サントリー美術館では、「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」が6月21日(日)まで開催されています。本展は、浮世絵および江戸絵画の美術商であるイスラエル・ゴールドマン氏が所蔵する、河鍋暁斎の作品が集められています。
暁斎は、幕末から明治にかけて活躍した画家で、狩野派の確かな技術を土台に、仏画からユーモアあふれる風刺画まで、ジャンルを問わず名画を残しました。

第1章「ゴールドマン・コレクションのスターたち」で展示されている注目の作品は、書画会の様子を描いた《書画会図》です。

書画会とは、幕末から明治にかけて流行したイベントで、入場料を払うと来場者が持参した紙にその場で絵師が絵を描いてくれるというものでした。暁斎は即興で描くことが得意で、現代で言うパフォーマンスアートのような存在として絶大な人気を誇っていたそうです。
第2章の「けもの」は、展示の中で最も作品数が多いセクションです。ゴールドマン氏が動物画を非常に好んでいることから、素晴らしい作品が数多く展示されています。

動物の中でも、蛙は暁斎が3歳の頃に初めて写生したものだったと伝えられています。会場には、明治初期の射的場の様子を蛙の姿で描いた《蛙の射的場》など、伝統を現代に蘇らせたような遊び心あふれる作品が揃っています。

続く第3章の「ひと」では、当時の社会を映し出した作品が多く展示されています。なかでも注目したいのは《加藤清正の虎退治》です。細部まで描き込まれており、迫力ある作品でした。

《三味線を弾く洋装の骸骨と踊る妖怪》は、その場で即興的に描かれた席画のようなもので、骸骨が枠だけの三味線をひくなど、ユーモアに富んでいます。

第4章の「おに」は、暁斎にとって自分自身を重ね合わせる特別なテーマでした。画鬼(がき)という愛称を持っていた彼は、《鬼に酒肴図》のように、お酒好きな自分の姿を投影したような、愛嬌のある鬼たちの姿を数多く描いています。

第5章の「かみ・ほとけ」は、人間味あふれる神様たちの姿が描かれた作品が中心の章です。お酒の神様を描いた初期の作品《猩々図》など、神様を身近に感じさせる暁斎独自の視点が光る絵を見ることができます。

第6章の「版画の名品」では、保存状態が極めて良い貴重な版画が並びます。ゴールドマン氏のこだわりにより、摺りが早く色彩が鮮やかな作品ばかりが揃いました。

特に、書家・山岸雲石氏との合作である《「鍾馗」と二匹の鬼》は必見です。山岸氏が書いた鍾馗という文字に驚く二匹の鬼を描いたもので、自由でダイナミックな発想を堪能できます。河鍋暁斎の奥深い世界を、ぜひ会場で体感してみてください。
編集部 野島
「ゴールドマン コレクション 河鍋暁斎の世界」
会期:2026年4月22日(水)~6月21日(日)
※作品保護のため、会期中展示替を行います。
開館時間:10:00~18:00(金曜日は10:00~20:00)
※6月20日(土)は20:00まで開館
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:火曜日
主催:サントリー美術館、朝日新聞社
協賛:三井不動産、鹿島建設、ライブアートブックス(大伸社)、サントリーホールディングス
後援:ブリティッシュ・カウンシル、TOKYO MX
協力:全日本空輸
特別協力:イスラエル・ゴールドマン氏
公式サイト(URLをクリックすると外部サイトへ移動します):
https://www.suntory.co.jp/sma/exhibition/2026_1/index.html
