六本木のオオタファインアーツでは、2026年8月29日(土)まで、グループ展「白と黒」を開催しています。本展は、ナフサ不足によるスナック菓子の白黒パッケージ化を機に着想されました。表現の選択としてあえて白と黒の色彩に向き合って制作された作品群が紹介されています。

草間彌生氏といえばカラフルなイメージが強いですが、本展では白黒で構成された1990年代のエッチング作品を中心に展示しています。これらは市場にあまり出回らない、珍しい作品です。反復と増殖によって無限を探求する彼女の純粋な思想が、色を持たないことでより際立って感じられます。


久門剛史氏は、光や音を組み合わせたインスタレーションを展示しています。壁面から浮かび上がる円形の作品《Tunnel》のミラー版と漆黒版が並び、光の反射と吸収という対照的な性質を見せます。回転する内円が過去から未来へと繋がる時空の穴を思わせ、鑑賞者の想像力を強く掻き立てます。

白黒の映像表現を得意とするさわひらき氏。《NOBODY》は、ロンドンの友人宅での展示を機に生まれた作品です。日常の風景の中にラクダや馬たちの影が静かに現れ、現実と虚構の境界を曖昧にしていきます。

竹川宣彰氏は、アナキスト・石川三四郎氏の生活思想「土民生活」と現代のポテトチップスを交差させた作品を展示しています。本展のテーマを伝えられる前から、白黒パッケージのポテトチップスの作品を制作していたそうです。

ギャラリー内には白黒パッケージの「かっぱえびせん」が置かれており、来場者がそれを見て本作のテーマに気づくこともあるそうです。社会情勢をテーマに据えた企画は、大規模な美術館では実現に時間がかかりますが、これだけ早く実施できるのはギャラリーならではの大きな強みと言えます。

色がいかに事物を表象し、私たちがそこからどれほど多くの情報を得ているのか。本展は、白と黒というミニマルな世界を通じて、私たちの日常的な知覚を鋭く問い直してくれます。気鋭のアーティストたちがモノクロームの奥深くから現出させる、豊かな表現の広がりをぜひ会場で体感してみてください。
編集部 齊藤
「白と黒: 草間彌生、さわひらき、久門剛史、竹川宣彰」
会期:2026年7月10日(金)~8月29日(土)
会場:オオタファインアーツ(東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル3F)
開廊時間:11:00~19:00
休廊日:日曜日、月曜日、祝日
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.otafinearts.com/ja/exhibitions/360-black-white-yayoi-kusama-hiraki-sawa-tsuyoshi-hisakado-nobuaki-takekawa/
