主催:国立新美術館、パリ国立ピカソ美術館、日本経済新聞社、TBS、TBSグロウディア、テレビ東京
協賛:アビームコンサルティング、DNP大日本印刷
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ、J-WAVE(81.3FM)、TBSラジオ
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://art.nikkei.com/picasso_ps26/
