東京ミッドタウン・デザインハブでは、「大サイン展 伝える つながる Sign × Society × Story」が6月7日(日)まで開催しています。日本サインデザイン協会(SDA)の設立60周年を記念した本展は、サインデザインの分野では初となる展覧会です。

本展では、戦後から今日に至るまでの膨大な作品の中から、厳選された77作品が展示されており、シンボル、光、ピクトグラム、文字、色、建築、デジタル、空間、素材、インスタレーション、展示という11のカテゴリーで構成されています。

今回の展示において、シンボルとなっているのが「矢印」です。今回の告知ポスターや作品を置く土台も、すべて矢印をモチーフに構成されています。また、土台にリサイクル可能な段ボール素材を使用するなど、環境への配慮も大きなテーマの一つとなっています。

会場でひときわ目を引くのが、壁一面に360個の矢印が並ぶエリアです。この矢印は、今回の展示に協賛をした10社が、「既存製品の展示はなし」というルールの下で制作したサインデザインです。コーヒーやお茶の廃材を固めた素材や、生き物のように動く金属など、常識にとらわれない実験的なアプローチが魅力的でした。

会場のメインとなるのが、「サインを読み解く11のコンテクスト|77のプロジェクト|戦後から現代へ」のエリアです。

1990年の「新宿サインリング」は、管理組織が異なる信号や標識を一つに統合するという、行政の壁を越えた画期的なインフラ整備でした。バラバラだった情報を整理し、都市の景観を整える仕組みを作った先駆的な事例です。

原研哉氏が手がけ、1998年にSDA賞大賞を受賞した梅田病院のサインデザインは、デザイン史における大きな転換点になりました。最大の特徴は、案内表示の素材に「白い布(リネン)」を採用した点にあります。汚れやすい布をあえて使い、それを洗濯し続けるという運用そのものによって、病院の誠実なホスピタリティを可視化しました。

2015年には、成田空港第3ターミナルに陸上トラックを模した誘導サインが登場します。LCC専用ターミナル特有の長い移動距離による心理的な負担を減らし、人を自然と前向きに歩かせる効果があるそうです。

東京2020の「動くスポーツピクトグラム」や日本郵政ビルの天井デザインでは、象徴的なアイコンを軸に、人々の直感や心理へダイレクトに働きかける工夫が凝らされています。情報の伝達だけでなく、見る人の感覚を揺さぶる現代的なサインのあり方を提示しています。

かつて松本PARCOの外壁に掲げられていたネオンサインの現物は圧巻です。五十嵐威暢氏が手掛けたこのデザインは、写真では伝えきれない圧倒的な存在感を放っています。一つひとつのサインデザインに宿る様々なストーリーを、ぜひ会場で体感してみてください。
編集部 野島
「大サイン展 伝える つながる Sign × Society × Story」
会期:2026年4月24日(金)~6月7日(日)
時間:11:00~19:00(最終日は16:00まで)
入場料:無料
会場:東京ミッドタウン・デザインハブ
主催:公益社団法人日本サインデザイン協会(SDA)
共催:東京ミッドタウン・デザインハブ
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.designhub.jp/exhibitions/sda2026
