TOKYO NODEでは、2026年9月27日(日)まで、アメリカを代表するマルチメディアアートの先駆者、トニー・アウスラーの日本初の大規模個展「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」を開催中です。本展では、初期の代表作から本展に合わせて制作された最新作まで、日本初公開の作品を多数紹介します。
開幕に先立ち行われたプレス内覧会には、トニー・アウスラー氏に加え、本展のキュレーションを担当したTOKYO NODEの椿玲子氏と、共同キュレーターのアリス・ニェン=プー・コー氏の3名が登壇しました。

アウスラー氏は「TOKYO NODEで展覧会を開催することが長年の夢でした」と喜びを語りました。また「芸術とは文化の中で唯一残された、鑑賞者が参加できる場所であり、鑑賞者をもってして作品が完成されるもの。皆さんが自分のストーリーを完成させる体験をしてほしいです」と、熱いメッセージを伝えました。

会場でまず目を引くのは、暗闇の中に大小さまざまな「眼」が闇に浮かぶインスタレーション《スペキュラー》です。鑑賞者は巨大な眼に囲まれながら、表面に映り込む映像の断片を目の当たりにします。覗き見られる体験と自ら見る体験の循環を生み出す本作は、情報やイメージを消費し続ける私たちの飽くなき欲求を象徴しています。

新作《星》では、着物姿の日本人と思われる女性が映し出されます。本作は、小説『リング』に登場する貞子の母親のモデルになったとも言われる実在の人物、御船千鶴子から着想を得て制作されたといいます。

続いて現れるのは、1990年代の初期の代表作《プライベート》。一見、家の中のような空間ですが、花の中をよく見るとカメラが隠されているなど、現代社会における監視や肖像権、プライバシーといった問題を提起しています。

彼のアート活動は映像制作にとどまらず、膨大なアーカイブを用いた歴史的調査にも及びます。そのリサーチ対象は科学や魔術だけでなく、オカルトや陰謀論、UFOといった領域にまで広がります。本展では、3,000点を超えるコレクションからの厳選資料やUFO遭遇者への取材作品も公開されており、アーティストでありながら研究者でもある彼のディープな探求の軌跡を辿ることができます。

心理学実験から着想を得た《ロック 2、4、6》は、多様な平面で緻密に構成された立体物に映像を投影する野心的なメタ・インスタレーションです。音声と映像のズレを通して、鑑賞者は自身の知覚や認識がいかに脆く、誤って形成されているかを疑似体験することになります。

世界初公開となる《空(くう)》は、故デヴィッド・ボウイ氏および作曲家の故グレン・ブランカ氏と2000年から共同制作していた幻のプロジェクトです。巨大な石にボウイ氏が語るパフォーマンス映像が投影され、ブランカ氏の特別な音楽が響き渡ります。四半世紀の時を経てついに完成した、重層的で変容し続ける圧倒的な没入空間は必見です。

TOKYO NODEの高さ15mのドーム型空間を活かした新作《キメラ》では、未確認生物などの資料を基にした多様な生物が虎ノ門の上空を浮遊します。たまごっちからインスピレーションを受けたという《カリカチュア》シリーズは、一見不気味ですがじっと見つめているとどこか愛らしさを感じさせます。

テクノロジーが急速に進化し、私たちが何を信じるべきかが揺らぐ現代。本展では、テクノロジーと人間の心理、そして見えないものへの欲望を鋭く映し出しています。魔術、メディア、アートが交差するこの刺激的な空間で、私たち自身の認識を問い直す特別な体験を、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか。
編集部 齊藤
「トニー・アウスラー:技術と霊知のはざま~魔術、メディア、アート~」
会期:2026年7月3日(金)~9月27日(日)
時間:10:00~19:00(金・土曜日は20:00まで)
※入場は閉館の30分前まで
会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C(虎ノ門ヒルズ ステーションタワー 45F)
主催:TOKYO NODE
企画:椿玲子(TOKYO NODE)、アリス・ニェン=プー・コー(インデペンデント・キュレーター)
協力:SCAI THE BATHHOUSE、Lisson、Lehmann Maupin
公式サイトで詳細を見る(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.tokyonode.jp/events/tony-oursler/index.html
